昭和プロレスを語ろう! (廣済堂新書)小佐野景浩 (著), 二宮清純 (著)

ファン目線で昭和プロレスを懐古した文章は街中にもネットにも溢れるが、 このぐらいの専門家の対談ともなるとそれらとはレベルが全く違う 。いっぱしの昭和プロレスマニアの自分にとっても初めて聞く話が多数。ブロディはマスカラスと不穏試合になりドスカラスとハンセンが仕方なく試合を成立させた、シンは会場掃除のおばちゃんと目が合っても殴りかかっていた、シンのサーベルは新日本の備品、ミスターポーゴのポーゴは米国で「TOGO」が「POGO」とミスプリントになったのをそのままにした。藤波がドイツでホフマンと戦った時には手も足も出なかった、 猪木の得意技は手首を相手の口に突っ込んだ上での目潰し、馬場は第1回オープン選手権に猪木が参戦してきた場合に備えてマードック、ジョナサン、レイスなどセメントで強いプロレスラーを大量に取り揃えて猪木潰しの用意をしていた、等々。

あのころを知るおっさんにとっては読んでるだけで血沸き肉踊ります。まあ、プロレスは少年ジャンプと一緒で、少年期・青年期の通過儀礼かもしれないですね。今の新日本もそれは素晴らしいハイレベルな激闘を提供してくれているとは思いますが、昭和のそれはネットがなかった分、完全に向こう側の話であり、手の届かないものところにある重厚で崇高なもの、だったのだと思います。いずれにせよ、必読。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?