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広州にて中国の経済発展を見せつけられる

少し時間が経ちました。帰国してすでに1週間。先週までいたあの街の惨状を見ると悲しくて胸が締め付けられてしまいます。

今回は11/8-12で訪問した香港・深圳・広州の旅のうち、最後の訪問地である広州での話をしましょう。

今回の旅の記録は以下のリンクから。

独身の日11月11日

11/10の深夜に民泊に到着した私たち。今回のツアー同行者が全員同じ屋根の下で眠ることになりました。

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夜中までずっと放送されてた謎番組

独身の日とは奇数月のゾロ目の日に行事があるのにちなみ、11月11日の1並びと「独り」をかけて記念日的にしたもの。テレビでは杭州を創業地とするアリババが上海で開催したイベントをずっと放映していた。日本で言えばジャパネットたかたがちょっと昔に活躍した芸能人を登場させて番組やってる感じ。

アリババがこういう番組をやってることには意味があって、独身の日には中国中の人たちが一斉にネットで買い物をする。今年は1時間あまりで1兆5,000億円を超える売り上げを達成したそうだ。

去年も1日で3兆円を売り上げたというのだからすごい話だ。ちなみに去年のイオンの売上高が8.2兆円というから、この破壊力がどれだけすざましいか、理解できるだろう。

刺激的な広州経済の発展

さて、朝を迎え、広州地下鉄のラッシュにもまれながら訪問場所に向かう。

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東京並みのラッシュ

広州の新都心にあたる珠江新城にあるオフィスで福岡市役所国際課の奥田さんからお話を伺うことに。

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熱い話が90分。中国の最新事情をインプット。

地域ごとの多様性から話が始まり、広州の地理的特性、福岡との歴史的なつながりについて教科書には書いていない深いお話をして頂いた。

中国という国をどう見るかということについてはさまざまな意見があるだろうが、どう考えても次の世代はこの国と真剣に向き合わなければならないだろう。特にアジアのゲートウェイを自認する福岡は中国のダイナミズムを前面に受けていくことが予想される。「正しく」中国と向き合うにはどうするか。アップデートされない中国への印象ではこれから起きるであろうことを見誤りそうになる。

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広州市1市で九州経済の3/4の規模に

中国が日本のGDPを追い抜いてからすでに10年。その差は開く一方。日本は長い間停滞に喘いでいる。1998年に大学を卒業した頃はまだまだ日本が数倍のGDPを誇っていたが、2008年には追いつかれ、2018年には中国が3倍の規模に。

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写真に収まりきらない高層ビル

珠江新城もこの10年で大きく発展した新都心で、ビルは写真に収まりきらないほど高い。まるで雨後の竹の子のようにニョキニョキとビルが立ち並んでいる。

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まるで無印良品

このエリアの中心にある百貨店K11は、ネットで買い物をしてしまう顧客に少しでも足を運んでもらおうと「ショッピング×アート」を融合させたモール。

中には世界的に著名なブランドもある一方で、中国発祥の生活用品(雑貨)が展開され始めている。上記の写真もその1つ。

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鉄でできた茶器を販売する店舗

また、中国茶を淹れる茶器の販売店では1つ3万円や10万円近くする商品が売られていた。デザインもよく、日本のデパートに並んでいてもおかしく無い。

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このような生活雑貨も安くてデザインが良いものが売られ始めている。

Webも凝って作られている。ご案内頂いた奥田さんのお嬢さんもスーツケースを購入されたそうだ。私も欲しかった(が買わなかった)。

元々グレイターベイエリア=珠海デルタは加工が強いところで、自動車、家電製品だけでなく、生活用品の製造も古くから行われていた地域。未だに日本人は(私もそうであったように)広州といえば製造業だと思っているところがある。

しかし,かつては品質もデザインも「安かろう悪かろう」だったのが、これだけデザイン性が高まってきた。

無印良品やフランフランあたりをベンチマーキングしているのだろうし、中国人の日本製品に対して抱く高い信仰心のようなものから生まれる「日本的生活スタイルへの憧れ」がさらに高まり,中国国内でこのような商品が広く普及していくようになれば日本企業もウカウカしていられない。

