無題101-1

僕の心に残した爪痕。

プレデターを直訳すると、捕食者になる。

しかし、映画プレデターシリーズに出てくるプレデターは、獲物を食べることはない。

しとめた獲物の骨を、トロフィーにするのだ。

なので、「プレデターは捕食者ではなく、ハンターだ」という指摘は、以前からされていた。

そして、プレデターシリーズ最新作ザ・プレデターでは、ついに、登場人物の学者が、そのことを映画のなかで指摘した。

けれども、僕からしたら、プレデターは捕食者でもなければ、ハンターでもない。

プレデターとはメディカルキットのことだ。

「ちょっとなにいってるかわかない」と思ったあなた!

安心してください。

このさき、読み進めていっても、最後まで意味はわからないと思いますよ。

はからずも、読んでいるかたにサンドウィッチマン富沢化を、強いてしまいましたが、こちらは、とにかく明るい安村化したので、痛み分けです。

ちょっとなにいってるかわからない。

 
このテキストは、僕の思いの丈を、ただぶつけただけのモノです。

プレデターの映画評とか、解説ではないです。

 
プレデター1作目のこのシーンをみてほしい。

http://m.youtube.com/watch?v=omCLg2qYXLQ

光学迷彩、サーモグラフィーやレーザーポインターのついたマスクへの憧れは、自認が容易だ。

いっぽう、傷を負ったプレデターが、応急処置をするシーン。

プレデターのこの営みが、僕の心に灯した火は、燻りながらも、結果的に消えることはなかった。

しかし、飛び出し式の金属の爪やショルダーキャノンへの憧憬の騒がしさのなかで、小学生の僕がそれに気づくのは、土台無理な話だ。

 
そして、プレデター2が公開される。

父親と、映画館へ観にいった。

2のなかでも、プレデターは、自分の傷への応急処置をおこなった。

プレデター2の、治療シーンフルバージョンは、YouTubeにない。

ここに一部は、映るけれど。http://youtu.be/-2r8YLDUMnw

2のメディカルキットは、1作目よりさらに美しい。

治療シーンの、映ってない部分を、文章で説明するけれど、たぶん「ちょっとなにいってるかわからない」と再びなると思います。

傷を負った、プレデターは、人様の家に侵入して、洗面所でメディカルキットを開く。

その中から扇状の道具を取り出す。

それを流し台のうえへ置く。

道具の下部を手のひらでおすと、扇が360度ひらいて、皿になる。

皿になると同時に、中央へ青い炎がつく。

唐突にプレデターは洗面所の壁へ、パンチを入れる。

パンチで砕けたタイルを一握り、火のなかへ。

そこへ小瓶に入った溶解液をかける。

すると、蛍光色に光るゲル状の塗り薬ができる。

それをヘラですくい、傷口へ。

このシーンは、僕の心に深い爪痕をのこした。

プレデター2では、プレデターの武器に、伸縮する槍や、切れ味のよすぎるディスク等が追加された。

けれど、それらよりも、治療シーンが、そこで用いられた道具が、脳裏に鮮明にやきついた。

燻る火では、済まなかったのだ。

ちなみに、プレデターのメディカルキットは、ショルダーキャノンの下、背中側についている。1作目2作目も。

 
爪痕は大人になった僕へ、ストレートに表れた。

医療器具の収集癖として。

僕の部屋へ来てこれを見た女の子は、どう思っただろう。

部屋の壁には、巨大な絵が立て掛けてある。

そして

こんな内容の描かれたノートが、本棚にびっしり詰め込まれている。

ああ、お母さん、お父さん、ごめんなさい。

部屋へ行くのは、もっと慎重になるべきだったわ。

私はこれから、生きたまま解剖されて、終わったら薬品で骨まで溶かされて、最後は下水へながされてしまうのね。

とか、思ったかも知れない。

 
実際は、僕のコレクションを積極的に見たいといったり、見てきれいだといったり、欲しがったりした彼女たち。

痛い目にあわされたのは、どちらかと言うと僕のほうでしたとさ。

おしまい

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