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【書評】読書する人だけがたどり着ける場所/齋藤 孝/SB新書

読書する人だけがたどり着ける場所/齋藤 孝/SB新書

たまに本を読んでいる人を見つけると、「何読んでるの?」って話しかけるところから、その本の話、似たような本の話、オススメの本や作家の話など、そこから派生していく会話がすごく好きである。

でも、自分のいるチームで、選手に囲まれて生活をしていると、正直あまりそういう人に出くわさない。本の話とかしても「ふ〜ん」「へぇ〜」と、あまり広がっていかないことにちょっと会話の物足りなさを感じてしまったり。

「いいじゃん、ネットがあるんだし」「本読むのは根気がいるからね〜」という言葉に弾かれてしまったり。

読書、勧めたいな〜。アスリートどうしで本の話とか、インテリでかっこいいじゃん。絶対ラグビーのパフォーマンスやメンタルにもつながるだろうし。でも、どうやって勧めたらいいだろうか・・・。

そんな中、この本を見つけた。

この本は、自分のそんな「人に読書を勧めたい欲」をきっと言語化してくれる!

と思い、即買い。

自分のそれまでの読書のプレゼン能力の無さを痛感した、という話は置いといて、今ならちゃんと人に読書を勧められる、気がする。

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まず、読書を勧める一番の魅力は、

「読書が人生の深みをつくる」ということ。

ネットやSNSとは、一つのコンテンツと向き合う時間が圧倒的に違う。その作家が人生をかけて作った本と時間をかけて向き合うということは、自分の知らない何かを知っている人と会話をしているようなもの。

それは、もはや「体験」となって自分の中に刻み込まれる。体験というのは、人格形成に影響するもの。自分一人の体験では限界があるところ、読書によって擬似体験できる。

本を通じて他人の人生を経験することは、めちゃくちゃ大事なこと。自分とは生きた時代も国も違う人がどんなことをして、どんなことを感じたのか。それを知るということは、他人の気持ちを想像して感情移入し、受け入れる経験となるから。人生、自分だけで豊かに感じることは難しいこと。必ず人との関わりのなかで生きていく。どう他人の気持ちを理解して受け入れるかということを読書は経験させてくれる。

逆に、経験の少ない人ほど、想像の及ばない物事が多くなり、他人の気持ちを想像するのも難しくなってくる。

また、「言葉にできなかった自分の体験の意味にも気づくことができる。実際の体験を何十倍にも生かすことができる。」←これはまさにこの本を読んで自分が実感していること。自分が言葉にできなかったことの意味、深さを読書によって知ることができる。

今回の自分を例にしてみると、

「人に読書を勧めたい欲」について、深く掘り下げて考えさせられたわけである。

そんな、深い穴をたくさん掘った(他人の人生をたくさん擬似体験した)その先に、人生の深みが出てくるのだということ。

本書の中で「深み」という言葉は何度もでてきた。

「読書が人生の深みをつくる」のだ。

ほとんど①がすべてのような気がするが、

自分も共感した読書の楽しみ方として、

読書を「自分に引きつけて考えること」で、思考を深める。

本を読むことで感じる「なるほど」という思いをそこで終わらせるのではなく、「自分だったらどうだろう?」「これは自分の場合何にあたるのか?」と考える癖をつけることが大事。

そして、本の内容を人と話すことでさらに思考を深める。せっかく時間をかけて読んだ本を何としても自分のものにしてやる、という感じかな。どんなにその本を読んだことで知識が一瞬増えたとしても、時間が経つと忘れてしまうもの。人に話すことで、自分の体験にしてしまいたい。

最後に、読書の仕方について、いいなぁと思ったものの紹介。

洋書や古典、分厚い本ななど、

「この本を読んだ自分、かっこいい」と思うのも、読書の習慣化に大事なこと。

あるテーマについて知りたい場合、続けて5冊ほど読むとかなり知識が得られる。

好きな文章を3つ選ぶ

などなど。

同じ本を読むにしても、考え方、読み方次第で得られるものも変わってくるんだなと。

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「読書」

というものについて、深く考えさせられた一冊でした。


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