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【cinema】家族の肖像

2017年25本目。

ローマの豪邸にひとり静かに暮らす老教授。その邸宅には、18世紀イギリスで流行した「家族の肖像」という家族の団らんを描いた絵画が飾られている。そこへブルモンティ夫人とその愛人、夫人の娘らが転がり込んでくる。当初は平穏な生活を阻害されたと感じた老教授だったが、次第に彼らに興味を抱き始める…(映画.comより転記)

私の見方がおかしいのか、甘いのか、古いのか映画の主題から外れていることは百も承知とはいえ、言えることは一つ。ブルモンティ夫人たちの言い分が、どう考えてもおかしいだろ、と。以下、やりとりの概略。

夫人: 部屋を貸してほしい。ココがいいの。
教授: 余生は一人静かに暮らしたい。
夫人: 余ってるんだから貸してくれたっていいでしょ!
教授: まぁ、いいけど…ちょっと騒がしすぎる。
夫人: お金払ってるんだから、そこを誰がどう使ったっていいでしょ?家政婦のエルミニアも借りるわね!

そこらへんのゴロツキと変わりませんやん。実際の貴族がどうだったか知りませんが、こういう傲慢なところが誇張して描かれているんでしょうね。でもこれがないと、この物語、始まりません。

教授の生活は一変する。静けさはかき消され、彼は夫人の娘や彼氏?のどんちゃん騒ぎに巻き込まれる。しかし、夫人の愛人コンラッドが思いのほか、芸術や文学の理解者で、人は年齢や見かけによらないものだ、今まで生きてきて交わることのなかった彼らのような若者たちの生き様に関心が湧いてきて…。

ヴィスコンティが病床にあるということで、舞台が室内のみに限られたということは有名な話だけれど、そうは感じさせない奥行きがあるというか、壮大だし、調度品や彼らの衣装を一つひとつ見るだけでも、まるで絵の一部分を見ているかのようで、これぞ芸術だなぁと思わせられます。

いささか時代遅れの毛皮に身を包み、愛人が自分を省りみてくれない、思いどおりにならない!と憤怒するブルモンティ夫人の姿は、まさにオンナだなぁと思うし、恋愛に年齢や年の差なんて関係ないよねと。
教授がコンラッドの存在自体に惹かれている様を見ても、ヴィスコンティワールドだなぁとよくわからない納得感があるのです。ヴィスコンティ作品、ほとんど見たことないくせに。

自分の中で、うまく消化できていない部分があるからか、納得のレビューを書けないけれど、往年の名作たるものをスクリーンで見ることに意味があったことはたしかです。

わかったようなこと書くようだけど、ヴィスコンティの最後の望みが、教授自身に託されて表現されていたように思うのです。

これ以上長々書いたら、ワケがわからなくなるので終わりにします。時代を超えて語り継がれる所以はとくとわかる作品です。周りの友人たちに強く薦めることはないですが、こんな世界観で彩られた作品があるということは知ってもらえたらなぁと思います!

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