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人が集まる場を創造したアップルストアの新店

アップルが店舗フォーマットの変革をはじめています。
考え方は、商品目的で来てもらうのではなくて、なんとなく来てしまうような空間を作ること。タウンスクェアを作る、と言ってます。またはギャザリングスペース、という表現も使ってます。
そもそもスティーブ・ジョブスとロン・ジョンソンがはじめて店舗を開発するときも、中心はジニアスバーにあって、商品ではありませんでした。
アップルを買ってくれている人達とコミュニケーションを取る場を作りたかったんですね。
この考え方を進化させようとしています。
新型の最初の店はサンフランシスコのユニオンスクエェア店で、このミシガンアベニュー店のオープンは10月なかばのことです。

これは入り口。シカゴリバー沿いの土手の斜面に作られていて、入り口を入るとすぐに下に降りていく構造となっています。四方はガラス、アップルストアはファザード全面をガラスとし外光を取り入れるデザインで有名ですが、この店は四方をガラスにするという非常にユニークなデザインとなっています。
私が行ったときは日が暮れていたのですが、日中だと燦々と太陽光が入って美しいことでしょう。
ちなみに屋根はMacBookをイメージしているそうです。一番上の写真は公開されているレンダリングで、これを見るとなるほどと分かると思います。

入り口を入って下を見た光景。前が一面ガラスで、日中ならば川と向こう岸のビルを眺めることができるでしょう。
真ん中に見えるのは木ですね。グリーンを店内に取り入れて自然な雰囲気を作っている。
そしてその向こうに見えるのが大きなスクリーンです。

一番下まで降りると売場が出てきます。
そして上に見えるのはベンチ。
そう、劇場のような構造になっていて、一階部分が売場、上は観客席、というようなイメージです。ベンチは自由に座ることができ、目の前の景色を眺めることができるというわけです。

これはそのベンチに座って前方を見たところです。売場は見えず、代わりに景色と、そして大きなスクリーンが目に飛び込みます。
このスクリーンの前でこの日はラッパーがトークショーをやっていました。スクリーンにはラッパーのプロモーショナルビデオが流されています。

ショーを見ている皆さん。
見えづらいですが、右側の奥が売場です。

トークショーの真後ろから。背景に夜景のビルが見えます。右上の方にはトランプビルも(笑

トークショーが終わり観客が帰りはじめたところを上から。売場とイベントスペースの位置関係が分かると思います。

スクリーンの向こう側のガラス面には出入り口があり、川沿いの遊歩道に出ることができます。この遊歩道から中を見るとこんな感じです。劇場デザインが見て取れることと思います。

ぶらりと来てベンチに座って、ただ景色を眺めて休息するも良し、カップルがいちゃいちゃしても良し、ランチを食べるも良し。そこで偶然イベントやっていたら見入るのも良い。
タウンスクェア=町の中心地、というわけです。

私の今の命題は、「人が集まる場所」とは何なのだろう、です。
これがEコマースとの差別化の一つのキーワードだろうと。

アップルはこの「人が集まる場所」を、特異な空間を作ることで実現したのです。


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