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タイ新国王の戴冠式を見て感じたこと(王室・皇室と宗教の関係性)

本日より、タイの新国王の戴冠式が行われている。タイは立憲君主制の建前があるものの、国を世論を二分する政治的対立が起きた際には前国王が仲介をするなど、王室が一定の政治的役割を果たしている。前国王が崩御してからは、新国王が王室の権力を強めていると言われている。

タイの戴冠式の生中継配信をすこし見ていたが、荘厳な雰囲気で包まれていた。日本の皇位継承で「三種の神器」を継承する儀式が執り行われたように、タイでも宗教的行事が行われていて興味深かった。タイの伝統に則って、バラモン教の司祭が出てきたり、上座部仏教の僧侶が並んで読経したりして、新国王の威光を印象づけていた。

この点について、タイと日本の一番の違いは宗教に対する温度差だと思う。タイではバラモン教の教えが混ざったタイ式仏教が「タイの伝統宗教」として人々から厚く信仰されているのに対し、日本では神道や仏教は宗教的意義が薄れて「宗教的な伝統文化」として人々に受け入れられている。一方で、皇室・王室はともに、各国の「国のかたち」を守り、未来に受け継く機能を果たしているという点では、どちらも共通して尊い存在だと思う。

(一枚目、タイで最も重要な寺院ワットプラゲオの様子。二枚目、上座部仏教の読経。三枚目、バラモン教の儀式。)

余談
今回と前回の皇位継承の写真を見比べて、天皇陛下がお立ちになるところが一段高くなり、前回にはなかった多くの勲章をお召し物につけられていた。その意図を探るのは下衆の勘繰りかもしれないが、前回と比べてより権威を感じる印象になっているのは興味深いところである。

(一枚目、平成改元の剣璽等承継の儀。二枚目、令和改元の剣璽等承継の儀)