白江幸司

ttt_ceintute / ttt_cellule

白江幸司

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最近の記事

ウェブ小説とそれに近似する漫画の動向について(書きかけ)

書きかけながら、途中でお蔵出し。 「これ雑誌パッケージが壊れたことと関係あるのかもですけど、やたら一つのジャンルだけが極端に隆盛して、そればっかりになるのがなんだかなーと。なぜあんなに異世界転生と悪役令嬢ばかりなんだ……。」という言葉をみて、自分だと多角的な説明が可能かもなーと思い、いろいろ書き出してみることにしました。 その瞬間は「ざっと言うと、昔なら、男性向け時代小説、女性向けレディコミの枠がこれだからなのと、ウェブ小説ほど男女それぞれのジャンルコードが狭くなりやすい

    • なろうについてのラフスケッチ2

      ちょうどTwitterで書いた話題から取り上げる。 大半の作品には、経済開発の初期の夢への憧れやその参加の渇望があると言ったわけだが、これは大別して、貴族などの統治者か、冒険者か、商人かに分かれる。貴族などは内政や開発しやすく、実行し税収や承認を得ることで別の話にもつながっていく(王との謁見、領主との会見、手柄によって叙爵して新たな領主となるetc.)。恩恵の範囲は自分の家や主従関係にある周辺、領民まで含む。他方で冒険者の場合、自分の仲間(PT)と友人で利益と恩恵は止まる。

      • エコクリティシズム関連書

        (備忘録がわりに) 1980s ・Thomas J. Lyon, Ed., 『This Incomparable Lande: A Book of American Nature Writing』 (Houghton Mifflin Harcourt, 1989. Revised edition, 2001) 邦訳『この比類なき土地』 1990s ・Robert Finch & John Elder, Eds., 『The Norton Book of Nature Wr

        • SNSと身体・恋愛的情動

          備忘録的雑記08 こういうのはいままでツイートだけで済ましていたが、メモみたいなものでも気にせず公開していくことにした(コロナで万人の致死性が高まったように思うので)。 きっかけはHouxoQueさんのツイート。 現状のネットやSNSでは、自分の「身体や関係性、情動にかかわる直感的な現れ」の圏域がすごく強い(雑誌メディア時代と比べて)。その運用は恋愛や性愛、およびそのエンタメ的・ポルノ的消費形態がかなり盛んになっていて、政治家・政権を取り巻いている言説も同種のものになっ

        ウェブ小説とそれに近似する漫画の動向について(書きかけ)

          Emma Vossen「日々の楽しみや気晴らしはすべてキャンセルされ、生活維持の苦労はそのまま降りかかってくる」

          Emma Vossenの2020.4.4の連投が興味深かったので、対訳を記事にする。訳文はDeepLそのままだったり、多少手を加えたりした。 Emma Vossenはゲームプレイとジェンダーの研究者。cf. ウェブサイト 2018年に学位論文“On the Cultural Inaccessibility of Gaming: Invading, Creating, and Reclaiming the Cultural Clubhouse”でワーテルロー大学の英語・英文学

          Emma Vossen「日々の楽しみや気晴らしはすべてキャンセルされ、生活維持の苦労はそのまま降りかかってくる」

          エピステーメー総目次(1975-1979, 1984-1986)

          docxファイル形式でダウンロードするにはこちらから(pass不要)。 第一次エピステーメー(1975-1979) 第二次エピステーメー(1984-1986) 1975年創刊準備号 (1975年7月発行)・ ミシェル・フーコー「エピステーメーとアルケオロジー」(白井健三郎訳) ・ 蓮實重彦「ディスクールの廃墟と分身 ミシェル・フーコー『言葉と物』を読む」 〔改題「肖像画家の黒い欲望 ミシェル・フーコー『言葉と物』を読む」、『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』朝日出版社(エ

          エピステーメー総目次(1975-1979, 1984-1986)

          なろうについてのラフスケッチ 1

          1 vaporwaveがユートピアの失墜やノスタルジーなど現代性を体現するジャンルとして注目されている。ユリイカが特集したのはその現れだろう。とはいえ、音楽批評の側においては、そうした現代性を物語るアレゴリーとして注目が集まることと、個別の音楽作品やジャンルの趨勢との関係について考える必要があるため、一定のジレンマがあるようだが……。 ところで、vaporwaveほど名指しや認知が明快にまとまっていないものの、同じく現代性を体現する方面がある。それは、その茫漠さと分散状

          なろうについてのラフスケッチ 1

          「○○さん・くん」タイトル漫画および関連作品

          2010年代のラブコメ漫画の変容を考えるための時系列順リスト。 00年代のウェブ漫画の動きの後、「となりの関くん」(2010-)で「特殊なクラスメートを観察したり絡んだりする」ジャンルがドバッと増えた。そして「からかい上手の高木さん」(2013-)のヒットで局面が変わり、その後はTwitterやPixivでヒットしたものが連載に移行する……ただし2010年代後半ではオンライン配信が多くなったため、全体としてSNSと融合したような印象がある。そういった変化を整理するため、広い

