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フリーランスフォトグラファーの教科書

どうもこんにちは、保井崇志 @_tuck4 です。

「フォトグラファー」ほど誰でもかんたんになれてしまう職業って他にないんじゃないでしょうか。

先日、友人の医学生と話しててビックリしたんですけど、国内の大学医学部は6年制なんですね。さらに卒業しても研修医の期間が2年間あるので、「私は医者です」といえるそのスタート地点まで、最低8年間あるわけです。

いや、お医者さんと比べるのもあれですけど、「私はフォトグラファーです」というのは誰でも、今すぐにでもいえてしまいますよね。機材に関しても、例えばじぶんはFUJIFILMのミラーレスカメラで全ての仕事の撮影をこなしていますし、昔ほど高いスペックを求められることもありません。

誰もがフォトグラファーになれる時代。多くの才能がこの職業に集まってくるなか、まがりなりにも3年間フリーランスのフォトグラファーとして活動してきました。

そこで今回は「フリーランスフォトグラファーの教科書」ということで、3年前のじぶん自身に伝えるつもりでお届けします。

これから職業として「写真を生きる糧にしたい」という方に対しては、価値を感じてもらえる内容だと思います。なんならフォトグラファーに限らず、フリーランスで生きていく方も、ぜひノウハウを盗んでいってください。

なぜお金を稼ぐのか

写真を撮ることが本業ということは、当然写真を撮ることでお金を稼がなくてはいけません。でも、お金を稼ぐこと自体が目的ではないですよね。

なぜお金を稼ぐのか?

改めて考えてみると、じぶんにとってお金を稼ぐことはディフェンシブな意味合いが強いです。

重視するのは「やりたくないことを無理してやらなくてすむ」ということ。もしお金がなければ、やりたくない仕事も受けなくてはいけないかもしれませんよね。不本意な謝礼金でも何も言いかえせないかも。最悪の場合オーバーワークで体を壊したり、そもそも仕事として継続していくことが出来ないかもしれません。

生活するお金の他にも、投資するお金も必要です。機材を買ったり、旅に出たり、本を買ったり、そう写真集とか買ってるとまとまって出て行きますからね。

好きなことを仕事にしているので、採算度外視でやります!という態度は長い目で見てだれも得しない結果に終わる可能性があります。あなたが才能のある人だったらなおさらです。

マーケティングの重要性

昔はプロとアマチュアには大きな差がありました。機材であったり、技術、人脈などなど、いろんな要因があげられるかと思います。

いま写真業界でプロとアマの差が縮まったことは、やはりSNSの影響が多分にあるでしょう。

引用のツイートもにもある通り、写真の撮影→結果までのサイクルの短さ、さらに結果から得られるフィードバックもSNSではリアルタイムです。

プロとアマの差が縮まったいま、とても大切な能力がマーケティングです。

ここでマーケティングとは?ということなんですが、マーケティングってものを売ること、営業することではないんですね。

マーケティングとは「売る」ことではなく「売れる状態にする」ことです。提供する商品やサービスが、勝手にどんどん売れていく状態をつくりあげるための、その全ての活動がマーケティングになります。

マーケティングの最大の仕事がブランディング

「売れる状態にすること」ということで具体的には、Webサイトを充実させるとか、プロフィール写真を魅力的にするとか、いまならSNSアカウントを開設するとか、いろいろあります。

売れる状態にすること、その最大の仕事がブランディングになります。

「ブランディング」ときくと、なんか格好つけないといけないのかな、とか考えちゃいますよね。でもブランディングって変に格好つけるとかではなく、「選ばれる必然」をつくることなんです。

いくら魅力的なWebサイトであっても、クライアントにあなたを選ぶ必然がなければ仕事は来ません。「選ばれる必然」とは他の多くのフォトグラファーとの違いとなるもの、独自性です。あなたの独自性とはなんなのか?

それを知るために一番手っ取り早いのは、あなた自身の特集記事を書いてみることです。一般紙とか、まあなんでも良いんですけど例えば日経新聞の記者になったつもりで、じぶんに取材してみましょう。

「なぜフォトグラファーになったのか?」「どんな写真を撮っているのか?」「写真を撮ることでどうなりたいのか?」それらのストーリーや、写真のコンセプト、活動のユニークさが他フォトグラファーとの違い、そのままブランディングになります。

ちなみに以下は「日経マガジンスタイル」という、日経新聞社が首都圏で発行するフリーマガジンにて、保井が取材を受けたときの記事です。

じぶん自身を紹介する短い見出し、例えば上の記事であれば「Instagramの写真が注目を集め、プロの写真家となった・・・」とありますが、それはフォトグラファーというメインタイトルのあとに続く、いわば「サブタイトル」になります。

