教育×マーケティング 数学コンテンツ提供団体 math channel 代表 “横山明日希さん”

東京の渋谷の地で最先端のマーケティングに携わりながら、数学の楽しさを独自のコンテンツで発信する「数学のお兄さん」こと横山明日希さんのお話を伺いました。

プロフィール
出身地:茨城県
活動地域:東京都
経歴:早稲田大学修士課程単位取得。数学応用数理専攻。大学院卒業後、早稲田アカデミー個別進学館にて教務業務を経験したのち、株式会社サイバーエージェントと株式会社ビズリーチにてマーケティング業務に携わる。
現在の職業および活動:math channel代表、日本お笑い数学協会副会長、フリーランスマーケター
ベンチャー企業等数社のマーケティング業務支援を行う傍ら、数学×恋愛、数学×お笑い等、数学と異分野を掛けあわせた独自の切り口で、より数学を身近にする授業、講演等を実施。2017年11月 国立研究開発法人科学技術振興機構主催「サイエンスアゴラ」にてサイエンスアゴラ賞受賞。探究型学習塾a.schoolにて、算数・数学の講師、授業設計も担当。
著書・監修書籍に『笑う数学』(KADOKAWA)、『愛×数学×短歌』(河出書房新社)、『理数センスが育つ・算数王パズル』(小学館)、『少しかしこくなれる確率・統計の話』(笠倉出版社)等。

情報の格差や機会の格差をなくしていきたい

記者    どのような夢やビジョンをお持ちですか?

横山明日希さん(以下、敬称略)    僕の一つのキーワードが機会提供です。必要な情報や出会うべき人には、出会うべきタイミングで、出会うべき形で、その人に届く。そういう機会をつくり続けて情報の格差や機会の格差というのをできる限りなくしていきたいというのが僕の中のベースにあるので、それが一つの夢だと思っています。

記者    どういう活動をされているんですか?

横山    算数、数学の中に限った話をするならば、大きく分けると三つやっていると思っています。三つの共通のキーワードとしては、今ままでにない新しい切り口の学びというのがあると思っています。
    分かりやすい表現で、数学と何か別な分野を組み合わせて発信するという手法をしています。日本お笑い数学協会という名前の協会をつくっていて、お笑いの分野と組み合わせた数学というコンテンツを発信しています。お笑いに興味があるけど、数学に興味がないという人も楽しく聞くことができるし、お笑いにも数学にも興味のなかった人が、「何だそれ?」という風に興味を持つ。そういうシナジーが生まれるということを実際にやりながら気づいて、この手法は有効だと思って活動しているのが一つです。
    そのお笑い数学をやる前に、数学と愛をテーマに、「数学の単元や用語を使った短歌を読みましょう」というコンテストをTwitterでやりました。それが結構知る人ぞ知るものになり、短歌界では一通り皆さん見て下さって、最終的には本になっているんです。これが二つ目の活動としてあります。
    三つ目が、今メインでチームを組んでやっている活動でして、math channel(マスチャンネル)という団体なんですけど、端的に言うと学校の学びには入りきっていないけど、学んでおいた方がより数学が楽しくなるし、数学のことに対してイメージが膨らむ体験をつくるワークショップのようなコンテンツを提供している任意団体です。
    math channelは、いかにより多くの、極端に言うと日本だったら一億何千万人という人間にどう届けるのかというのを考えて、その場をつくっていきたいというのがあります。

記者    どのような活動指針を持たれていますか?

横山    僕達は今までの既存の教育を否定しているわけではないと思っています。むしろ今まである学校をいかにサポートしていくのかと思っているので、自分達がやりたいことだけをやっていこうという発想ではなく、僕達の学びの場の位置付けが学校にとってどういう位置付けなのか、常に考えていくことは絶対忘れちゃいけないなと思っています。
    とはいえ、こちらから発信しないといけないこともあるとは思っていて、「数学って何で必要なの?」という話も、「何となく必要な気がするから学ばせたい。」というところまでしか、課題感が顕在化していないので、見えていない部分に関しては「僕達としてはこう考えていますよ。」という話は一定数しないといけないとは考えています。

記者    そもそも、その夢やビジョンを持たれるようになったきっかけは何ですか?

横山    主なきっかけは、中学時代と高校時代で二段階あって、機会がなかったことへの後悔がありました。そこが一つの原体験になっているのかなと思っています。
    一つ目は中学一年生の時に両親が離婚して、そのことによって父親、母親共に信用できる存在ではなくなって、誰にも自分の悩みを話せない時がしばらくあったんです。その時に学校の先生が話しかけてくれて、それで人に初めて打ち明けるという経験をしたんですけど、それまで一年ぐらいかかったんですね。親と先生ぐらいしか大人の人と会えない中学高校時代は、相談できる相手がいるというのは、なかなか難しいことなんだなと思いました。
    二つ目はそれと似たような出来事なんですけど、大学に入る時に誰一人自分の進路について疑うことがなくて、僕が数学ができるから「数学科に行ったら?」という先生のアドバイスぐらいしかなかったんです。例えば、高校時代に大学生と気軽に会話できるような場所さえあれば、進学先の選び方は変わったというのはすごく思っています。相談する相手がいたらもっと選び方が変わっていたなと思うと、そういう機会提供はまだまだ足りていないんだなというのが原体験としてありました。

記者    大学の時には何かきっかけになったことはありましたか?