そう言えば、奥田さんは「今の日本企業で業績がいい会社って、だいたい中国にうまく食い込んでるでしょ?」という話をされていた。直近の資生堂の決算も韓国や香港情勢の影響で下方修正が迫られているほど,アジア諸国の影響は見逃すことができない。

いつまでこの優位は続くのだろうか。

向こう5年?10年?改めていろいろと考えさせられた。

乗用自動運転ドローンメーカーEhangを訪問する

昼食後はバスに乗って郊外にあるEhang(億航)へ。

10月に福岡市役所に展示されていた最新機種には乗ることはできなかったが,間近で写真を撮ることはできました。

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これに乗れる日はいつ来るのでしょうか?

この日はたまたまVIPが同社を訪問するというので,その前に現在開発中の新しい乗用ドローンを見せて頂いた。当然写真はNG。上の写真が少し不自然なアップになっているのは,その両サイドに置かれていた未公開のドローンが映らないようにするため。

張副総裁自らご案内頂き,乗用自動運転ドローンが開く未来がどのようなものになるのかをお話頂いた。加えて,「これを使った新しいビジネスをどんどん考えていきたい。だからわたしたちは大学との連携というものを大事にしている」というお話を頂いた。単純な私は「帰ったら学生に話をして,(できるかどうかはわからないけれども)来年度のプロジェクトに採用できるのではないか」と考えてしまった。

乗用ドローンってこんな感じ

ドローンといえばDJIのそれが日本では有名で,一見するとラジコンの延長と捉えられてしまいそうだがそうではない。車であれば2次元でしか解決できないことをドローンであれば3次元で解決できる。人を乗せる,モノを運ぶ概念が大きく変わる可能性があるのだ。

DHLとの合弁はすでに実用化がスタートしている。

あるいは,イベントで使うとこんなこともできる。

600万色のLEDを搭載し,プログラムですべて制御して飛ぶドローン

これを人が操縦するのではなく,オートパイロットでプログラミングをして飛ばしている。今や人が目視して飛ばすことが安全なのか,プログラムが制御しながら飛ぶことが安全なのかの世界。われわれが乗っている飛行機だって上空ではオートパイロットであることを考えれば,諸々の規制さえなくなれば未来は見えてくる。

この他にも広州には農業用ドローンのメーカーがある。

おそらく林業や漁業にも使えるようになるだろう。こういう最新テクノロジーを使って,九州で起きている問題を解決することだってできるかもしれない。いや,九州だからやらないといけない。

スケール感の先に何を見るか

とここまで書くと,中国経済バンザイのように見えてしまうかもしれない。確かに今回広州でさまざまなものを見てきて,日本にいればすぐに規制だ,何だと考えてしまうが,そんなことお構いましのダイナミックさを感じられた。よく言えば,おおらかなのだ

もちろん細かいところを見れば,日本の方が優れているところもたくさんある。マナーであったり,清潔感であったり。しかし,初めて中国を訪れた10年近く前に比べれば(一部を除けば)だいぶ良くなった。この1-2年でも変わっているように感じる。

このペースで行けば,日本人が持つ中国に対する「安かろう,悪かろう」のイメージはそろそろ変えていかねばならない。やはりうまく付き合っていかねばならないのだ。幸いのこと,中国人は未だに日本製品に対する高品質・高性能という信仰を持ち続けている。中国で生産され,日本で売られている電気釜を日本で購入することがステータスであるように。いや,もうその爆買いですらなくなってきたか…。

製造業がそれなりのレベルに達すれば,次は第3次産業の質が高まってくるだろう。生活雑貨や化粧品のような身の回りの生活必需品も「あれば良い」から「少しでも良いものを」と変わってくるだろう。先に上げたようにすでにそうなりつつある。

そうなってきたときに,彼らは何を見に日本に来るのだろうか。

日本流のおもてなし?ホスピタリティ?

半分合ってて,半分違うような気がするのです。

なぜそのような違和感を持つのか。それは次回の広州大学での学生のプレゼンテーションから感じたことでまとめてみましょう。

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