このサブタイトルは、人によってはSNSのフォロワー数かもしれませんし、受賞した写真賞とか、出版した写真集とか様々あるでしょう。

金額の大きなお仕事の場合は、お金を出す人(会社)と、あなたを起用したいと思っている人は別人のケースが多いです。起用したい人は、お金を出す人に向けて、あなたの説明をしたり資料を作ったりします。

魅力的な「サブタイトル」があるかどうかは、その結果を左右する大きな基準となります。

あと、記事では「街中に"物語"のあるシーンを探し出す」とありますが、じぶん自身を取材することで、自らの写真のコンセプトを客観的に見ることも大事ですよね。

SNSのフォロワー数は多い方がいいのか

SNSのフォロワー数は・・・、やっぱり多い方がいいに決まってます。

そもそもビジネスの原則は人を動かすことです。逆にいえば「フォローボタンを押してもらう」というハードルをもクリアできないなら、ビジネスとして厳しい戦いとなりそうです。

ただ、「フォロワー数が多い=良い仕事が来る」ではありません。もっというと「フォロワー数が多いから来る仕事」はとても質が低いです。

上のツイートはこれはこれで正直な気持ちですが、ほんとうにいいたかったのは以下のツイートなのです(Twitterはえてして本筋とは別が拡散される・・・)。

フォロワー数が多いのは結果なんですね。結果の原因となっている独自性やスタイルに合わせて仕事が来たとき、それにハマったときはとても充実した仕事ができます。ここでは2017年の沖縄県とANAのお仕事での撮影のことをいっています。

参照 : 7日で7つ沖縄島めぐり|宮古諸島と八重山諸島をめぐる

あと、お仕事でお会いする方からは、ほぼ例外なく「ずっと以前から写真を拝見していて、いつかお仕事したいと思っていました」といっていただけます。

「よし、SNSのフォロワー数を増やそう!」といっても、例えば確信犯で炎上してみたり、女性であれば意味なく脱いでみたりとか、それで集まってくる人たちは、あなたの望む人たちなんでしょうか。その数が「フォロワー」なのか、ただの「野次馬」なのか。

となると、ただフォロワー数が多いだけじゃダメだって結論になりますよね。余談ですが保井は「インフルエンサー」と呼ばれるのは基本的に不本意です。

アンチについて

ネットで、それこそSNSで日々発信していると必ず敵対する人、いわゆるアンチがうまれます。

そういったアンチには、絶対に近づいてはいけません。アンチがいる場所は、もはや心霊現場みたいなもので、近づいて良いことは一つもありません。

たまに面白がって心霊現場におもむく人がいますけど、心霊現場には心霊現場のルールやコミュニティがあると思うんですよね。それはそれで敬意を表して、異世界ということで近づかないようにしましょう。

それこそ最近の若い子とかいって、あんまりひとくくりにするのもあれですけど、めっちゃ良い子が多いんです。良い子すぎる、素直すぎる、そして傷つきやすすぎるとか。

日々、がんばって前進しているとアンチとか嫉妬して足を引っ張る人はどうしてもでてきます。そういった人たちは本質的に弱い人たちなので、優しい子は相手にしちゃうんですよね。

そういった困った人たちを置き去りにする冷酷さとか、ふてぶてしさというのも必要だと思うんです。

だれか有名な人の言葉だったか忘れちゃいましたけど、”必ず成功する方法はないが、必ず失敗する方法ならある。「すべての人を喜ばせようとすること」だ”ってやつです。

ギャラの交渉の仕方

フリーランスは毎月お給料が支給されるわけではないので、案件ごとにギャラの交渉というステップをふむことになります。

ギャラの交渉について質問されることは多々ありますが、とてもシンプルで、「○万円以下ではやりません」といえること、それにつきます。

たとえば保井だと2018年1月現在、撮影料として「1日10万円・出張は20万〜+経費」が基準になります。それ以下だとお断りする確率が高くなりますが、もちろん仕事によってはお受けします。要はこの基準の金額をじぶんのステージごとに決めることが大切です。

ここでマーケティングの重要性に立ち返ることになります。当然需要の高い人ほどギャラが高くなっていくわけです。

請求書の書きかた

フリーランスになると案件ごとに請求書を作成する必要があります。これをやらないとお給料が振り込まれません。後にも出てくる確定申告では会計ソフトを使いますが、じぶんは「freee」を使っていまして、請求書もfreeeで作ることができます。

だいたいどの会計ソフトでも請求書が発行できるかと思います。freeeでは、あらかじめ設定画面から、事業所(屋号)、住所、ギャラを振り込んでもらう口座、ハンコ(社印)などを入力しておくことができます。

