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【cinema】どうってことないさ

2017年37本目。イタリア映画祭2本目。

クラウディオとアンナ。共に大卒で職はあるものの収入は満足のいくものではなく、だからこそ子供も育てられないだろうと結婚にも踏み切れずにいるカップル。クラウディオは新規ビジネスのアイディアはあるものの資金集めに苦労していて、そんな彼らが酔った勢いで、クラウドファンディングに、ビジネスの資金が集まれば、自分たちのセックスシーンをネット配信でライブ中継する!と宣言して募ったら、ネット民からの驚くほどの共感を得て、はてさて公開するのか…というお話。

それ以上それ以下でもないのだけど、そんな彼らと彼らを取り巻く人々の様子が面白おかしく描かれています。

それでもこの映画が、単なるコメディではなく、他人事ではないなと感じさせられるのは、このような世代の若者(まぁ若者でもないけど、いわゆるDINKSと言われるような人たち)の置かれている状況は、どの国でも似通っていて、結構危機的状況にあるんじゃないかなってことです。

学はあっても自分の納得のいく職やそこそこの収入を得るのに苦労する、子供を育てにくい環境にあるなと自覚している、というような点。

そんなもん何とでもなるでしょ、本人たち次第やん、だとこの話は進まないわけで、コメディでありつつも現代社会のあり方について、あらゆる面で警鐘を鳴らしているなと感じるのです。ネット情報の広まり方だったり、私生活を切り売りする手法が爆発的にウケてしまう時勢であったり…。

小難しいことを並べ立てたり、自分たちの置かれている立場や不満、問題点を声高に叫ぶよりも案外ズシリとくるかもしれない。

酔った勢いでとは言え、一度は覚悟してやってみようとさえ思わざるを得ない世知辛い世の中なんだと。

とにかく、この映画が笑えて、2人に共感できるのは、彼らの軽妙なやりとりと、彼らの友人や伯父の現金な感じとか下世話な部分も含めて人間くさいなって思えるからだと思います。あくまで笑えて、楽しめる。でもそこに透かし見えるのは、決してバラ色ではない世界なんだと。それでも、「どうってことないさ」って思える、なかなかシャレの利いた作品だったなって思います!

そう言えば、アンナの着ている服がどれもこれも可愛くてツボりました。ラフだけど、テキスタイルが独特だったり、リラックス感に溢れていて、彼女らしさが表れている。なかなか映画見て、こんな女性になりたいな〜っていうのは、ないんだけど、久々にそう思えたかも。

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