デザインレビューに大切な3つのこと

先日初めて投稿した記事が、おかげさまで、なななんと100スキを超えていました。このことから、「デザインレビュー」は一定量の関心があるにも関わらず、「まだまだ具体的な情報が発信されていないのでは?」と思った次第です。

せっかくなので、今回は少し俯瞰した視点から書いてみたいと思います。前回の記事が「虫の眼」視点なら、今回は「鳥の眼」ですね。


大切な3つのこと

デザインレビューをおこなう上で大切な点は? ときかれたら、僕なら次のように答えます。

ひとつ、信頼関係。
ふたつ、レビュー対象の明確化。
みっつ、レビュー観点の選定と的確さ。

「レビュー対象の明確化」と「レビュー観点の選定と的確さ」は切り離せない関係にあり、「信頼関係」は基盤となって上の2つを支えるイメージです。

それぞれ詳しく説明します。


信頼関係

レビュアーとデザイナーとの間に必要なもの、それはなんと言っても信頼関係です。これがない状態では、率直に言ってデザインレビューは難しいでしょう。

なぜならば、デザインレビューが成り立つ前提条件として、

・デザイナーが、レビュアーのレビューに対して敬意を払っている
・レビュアーが、デザイナーのデザインプロセス、アウトプットに対して、敬意を払っている

というお互いの敬意に基づいた信頼がなければ、デザイナーはレビューを素直に聞くことはできませんし、レビュアーは誠意を込めてレビューできません。

経験上、これらの敬意が存在しないところに健全なレビューもまた存在しません。エラーケース(失敗例)を挙げるならば、

・デザインレビューが、「デザインプロセスやアウトプット品質を高める」ための手段として、機能しない
・デザインレビューが、関係を悪化させる or 誰かを傷つける

つまり、しない方がマシです。

まずは信頼関係を構築して基盤を作りましょう。それができないような関係であれば、デザインレビューは諦めた方がいいです。

逆に、相手への敬意さえあれば、文字レベルであれ、口頭レベルであれ、レビューは成り立ちます。自然と両方を駆使してコミュニケーションしようとするでしょう。共に「デザイン成果物を良くしよう」という同志であることが大切です。

もし、信頼関係があるのにデザインレビューがうまく機能していないのであれば、それは次に説明するような技術面において見直すべき点があるかも知れません。


レビュー対象の明確化

デザイナー側がレビューをお願いする際に大切なこと、それは「何がレビュー対象で、何がレビュー対象外かを始めに説明すること(理由を添えて)」です。(ただし、レビュー対象が双方にとって自明な場合は不要です。)

スタート時点でこれができていないと、大抵レビュー後に不毛なすれ違いが起きてしまいます。
「今回のレビューでは、○○をレビューしてください、〇〇は対象外でお願いします。理由は○○だからです。」と明確に伝えましょう。

ロゴデザインの例
「3つの案の方向性とそれに至ったプロセスをレビューしてください。個別の具体的な形、色は対象外でお願いします。方向性が問題なさそうであれば、この後に形や色について、さらにブラッシュアップする予定です。」
LPデザインの例
「ブランドカラーの使い方と各要素のレイアウトが、全体構成にふさわしいか、ユーザーの理解を助けているかをレビューしてください。具体的な文言の内容や、パーツのあしらいは今回は対象外でお願いします。文言はクライアントが考案中で、パーツは先方のガイドラインに沿ったものに変更予定だからです。」
アプリデザインの例
「全体の情報設計(IA)とメニュー構成のみレビューしてください。各画面の個別の要素、レイアウト、カラー、アイコンは対象外でお願いします。外観以前の設計部分で、モードレスデザインが今回のアプリにうまくはまっているかどうかを見てほしいためです。」

などといったケースが想定できます。起きがちなエラーケースは

・「とりあえず作ったので見てください」だけでレビュアー依頼が来るが、どこを見ればいいかわからずいちいち質問する必要があり手間取った
・レビュアーが入念にレビューを返したが、デザイナーにとってはそこはまだ未着手で仮の状態だったため、レビューが無駄になった

レビュアーは、デザイナーからの「レビュー対象の指定」自体も本当に適切か否かを判断するところから始めるべきでしょう。なぜなら、もしかしたら本来は分けられるはずのないものを「対象外」としてしまっているかも知れませんし、また、指定された対象の他にも同時にレビューすべきものがあるかも知れません。まずはそこからはっきりさせる必要があります。

