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【ネタバレ解禁】 今こそ、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の歴史的感動を語りたい。

【『アベンジャーズ/エンドゲーム 』/アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ監督】

全世界興行収入、24.85億ドル超え。これは、歴代2位の不沈神話『タイタニック』の数字を既に大幅に上回り、今や歴代1位の『アバター』の伝説的な記録・27.88億ドルも目前に迫っている。この10年間、決して塗り替えられることのなかった映画興行史、いや、映画そのものの歴史が、今まさに更新されようとしているのだ。日本においても、動員数は325万人を優に超え、おそらく国内興行収入は、この数日で50億円を突破するだろう。

そして今、長きにわたり闘い続けてきたヒーローたちへの感謝の声が、全世界に溢れ返っている。数え切れないほどの「ありがとう」が、世界を一つに繋いでいる、と言っても過言ではないかもしれない。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と同じ時代を生きてきたからこそ、僕たちは、こんなにも大きな「歴史的感動」を味わうことができた。だからこそ僕は、今のこの想いを、しっかりと言葉にして残しておきたい。

(以下、『アベンジャーズ/エンドゲーム 』および、MCU作品の重要なネタバレを含みます。)


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涙が止まらなかった。

こんなにも壮絶な映画的興奮、この先に味わうことができるのだろうか。

MCUが11年かけて紡いできた物語が、想像し得る限り、最も完璧な形で、ここに結実した。


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2018年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』において、アベンジャーズ、および人類は、衝撃の「敗北」を喫した。全宇宙の生命の半数が、一瞬にして滅ぼされる。そのあまりにも陰惨で救いようのないラストシーンに、僕たちは言葉を失くした。

そして何より、これまでヒーローたちが貫き続けてきた信念や価値観が、あたかも何の意味もなさなかったかのように、木っ端微塵に砕かれ尽くしてしまった。一つの映画を観て、これほどまでに絶望的な気持ちになったのは、初めてだった。

『We're in the endgame now.』

今振り返れば、ドクター・ストレンジは、サノスにタイム・ストーンを差し出した後に、この言葉を残していた。彼が予見した1,400万605通りの可能性の中の、唯一の「勝機」。しかしドクター・ストレンジは、果たしてそこに、どれほどの確信を持っていたのかさえ、もはや僕たちは知る術を持たなかった。


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そして1年の時を経て、ついに『アベンジャーズ/エンドゲーム 』が公開された。

今作の冒頭において、生き残ったヒーローたちは、全ての観客が思ってもいなかった形で、最凶の宿敵・サノスに復讐を果たす。あまりにも、唐突に。不気味なほどに、呆気なく。だからこそ、そこにカタルシスなど生まれようもなかった。逆に、「もはや力だけでは、この闘いには勝てはしない」という痛切な事実を突きつけられただけだ。この絶望、本当に容赦がない。

そして、その「5年後」のシーンが幕を開けた時、その壮絶な絶望の重みに耐えられなかった。この世界に生きる残り半数の人たちは、5年もの間、どれほどの哀しみと恐怖の中で生きてきたのだろうか。たとえ、映画の中の世界だと分かっていても、胸をきつく締め付けられた。


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しかし、今作『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、やはり正真正銘の「逆襲」(アベンジ)の物語だった。

マイティー・ソーは、いかにして王としての、神としての尊厳と誇りを取り戻したのか。キャプテン・アメリカは、なぜ、絶望に屈することなく、希望を紡ぎ続けたのか。アイアンマンは、幸福な人生を送っていたにもかかわらず、もう一度ヒーローとして立ち上がる覚悟を決めたのはなぜか。そして、サノスとの再戦を前にして、何を想い、何を選んだのか。

人類は、なぜ、想像を絶するほどの困難に打ち克つことができたのか。その答え、その全てが、この181分に詰まっている。

《Avengers Assemble》

シリーズ11年間の歴史の中で、キャプテンがついに初めて放ったその一言に、今でも魂の震えが止まらない。


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インフィニティ・ストーンを巡る物語は幕を下ろしたが、しかしこの先も、MCUのヒーローたちの闘いは続いていく。それでも、キャプテン・アメリカ、そしてアイアンマンの2人は、もう戻りはしない。

今作のラストシーンで描かれたのは、キャプテンが大切な人と過ごす幸福な時間であった。僕は、そのことが何よりも嬉しかった。国のために、正義のために、ヒーローとしての不屈の精神をもってして闘い続けてきたキャプテンには、どうか、自分のために、生きてほしい。

アイアンマン、いや、トニー・スタークには、どうか安らかに眠りについてほしい。

《I am Iron man.》

最後にそう言い放ち、命を懸けて救ってくれたこの世界は、きっと、彼の想いを引き継いだ次の世代のヒーローたちが守っていくだろう。

既に『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』の予告編が公開されているが、きっとまた、新しいヒーローたちに、僕たちは救われ、心を奮い立たされていくはずだ。そう、希望は、死なない。



最後に、マーベルの父、スタン・リーについて。マーベル・コミックスの革新劇を導いた、稀代の編集者にして、伝説的ライターである。

彼のカメオ出演も、今作が最後となった。たったワンシーン、たった一つのセリフに、ただただ涙が止まらなかった。スタン・リーの願いは、きっとこれからも、いくつもの時代を超えて、僕たちの明日を照らし続けていくことだろう。

彼の死に、深い哀悼の意を。そして、彼がアメコミ界に残した絶大なる功績、その全てに、最大限の愛と敬意をここに表する。


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MCU作品の恒例となっていたポストクレジットシーンは、今作には挿入されることはなかった。だからこそ、静謐な余韻が、いつまでも心に残り続けている。

しかし、数々のMCU作品が創ってきた「宇宙」は、これからも拡大を続けていく。2019年3月、ついにウォルト・ディズニーは、20世紀フォックスの買収を完了。これにより、『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』のヒーローたちが、MCUの世界に合流する準備が完全に整った。

「フェーズ4」、そして「フェーズ5」以降の物語を、今から期待を胸に秘めて待ちたい。そして、この11年間、僕たちの心を救い続けてくれた全てのヒーローを、いつまでも忘れないでいたい。



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