以下が、実際に保井が送っている請求書になります(これにハンコが加わる)。

請求書作成のさいにfreeeにて入力するのは、請求先、請求書番号(任意の数字)、請求する日付、項目(クライアントに確認するのも可)、請求金額などになります。

振込手数料は支払い主が負担するのが暗黙の了解になっていますが、心配であれば「振込手数料はご負担ください」と備考欄に入力しておいた方がいいでしょう。

消費税はfreeeの場合、自動で計算して追加してくれます。「消費税って請求できるの?」と思われるかもしれませんが、必ず請求してください。いずれ自身も消費税を売上から払う立場になりますので。

消費税は年間の売上が1,000万円を超えた翌々年の売上から納めなければいけません。逆にいえば、売上が1,000万円を超えない間は「免税事業者」となり消費税を納める義務はありません。これも覚えておいてください。

ちょうど保井は来年の売上から消費税を納める「課税事業者」になります。ガクブル・・・。

確定申告と支払うお金の種類

フリーランスになると必ずやらなければいけない作業、そう確定申告です。わかります、じぶんも嫌でした笑。

でも初年度から税理士を雇う必要はなくて、いまなら会計ソフトを使うという手があります。いずれにせよ確定申告の際には、最低一冊は本を読んでおいた方がいいです。初年度に参考にした本がこちら。

参照 : 世界一ラクにできる確定申告 ~全自動クラウド会計ソフト「freee」で仕訳なし・入力ストレス最小限!

新しい本でいえばこちらもわかりやすくて参考になりました。

参照 : 駆け出しクリエイターのための お金と確定申告Q&A

会計ソフトを使うという前提でいくつかポイントを。箇条書きレベルなので、しっかり本を読んでくださいね。

現金派からクレジットカード派へ

旅費、機材、打ち合わせのためのお茶など、仕事に関する支出は全てクレジットカードで支払いましょう。その明細は全て会計ソフトで自動で同期できるので、金額を手入力する手間が省けるからです。

クレジットカードで支払えない飲食店での打ち合わせなどは、レシートをもらっておいて後から手入力になります。「領収書ください」は実はいわなくていいみたいです。レシートであれば証明になるとのこと。

そうそう、フリーランスになってからでは新規のクレジットカードの審査が通りにくいので、会社員のうちに作っておいた方がいいです。最近はいきなりフリーランスになる人もいるんですけど、クレジットカードどうしてるんでしょう?

青色申告をする

初年度から青色申告をすること、かつ赤字であっても必ず申告すること。詳しい説明は上の本に譲りますが「マイナスだから申告しなくていいか」は、後々損することになります。

固定資産について

機材やパソコンは10万円を超えることが多いですよね。この10万円以上の支出は、経費の中でも「固定資産」という種類に入ります。これらは減価償却といって、年をまたいで徐々に経費にする必要があります。ちなみにカメラ・レンズの耐用年数は5年です。

ただ30万円未満の固定資産であれば、「少額減価償却資産」といって、その年で一括償却できます(トータル年間300万以下)。これも覚えておいてください。

支払うお金の種類

税金や保険はもちろん会社員であっても支払うわけですが、フリーランスほどは気にしないかもしれません。

フリーランスになってから必ず支払うお金の種類は、国民年金、国民健康保険、所得税、住民税、の4つになります。

初年度の売上にもよりますが、2年目以降は上記に加えて、個人事業税、予定納税も支払う必要がでてきます。不意打ちのように払込票が送られてくるので、心の準備をしておいてください笑。

あと任意で支払うお金で代表的なものは、国民年金基金や、小規模企業共済などがあります。これらは課税所得から全額差し引かれるので節税にもなります。ふるさと納税を活用している方も多いと聞きますね。

固定費を上げるのは慎重に

こうやってじぶんでマーケティングをやって、経費を管理して、税金払ってとなると、あたかも「じぶん株式会社」のようですね。

それでいうとあなたは「じぶん株式会社」の経営者ですから、取引先も増えて、単価も上がってくると、会社員では考えられないくらい収入が上がっていきます。

でも冷静になってみると、フォトグラファーというのは水商売、人気商売であり、キャバクラのお姉さんと本質的には同じです。

キャバクラのお姉さんだって、ただ綺麗なだけじゃなくて、経営者としてマーケティング感覚に優れた方がどんどんランクを上げていくんですよね。ただ、やっぱり表に出るような仕事にはどうしても期限があります。