          「○○さん・くん」タイトル漫画および関連作品

          家の中にSNSをかき乱す装置を置くには

          備忘録的雑記07 ツイッターは、知的活動に悪影響を及ぼすことなく、見る姿勢を保つのがとても難しい。ツイッターが最低なのは、想定水準を超える愚劣な言動を目にすることで、基準点引き下げが漸進的に起きて、その余波で知的活動への感覚や信頼がグズグズに綻ぶことだ。 コカコーラ冷蔵庫をインテリアと実用を兼ねて自室に置くというスタイルがかつてインテリア自慢系写真にあった。この系統から考えれば、書店の店舗什器を使って表紙陳列して自室を本屋みたいにする人が現れてもいいのでないか? 表紙を

          家の中にSNSをかき乱す装置を置くには

          横臥、立位、座位、椅子と机の高さ、歩行、作業、冷暖房の適切な配置と組み合わせこそが居住空間と行為の持続性を決める。 枕もとにスマホやタブレットが転がり、寝たまま見るのが多くなってしまうのだが、肩が凝るばかりで何も良いことがなさそう。

          横臥、立位、座位、椅子と机の高さ、歩行、作業、冷暖房の適切な配置と組み合わせこそが居住空間と行為の持続性を決める。 枕もとにスマホやタブレットが転がり、寝たまま見るのが多くなってしまうのだが、肩が凝るばかりで何も良いことがなさそう。

          無職転生について

          (備忘録的雑記06) 当方、ランスシリーズ全くやってないんだけど、松下さんのこの読解よかったですね(さやわか・松下哲也「対談 新しいタイムラインを立ち上げる」、『クライテリア』4号)。 これを見て、『無職転生』(アニメ化を受けて『転生したらスライムだった件』に「小説家になろう」サイト累計ランキング首位の座を取られるまで、5年6ヶ月間にわたって首位を維持していた作品)の特殊性と主題について見当が付いた。 『無職転生』というのは、ひきこもりニートが家族に不孝を尽くした挙句、

          無職転生について

          現在の、アルファツイッタラーアカウントのマネタイズ状況もこの形態の延長にあるんだろうが、表沙汰になるまでに数年かかりそうだな。 https://bunshun.jp/articles/-/15454?page=2

          現在の、アルファツイッタラーアカウントのマネタイズ状況もこの形態の延長にあるんだろうが、表沙汰になるまでに数年かかりそうだな。 https://bunshun.jp/articles/-/15454?page=2

          アメリカの政治集会カルチャーの血みどろっぷりを今のうちに調べておくべき感

          備忘録的雑記05 石川・青識の2019/11/16イベント。 自分は見に行ってないので、ツイッターでの反応の感想。感想の前にテキストか何かで把握した方が感想にひきずられずに大掴みできそうだが、行ってない&テキストがない場合、そういうわけにはいかない。そうなると、感想が陣営の既定言説を保存して燃料にする懸念がある。それを阻止するには、司会能力か、登壇者が相手の議論の脈絡を精査し検討を深めるという合意のもとで議論をすることで、「感想を書く人」の発語を躊躇させたり認識を底上げす

          アメリカの政治集会カルチャーの血みどろっぷりを今のうちに調べておくべき感

          ニスベット&コーエン『名誉と暴力』をぽちった

          備忘録的雑記04 舐められると家や村を燃やされるという治安感覚と名誉原理の世界においては、つねにダイレクトアタックで迎撃をすることが求められる。ヤクザワールドはつねにそのような自警主義が貫徹している。 オタクヤクザもこのバリエーションに当たり、「フェミに一歩でも譲ったら村を燃やされる」の感覚で動いているわけだ。今日TLで流布しているドイツでの日本アニメ衰退の記事にしても、「表現規制に一歩でも譲ったら村を燃やされる」っていう名誉意識の塊めいた反応。しかし、実際に舐められると

          ニスベット&コーエン『名誉と暴力』をぽちった

          感覚の問いやセルフケア、それらをめぐるテクニクスや条件の問いは今後急進化するだろう。ASMRの注目がその表れの一つと言える。「もう政治うざい」&「政治に関わるとまじで粛清される不安」のダブルパンチで文化の脱政治化がはげしく進むと思われる。その空間のなかで勃興する議論の一つとなる。

          感覚の問いやセルフケア、それらをめぐるテクニクスや条件の問いは今後急進化するだろう。ASMRの注目がその表れの一つと言える。「もう政治うざい」&「政治に関わるとまじで粛清される不安」のダブルパンチで文化の脱政治化がはげしく進むと思われる。その空間のなかで勃興する議論の一つとなる。

          即位式をめぐるあれこれは、宗教の回帰のパワーを専制体制が我がものにしようとする綱引きだろう。 面倒なのは、表向きは「気軽なネタ」(平野耕太twのように)だから無害そうに見えることか。合衆国軍隊映画みたいな「楽しいエンタメ右翼枠」が待望されているんだろう。

          即位式をめぐるあれこれは、宗教の回帰のパワーを専制体制が我がものにしようとする綱引きだろう。 面倒なのは、表向きは「気軽なネタ」(平野耕太twのように)だから無害そうに見えることか。合衆国軍隊映画みたいな「楽しいエンタメ右翼枠」が待望されているんだろう。