横山    大学に入って友人が、学生団体をつくろうと誘ってくれたことがあったんですね。その時に「自分でやりたいと思ったことはつくれるんだ!」ということに気づいたんです。それがその時の大きな発見で、そこから「ない機会は自分でつくっていけばいいんだ!」という、シンプルなようで、いざやってみると難しい解に気づけたというのはあります。
    そこから自分がやりたいものを具現化していく中で、色々と試行錯誤して今の形があります。

記者    人との出会いを通して、気づきに繋がったんですね。

横山    今独立してマーケティングの支援を数社でしているんですけど、前職もマーケティングの仕事をしていて、マーケティングの思考がすごくリンクしていると思っています。
    結局は相手の見えているニーズと課題をいかに聞いて、相手の見えていない潜在的なニーズと課題をこちら側でできる限り考えて、相手の人物像をよりリアルに想像して、「こういう人達にとってどういうサービスが届けられたらいいのか?」、「それを届けた後どういう反応になっていればいいのか?」、そして「本当に正しいものが届けられたかどうか?」を、またヒアリングする。それがマーケティングのあるべき姿だと思っているので、その考え方だと思います。
    教育だと、今すぐ1ヶ月後に変化が出るわけではなくて、1年後かもしれないし、2年後かもしれないですけど、「この時点ではどう考えればいいのか?」という指標を考えることは、まさにマーケティングの活動の一つです。色々と指標を変えながらやるんですけど、やはり数字にしていくことでよりブラッシュアップされていくというのがあるので、この発想は教育にもどんどん取り入れられるかなと思っています。

記者    これから時代がどのようになっていくと思われますか?そして、そこに対してどうしていきたいと思われますか?

横山    どういう時代になっていくか、これスパッと言えたらかっこいいですよね(笑)。今の中学生、高校生が大人になって、社会人になっていく、彼らは常に色んな情報が手元にあるし、色んな人が世の中いるんだということがより分かってきています。
    そういう環境で日常を過ごしながら生きてきているので、今の子供達は個性が認められるというのがわりと当たり前の生活をしているという風に思っています。
    そういう人達が世に出てくると、個性がより承認されていくような世界になるのかなと思っていて、それぞれに必要な学びや学びの機会が本当に多様化していくのかなと思っています。
    今よりも学びとか、出会うとか、そもそも生きるということをサポートするツールやサービスが本当に増えていくんだろうなと思っています。
    だから、おそらくのびのびと生きたいと思っていた人達はすごく生きやすい世の中になっていくし、僕自身もそういうのびのびとして生きていく人達に対して、「学問はこんなに面白いんだ!」、「数学はこんな風に考えていいんだ!」、「こういう風な考え方もあるんだ!」というものが提供できたらいいですね。

記者    生き方を通して発信されているメインメッセージというのが、「人間にとって本当に必要なこと、誰もが無意識で求めているものを、共に探していこう」ということのように思いますね。

横山    自分がやりたいと思っていることにプロデューサー的思考もあって、その人の本当の原体験に紐づく、その人だからこそ輝く、その人の強みが最大限生かされるコンテンツを持って動いてほしいというのが想いとしてあります。それをプロデュースしたいというのもあるんですよ。
    機会提供を自分一人だけがしていくとか、数学だけをしていくわけではなくて、「興味を持って何か新しいものをつくっていくことは楽しいし必要だけど、やり方が分からないからまずは横山さん修行させて下さい。」と来た人達に対して、その人達の中でのミッションが見えてきたら、独立して活動してもらうということはしたいなと思っています。

記者    ご自身のアイデンティティとしてはプロデューサーとして、人の可能性によりフォーカスされたい想いがあるんですね。

横山    中学でだいぶヘコんで、高校2、3年生で復帰するんですよ。この時の僕の考え方が「自分には何もできない。」という風に思っていたんですけど、その中学時代の家庭トラブルとか人間不信という挫折経験こそが、自分自身のアイデンティティであり、自分の武器になりうるんだということに気づいたんです。
    こういう風に家庭環境に対して悩んでいて、人間不信になったということを自分から打ち明けられるような人間はそうそういないし、これが自分の価値なんだというように思えたんですよね。
    だから、「自分ができることって何なんだろう?」という思考がそこから始まって、中学に入って進路に挫折しながら、なぜわざわざ数学という話になっているかというと、進路指導ということをコンテンツとして持ってもいいかもしれないけど、それは自分自身のできることを全て使っていないと思ったんです。
    自分を最大限プロデュースするとしたら、数学というコンテンツをどう使うかだと思うので、なぜ数学に行き着いているかというと、今のプロデュースという着眼点からも言えますね。

記者    横山さん、本日はお話をありがとうございました。

横山さんの活躍は以下のHPから見ることができます。




【編集後記】
インタビューを担当した藪内と池田です。ご自身の「原体験」が今の活動に繋がっていらっしゃることや、マーケティングの思考、手法を使って新しいものを生み出されていることなど、横山さんの活動の見える部分と、その背景の見えない部分もお伺いできたように思います。頼れる「数学のお兄さん」として、これからも多くの人達に希望を与えて頂きたいですね。プロデューサーとしての今後の活躍も期待しています!

この記事は、リライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36




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やぶ

リライズ・ニュース

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