支出に関して、家と車の2大固定費には特に慎重になりましょう。絶好調だと「この状態がずっと続くのかな」って思っちゃうんですよね。さらにその絶好調をなんらかの形で見せたくなって、高級車を買ったり、身の丈に合わない家賃の家に引っ越したりとか・・・、正直いってじぶんもそんな気持ちはゼロではありません。

でもそれって、誰に対しての見栄なんでしょうか。そんな見栄でリスペクトされても意味ないですよね。高級車のブランドに乗っかるのではなく、プロとしてじぶんというブランドで勝負すべきです。

収入を分散化する

「じぶん株式会社」の経営者として、少数のクライアントに依存するリスクについても考えなくてはいけません。あと一つの事業に依存するのも同時にリスクがあります。

じぶんは文章はとくに勉強したわけではありませんが、2016年8月からここnoteで有料マガジンを始めました。【写真家の日記】と題して、月10回の発行周期で発信しています。

今では購読者も増えて、年間で考えれば少なくない売上になってきています。写真とは別に一本の柱ができましたね。これが収入の分散化です。

実は発信する内容はただの日記なのですが、それがまた絶妙に居心地の良いアウトプットになっていて、なくてはならない習慣となっています。

有料マガジンを始めよう

ポイントとなるのは一記事の文字数と、発行周期の2点です。

有料マガジンの中でも、「月額○○円」の継続課金マガジンに関しては、発行するために審査があります。発行周期はその際に申告することになっています。

じぶんの場合は文字数1,000〜1,500程度、月10回の更新です。テーマあっての発信というよりも日記・雑記ですね。継続性という点では、こういう日記の方がハードルが低くてベターかなと。

そして、有料マガジンは内容よりも「同じ目線で横並びで話しているような距離感」で書けるかどうかがポイントです。

下手に「○○を実現させた3つの方法」みたいなお役立ち記事を書いてはいけません。「お金をとるからには」とリキんで書いても、いやいやそれ続かないでしょう笑。むしろ誤解を恐れずいうと内容なんてなくてもいいんです。

まずはこの距離感を身につけることをマガジンの目標にします。そこに心地よさを感じてくれる購読者は残ってくれるし、合わない人は離れていくでしょう。いいんです、それで。

本業の写真での成果と同じ曲線で購読者も増えていくので、見切り発車でも始めておきましょう。未熟なじぶんの成長をドキュメントするつもりで。

編集センスを鍛える

「経営者の次は編集者か!」という感じで忙しいですが笑。

実は写真の強みは「コンテンツの再編集ができること」があげられると常日頃から思ってるんです。もうすこし下世話にいうと再利用ともいえる。以下の記事に詳しく書いてあるので、ぜひ改めて読んでみてください。

こういった編んで集める方の編集力は、じぶんの写真や活動をふかんで眺めるクセがつきます。写真は文章や動画と比べて、小回りのきくとても有利なコンテンツなのです。

もしライターであれば、書いた文章はその文章をもって完結ですよね。でも写真であればコンテンツに合わせて何度でも再編集して使うことができます。SNSや記事で使ったり、使用料をとるかたちで利益をうむことできます。過去に撮った写真も資産として蓄積されていくのです。

ちなみにこの「フリーランスフォトグラファーの教科書」でアップしている写真は全て東京で撮った写真です。

文章にある程度マッチすることと、noteの新機能「みんなのフォトギャラリー」に提供するという意図で選んでます。この記事を読んで「良い写真だな」と思ったらnoteでテキストを書くかたは誰でもヘッダ画像に使うことができるんですね。

そうなれば写真を使ってくれたかたのnoteから保井のnoteにリンクされるので、また新しいかたにこの記事が読まれる機会にもなります。

このように、すでにある手持ちの資産に気づくこと、それを最適化することも編集センスなのかなと。

最後に

というわけで、「フリーランスフォトグラファーの教科書」と大それたテーマでお届けしてきました。3年間の集大成のような気持ちで書きました。

もちろんじぶんはプロなので、多分に我田引水があることをご了承ください。そこを差し引いて受け取っていただけたらと思います。

書きたいことは、ほぼ詰め込んだので、無料部分でも十分参考になると思います。もう少しだけおつきあいいただける方は、放課後の気分で以下の有料部分も読んでみてください。「マーケティングの不必要性」と「バズらない価値」について書いています。それでは。

【1月11日追記】有料部分を500円→600円にしました

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フリーランスフォトグラファーの教科書

保井崇志

600円

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保井崇志

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コメント3件

アフタースクール部分まで含めて、とても参考になりました。保井さんのスタンスに心惹かれるものがあります。シェアありがとうございました。
末吉宏臣さん、恐縮です!そう言っていただき嬉しいです。
とても参考になりました!何度も何度も読み返したい記事です!ありがとうございます。
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