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どこで何をするにしても「一歩踏み出す勇気」を持とうよ:地域で活躍する起業家の話を聞いて

なんでアントレプレナーシップ教育をやろうとしているのかと考えたとき,別に起業家を増やしたいとか,スタートアップを創ろうとかいう話ではなくて,単純に「これってキャリア形成の教育じゃん!」「自分で何かを創り出そうってことじゃん!」と思えたから。

ただ何となく日々を漫然と過ごして,他責的に自分の環境を捉えるくらいなら,自分で何かを創造する人になればいいと。もちろん,批判する人はたくさんいる。

いわゆる起業・創業に直結するような「狭い起業家教育」ではなく,一歩踏み出す勇気を持ってチャレンジできる人材を育てる「広いアントレプレナーシップ」をやろうとしている。なかなかそれが伝わらない。

でも,ここ数ヶ月で改めて偉大な人たちのコメントを見て,自分自身がそうならなきゃいけないし,そうなりたいと思えているから,手の届かないところへ言ってしまおうという気持ちになっている。

逆張りをするということを考えるとき、なぜ他の賢い人たちが反対するのかを考えなくてはなりません。彼らはある知識を持った立場から反対しています。でも彼らが知らない、私だけが知っていることがあるとき、逆張りは実際に成功するのです。このケースからわかることは、一般に会社創業者は正しい感覚によって逆張りをすべきだということです。

リード・ホフマン「起業とは崖から飛び降り、落ちるまでに飛行機を組み立てるようなもの」
https://logmi.jp/business/articles/36430

まさに,まずは限定的なマーケットを深堀りしてモデルを作り,それをもとに領域を徐々に広げていくという戦略そのものを実践しようという話。

今進めている地域の実業高校との連携だって,(福岡女子商業高校との取り組みからの派生だけれども,それぞれの地域からの要請があっての)ひょんなところから始まったもの。自分から意図して進めているものではない。目指す方向性はあるけれども,プログラム1つ1つはEffectualにできあがっている。

何かが進むとき,何かが変わるときというのはそういうものなのかもしれない。

前置きが長くなったけど,こんなことを書こうと思ったのは,地方で活躍されている起業家を見たからこそ。

地方で活動する起業家の話(1):深澤裕之さん

そんなことを朧げながら考えていたら,広島県の瀬戸内海に浮かぶ島,大崎下島でNurse and Craft合同会社という「医療介護ヘルスケア領域で活動するベンチャー企業」を立ち上げられた深澤裕之さんがこんな投稿をしていた。

要するに,スタートアップと地方起業(ベンチャー/スモールビジネス)の違いを整理しつつ,いずれにせよ「Why」がないビジネスはいずれ息詰まるよというお話。

どうも「まん防」だの,日々の業務を淡々とこなすことを考えてしまうと,考え方が縮こまってしまってネガティブに行ってしまう。もちろん,それぞれの仕事がとても大事なものだし,1つ1つを蔑ろにするつもりは全くない。が,「自分がここにいる価値ってなんなんだろう」,「一体何ができているのだろう」と自分の現在地が確認できないと,気持ちがどんどん沈んでいく。そんなとき,自分の志がどこにあるのか,Whyがどこにあるのかを考えてみようと。

こんなことを言うと後出しジャンケンだけれども,日頃全く同じようなことを考えている私からすると,とても勇気をもらえた投稿になりました。

地方で活動する起業家の話(2):木村隼斗さん

これに関連して言えば,昨日(1/24)に(オンライン開催になってしまったけど)佐賀県武雄市の「武雄で始める学校」に参加した。不勉強ながら,すでに数回行われている取り組みで,西九州新幹線開通を控える武雄のまちづくりを語り合うイベント。ここで山口県長門市の長門湯本温泉まちづくり会社でご活躍されている木村隼斗さんのお話を伺う機会があった。

もともと福岡県出身で経済産業省の官僚だった木村さんが,縁あって長門市に着任し,そのまま湯本温泉のまちづくりに関わる。当時,地元にあった大手旅館の廃業を期に温泉郷の人々が危機感を持って地域をどうするかを考え,やがて星野リゾート「界」を誘致するだけでなく,周辺の整備を進めながら,地域を作っていく。古くからのシンボル的場所であった大寧寺と恩湯を現代的に再建し,人々が集まる場所にする。

そして,そうした活動を続けているうちに自分も巻き込まれて,東京で仕事をしながら二拠点で長門にも関わっていく。とても刺激をもらえたお話でした。また,近く長門には伺ってみたい。

ちなみに,トップ画像の桜の写真は,長門出身のゼミ生にこの講演の話をしたら,「桜がとてもきれいなんですよ」と教えてくれて送られてきたもの。ものがたりがあって,とても関心を持ちました。

自分にできる「一歩踏み出す勇気」は?

今,自分が積極的に関わっていきたいことってなんだろう。

自分にできる「一歩踏み出す勇気」ってなんだろう。

もちろん大学で仕事をしていくということを基礎として,研究であれば中小企業経営者の目付け=新規事業進出とアントレプレナーシップとの関わりだろうし,教育であればアントレプレナーシップ教育を通じた自立的な人材育成だろうし,それは大学生だけに関わらず,高校生も含んだもの。そして,特に地域をターゲットにしているのは,ある種の逆張りであるかもしれないけれども,自立した経済圏として他地域と連携をしながら,地域の存続可能性を高めていく取り組み。その担い手づくりとも言えるかもしれない。

これを組織の中でできることが良いのかもしれないけど,自分のような人間にそれはなかなか難しいことを自覚している。その一方で,今の状況だからやりやすいとも言える。緩やかに連携をしながら,点を線に,線を面に広げていくようにしていきたい。

そういう視点からも,深澤さんや木村さんの取り組みは非常に興味がある。深澤さんにはたった1回しかお会いしていないし,木村さんに至ってはオンラインでお話を伺っただけなのだけれども,辺境の地(失礼!)で活躍するエクストリーマーとして気になるのよね。多分,私も(50歳近くなりつつあるのに未だにこんなことを言いつつ)そうやって生きていきたいのだと思う。

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