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ストーリータイプ14「『怪物』と友だちになる」

物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。

今回は「主人公が不思議な経験をする」エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーに属するストーリータイプ14「『怪物』と友だちになる」をご紹介したいと思います。

「『怪物』と友だちになる」はどんな物語か?

「『怪物』と友だちになる」は、エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーのストーリータイプの中でも、もっともハートウォーミングな物語です。

このストーリータイプは、主人公とは違う世界の住人である「怪物」が主人公の住む世界に迷い込み、そこで2人が出会って主人公と友だちになり、友情を育んでいく物語が描かれます。

このストーリータイプでつくられている代表的な作品

このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。

・映画『となりのトトロ』


・映画『E.T.』


・映画『ヒックとドラゴン』


・映画『美女と野獣』


・映画『映画 デジモンアドベンチャー(第1作)』


・アニメ『あの夏で待ってる』


・アニメ『小林さんちのメイドラゴン』


・昔話『竹取物語』

……などなど。

「『怪物』と友だちになる」のつくり方

この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。

1.日常の世界に住む「純真な心を持った主人公」。
2.主人公が住む世界に迷い込み、主人公と友だちになる「違う世界の住人『怪物』」。
3.怪物が自分の世界に帰るクライマックス、ラストシーンの「主人公と怪物の別れ」。

このストーリータイプの主人公には、1つの重要な条件があります。それは「純真な心を持っている人物」ということです。
通常は人が自分の理解を超える異世界の存在と出会った場合、その存在を恐怖し、拒絶し、排除しようとします。あるいは捕獲して、金儲けに使おうとさえします。
しかし、純真な心を持っている主人公は、自分の住む世界と違う世界に迷い込んでしまった「怪物」と出会った場合、困っている怪物を助け、友だちになり、怪物が自分の世界に戻れるように助けようとします。
つまり、主人公が純真な心を持っていなければ、怪物と友だちになれないのです。
多くの場合、純真な心を持っているのは「子供」の年代です。従って、この物語の主人公は子供が務めることが多くなります。しかし、「純真な心」を持ってさえすれば大人の年代の主人公でもOKです。そんな「純真な心」を持つ主人公を設定しましょう。
また、主人公は日常で「何らかの悩みや問題」を抱えています。そんな主人公は怪物と友だちになって友情を育み、怪物がも自分の世界に帰るのを助けていく過程で自分の悩みや問題を解決するきっかけを掴んでいきます。そんな主人公の日常の悩みや問題も設定しましょう。

物語の中で主人公と出会い、友だちになる「怪物」も設定してください。
「怪物」は主人公の住む世界とは異なる世界に住む住人であり、そんな「怪物」はひょんなことから主人公の住む世界に迷い込み自分の世界に戻れなくなってしまうのです。そんな怪物は、主人公と出会い、主人公と友だちになることによって主人公の助けを受けて、最後には自分の世界へ帰ることができます。そんな「怪物」を設定してください。
「怪物」は、違う世界の住人ではありますが、文字通り「怪物」の場合もあれば、人間とほとんど変わらない外見の場合もあります。この怪物は「異世界の存在」の他に、「違う星に住む異星人」「主人公の住む世界に存在する『隠された領域』に住む存在」などの場合もあります。物語の世界観に合わせて「怪物」がどんな存在なのか、どんな「違う世界」の住人なのかを設定しましょう。
また、「怪物」は主人公とは違う文化風習を持っています。そんな主人公との違いや、お互いの異なる文化を受け入れ合うことが、物語の面白さのスパイスとなります。そんな「怪物」が持つ「主人公とは異なる文化風習」も設定してみましょう。

このストーリーのクライマックスは、「怪物」が自分の世界に帰れるかどうかのスリリングなシーンが描かれ、ついに「怪物」は自分の世界へ帰っていきます。そして、ラストシーンはこの自分の世界へ帰る「怪物」と主人公の感動的な別れのシーンとなります。
とくに怪物「家族の待つ自分の世界へ帰りたい」が「主人公とも別れたくない」という葛藤のシーンとなり、怪物と主人公が別れを惜しめば惜しむほど、比例して友情の大きさを描くことができます。
また、主人公と怪物が“恋に落ちた”場合は「家族のために自分の世界へ帰る」か「恋い焦がれる主人公のいる世界に留まる」かの葛藤に悩むことになります。ストーリーによっては、怪物が「主人公といる」ことを選んで主人公の世界に留まることもあります。

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この「『怪物』と友だちになる」についてさらにお知りになりたいという方は、拙著『ストーリータイプコレクション[4]「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」5種 「プロット力」向上トレーニング』にて、くわしく解説されています。
今回ご紹介した「『怪物』と友だちになる」の特徴や作成のコツ、そしてこのストーリータイプの物語を組み立てるうえで土台として使える汎用プロットテンプレート「ストーリーフレーム」も収録しています。
ご興味のある方は、ぜひ合わせてご一読ください。



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