のーと8

実録創作怪談集

こんにちは、てつしです。
今日は「時間差で怖い」話。
さらに、今週は納涼スペシャルウィークと洒落込もうと考えています。

と、いうのも僕がたまにボランティアをしているフリースクールでお化け屋敷の準備なんかしていて、季節感があっていいなあと思ったので。

最近あっついですからね。なんか24節気に絡めようと思ったんですが大暑(一番暑い日)で7月23日だそうです。おかしくない?
とはいえ暑いし、これから怖い話でもして涼しくやっていきましょう。という試みです。
テーマがあったほうが書きやすいしね。

第1話「ひんやりした部屋」

さて、これは僕の大学の友人から聞いた話です。

その友人は地方からやってきていて、今は大学の近くに一人暮らしをしています。近くとは言いながら徒歩圏内ではないくらいの距離です。

交通の便も悪いこともあり、安いアパートなんですが、それにしたって家賃が安いんで「もしかしたらいわく付きなのかも」と言ったりしてたんです。
これはそんな安アパートであった怖い話です。

夏休みに限らず長期休暇にはどこかへ出かけたりするもんで、例に漏れずその友人も里帰りを兼ねて1週間くらい旅行に行ったそうです。

そんな里帰りの移動中、なにかが非常に気がかりだったそうです。
戸締りをし忘れたか。引っ越して以来、長く家を空けることがなかったそうで、まあ値段相応というにも貧弱なセキュリティのことが心配なのかな、と思いつつも、僕らがやれ「いわく付きだ」「ぜったいなんかある」などと言ってたものですから、もしかしたらいない間になにかあるのかも。と不安になっていたそうです。

そうは言っても実家についてみると、そんな不安は忘れてゆったりと過ごせて、旅行も楽しく、1週間はすぐ過ぎて、早くもあのアパートに帰る日となったそう。

そうするとまた気がかりなことが首をもたげる。
アパートに近くほどに不安は大きく、友人はそわそわしながら家路を急ぎます。
さあ、住み慣れたアパートの自分の部屋の前まで来ると、不安は違和感へと姿を変えていました。

なんとなく部屋の中に誰かいるような、妙な存在感も感じる。

やだな、と思いながらも帰る家はもはや目の前の部屋。
友人は意を決してドアを開き、部屋に足を踏み入れたそうです。

すると、部屋が妙にひんやりとしている。
友人がついたのは夜だったので、昼間に比べれば涼しいとはいえ、換気窓まで締め切った部屋がこんなに涼しいものか?

足元の流れる空気とは別の寒気が背中を流れるのを感じながら、部屋の奥へと進む。

部屋の奥に行き着いて、友人は寒気と、旅行中に感じた不安の正体を思い知ったのです。



「エアコンがつきっぱだったんだよ」

夏休み明けにそう言った友人の顔は少しやつれていました。

「来月の電気代が怖い。時間差で怖い」と、友人はうわ言のように繰り返すばかりでした。



すいません、ふざけました。
あと全部嘘です。今考えました。今日はここまで。

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