異世界

火曜日の休みは珍しい。祝日の多くは月曜日か金曜日であり、週の半ばに休めることは滅多にない。今日は前もって調べておいたホテルの朝食のバイキングに行った。普段とは違う客層の中で、ツイッターもホテルの1Fのレストランも同じくらい異世界だなと私は思った。料理はまずまずだった。出来たてのフレンチトーストにこれでもかと蜂蜜をぶちまけ平らげる。5種類のカレーはどれも味がいまいちで、これでも売れるのか、と、こみ上げてくる喜びに胸を高鳴らせた。仕事の話で盛り上がるビジネスマン、ぴっちりとした服を着ている自転車アスリート、顔つきだけではなく服まで同じ母と娘。ホテルの1階は(普段訪れないという意味で)間違いなく異世界だった。持参した本を片手にそのまま図書館へ向った。この街で最も美しい公共施設である、お気に入りの図書館だ。職場の同僚は誰も行くことはない。私の為に用意された世界。私が選んだ世界。私はこの中で死んでもいいと思えるほどに、幸せだった。

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