よほど小さな案件でない限り、リリースまでにはいくつかのステップがあり、各ステップにおけるレビュー対象はその都度変化するはずです。各ステップにおいて、対象/対象外の明確化はデザイナーにとってもレビュアーにとってもすれ違いをなくす上で大切な心得です。


レビュー観点の選定と的確さ

デザイナーが提示したものをレビューする段階で大切なのが、レビュアーの腕の見せ所とも言える「レビュー観点の選定と的確さ」です。

そもそもこれはレビュアー自身がどれだけのレビュー観点を会得できているかに大きく依存します。

例えば、デザインの四原則が会得できていなければ、レイアウト、カラーリング、タイポグラフィなどを評価することは難しいでしょう。
普段から「課題と解決手法の対応関係」を言語化して考えている人であれば、課題の精度や解決手法の質が評価できます。

レビュアー自身が会得している数あるレビュー観点の中から選択する方法は4つあると思っています。

・レビュー観点を予めドキュメント化したシステムを用いて選択
・これまでの業務経験による暗黙知を用いて選択
・要件定義や情報などの形式知を用いて選択
・他者の視点を用いて選択(エンドユーザー、エンジニア、営業、マーケ、企画、社長、クライアント、友達、お母さん etc)

レビュー観点をシステム化したり、テストシートをきちっと作っているところもあるかと思いますが、大抵のケースでは「業務経験による暗黙知」によってレビュー観点を決めているのではないでしょうか。ここのシステム化を前回記事では提言しました。それを補完するものとして、個別案件の要件定義や他者の視点を用いる方法があります。

こちらもエラーケースを挙げます。

・レビュー観点を業務経験だけに頼って選択したので、未経験の分野を全くレビューできなかった。
・要件定義を考慮せずにレビューを通したら、後にチェック漏れがあることがわかり問題が発生してまった。
・レビューにおいて多部署への配慮ができていなかったため、摩擦が起きてしまった。

そして、レビュー観点の選定後、どれだけ的確にコメントができるかがレビュアーに問われます。

優れたレビュアーはレビュー観点の豊富さに加えて、各観点ごとの良いから悪いまでの幅が広く、且つ評価目盛りが恐ろしく細かい上に、評価が的確です。その豊富さは僕のイメージだと例えば音楽スタジオのミキサーのようなイメージですね。

どこの要素をどう調整すればデザインがさらに良くなるのか、そもそもプロセスは適切か、課題は本質を捉えているか、考慮できてない点はないか、それはなぜか、等々を的確にレビューすることで、デザイナーに欠けていた観点を補い、執るべき次のステップを予見させます。

デザイナーは「自分の会得しているレビュー観点は何か、その精度はどれくらいか、会得していないものは何か」を普段から意識しておくと、自己評価や成長のきっかけにも繋がるのではないかと思います。


よく「デザイナーはアウトプットがすべてだ」と言われがちですが、そのアウトプットを支える要素として、「正しいプロセス」とそれらを「的確にレビューするスキル」があることを忘れないようにしたいです。

高品質なアウトプットを生み出すためには、ハイレベルなレビュースキルが不可欠です。デザイナーであれば、良いデザインをすると同時に、良きレビュアーになることが、素晴らしいデザイナーへの道だと僕は信じています。


おまけ

つらつらと書き連ねましたが、上記のようにきっちりおこなわなくても、うまくいったりするのが、デザインレビューの面白いところです。

僕は広告制作代理店からキャリアスタートしましたが、制作会社では得てしてアートディレクターとデザイナーが「師弟」のような関係でタッグを組むケースがよくあると聞きます。実際、僕もそうでした。

この「師弟」の間では上で説明したような、きっちりしたレビューは行われていないことが多いのではないかと思っています。

例えばDRAFTというデザイン会社でのやりとりをほぼ日のブログで拝見したんですが、

(略)
なにしろ(上司である宮田さんの)「ダメ出し」が、はやいんですよ。
こっち(デザイナー植原さん)が説明する前に「ダメ」って言うし。
(略)
説明すら、させてもらえない。
                       ※()内は引用者注

というやりとりだって行われていたりするんです。

ぱっと見で「ダメ」しか言わない。ただ、それが成立するのもやはり基盤としての「信頼関係」があってこそなんですよね。(でないと事故が起きます…)


「デザインレビューに大切な3つのこと」はこれで以上です。

健全で高品質なデザインレビューが各現場で行われ、素晴らしいデザインが生まれることを願っています。
ありがとうございました。

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