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同人小説「だけ」で暮らしていきたいなら、まずは1年で100万字書きましょう【終】

こちらは続き物の記事です。
前回投稿分をご覧いただいていない方は、下記よりお読みいただけると内容の繋がりが分かりやすいと思います。

こんにちは、千賀つづらです。
普段は同人小説やシナリオなどを書いて暮らしている、いわゆる同人作家です。
今回は、前回の続きとして、同人小説「だけ」で暮らしていくための地道な方法を書いていきたいと思います。

小説の具体的な書き方や作品の作り方を書いたものではありませんので、その点はご了承ください。

基盤としての支援サイト

さて、前回私は「広告として無料で読める作品をたくさん作りましょう」「ひたすら新作を出し続けてください」と言って、何はなくとも小説を書き続けるようにとゴリ押しにも程がある話をしました。

前回も言いましたが、このコンテンツ大飽和時代、新作を出さなければ作者の名前など一瞬で忘れ去られてしまうからです。

ですが、やはり人間ですからどうしても安定的な基盤がもう一つ欲しい、もし新作がかけなくなったら…と不安になることもあるでしょう。

そこで私がおすすめしたいのは、もう一つの基盤として「支援サイト」を立ち上げることです。

まずは立ち上げて、コンテンツの拡充を目指す

支援サイト、有名なのはFantiaさん、pixivFANBOXさん、Ci-enさんあたりでしょうか。他にもいくつかありますが、こと小説という分野に特化するならばこの三つが最適だと思います。

支援サイトというのは、クリエイターの活動を読者さん方にサポートしてもらう、いわゆる投げ銭サイトです。
新作を出しながらこちらを同時に展開していくと、作品販売のみの活動よりも少し安定するのではないかな、と考えています。
継続支援が見込めるのならば、精神的な支柱としては十分すぎるほどです。

小説の伸び率はそれほど大きくないことを自覚する

ここまでシリーズを読んできてくださった方ならばおわかりかもしれませんが、小説は「一見した時のインパクト」がとても弱い性質があります。
一歩内側に踏み込んで、作品を読んでもらえれば一気に世界観に引き込める可能性が高いという側面がありつつも、パッと見の引き寄せる力はとても弱い。それが小説というコンテンツの特性なのです。

では、どうすればせっかく作った支援サイトを伸ばし、多くのフォロワーさんや支援者さんを得ることができるのでしょうか。

答えは更新あるのみ

まず100万字書きましょうというタイトルの通り、ここでも書きまくるしかないのです。

更新と言っても、1,000文字ほどの話を月に1回などでは話になりません。

最低でも8,000~1万字あたりの短編を、月に2回以上。
もっと言うなら一回あたり1万字以上の話を週に1度投稿できると最高です。

小説が非常に強い支援サイトとしてFantiaさんが挙げられるのですが、ここでの「女性向け/小説」クリエイターランクの上位は皆さん月2~4回ほどの更新をしています。それでいて文字数も、多い方で一回2万字以上…これを一年以上続けている方もいらっしゃいます。

ちなみに私も、月に3~4回、1万字程度の小説を支援サイトに掲載しています。
(現在は療養中のため、期間限定で更新頻度を月2回~としています)

前回、前々回とシリーズを重ねてきて、大体ここまでで55万~80万字ほど小説を書いてきたかと思います。
ここで、更に1万字×月4回=4万字更にこれを毎月で×12カ月=48万字追加してください。

これで少なくとも、100万字は越えましたね。
これにて「まずは1年で100万字」達成です!おめでとうございます!

それができたら苦労はしない

…と、かなり無理矢理に「100万字の内訳」が出揃いましたが、ここまで読んでくださった方は皆さん思っていると思います。

「それができたら苦労してないんだよな…」

……実は私も、完全にこのやり方にのっとって日々の製作を行っているわけではありません。

実際、私は支援サイトはサークル活動を始めて1年以上たってから本格運用を開始しましたし、「さぁ、これから同人小説を書いて暮らしていくぞ!」と思っている方に「じゃあこれを全部やってください」はあまりに酷だとも思います。

ですが、今から私が「全く新規のアカウント・筆名でサークルを伸ばしてください」と言われたら、きっとここに書いてあることを律儀に行うでしょう。

今、乙女向けノベル界隈はどんどん人が増えています。
ここに参入し「同人だけで暮らしていく」を実現するなら、他人ができないようなことをしていくしかないのです。

実際には「執筆以外」の活動がたくさんある

同人作家は、物書きであるのと同時にプロデューサーでもあります。

どんな風にしたら自分の作品を読んでもらえるのか、どんな風に書いたらこのキャラクタ―を気に入ってもらえるのか。
そして、どこまで自分の作った話を愛してもらえるのか。

これらをすべて考え、更に「今求められているもの」を追い、時にはイラストレーターさんなどの力を借り、時にはスケジュールに追われながらの校正作業を行ったりもします。

小説を書いて書いて書きまくって、その合間に市場の調査をしたりしなければなりませんし、自分の中で性癖のぶつけ合いをすることもあるでしょう。

年に100万字、バリバリ書きまくってもまだまだ仕事があるのです。
ですが、「まずは」100万字書きましょう。最初に頭の中で計画ばかり立ててもその通りになんて絶対にならないのですから、書いて書いて、書きながら少しずつ軌道修正を繰り返していきましょう。

それでもやめられない止まらない

「お前の言ってること結局根性論じゃん」
このシリーズに関しては、本当にそう言われてもおかしくありません。

しかし、前述したとおり今はプロ作家ですら専業で食べていくのが難しい時代です。
流通量が商業と比べて極端に制限された、マイナー極まりないノベルの世界で生き残ろうと思うと、やっぱりこれくらい気合を入れていかないといけません。

それに、ここまで一貫して「生活をしていくために」書くことにフォーカスを当ててきましたが、やっぱり創作活動で一番うれしいのは作品が出来上がり、たくさんの人に読んでもらえることです。

創作をしていると孤独極まりないですし、それを乗り越えて「面白かった!」とか「このキャラクターが本当に好きです」とか「続編待ってました!」とか言われると、やっぱり次への原動力に直結するのかなと思います。これがあるから創作やめられないんですよね。

同人小説だけで暮らしていきたいなら、「まずは」1年で100万字書きましょう

3回にわたって、同人小説を書いて生きていくためのゴリゴリマッチョな方法を書いてきました。

しかも、この1年で100万字はまだまだ続きます。
次の年は販売本数を増やしてみたり、Skebなどで依頼を受けてみたり、音声シナリオを作って別ジャンルに挑戦してみたり……

そうしているうちに、「あれ、今年もまた100万字書いてた」ということはよくあります。
数字が数字なので物凄い大きなハードルに見えますが、一度超えると案外そこまで苦労する数字でもないので、もしよかったら「1年で100万字書けるかチャレンジ」などをしてみてください。

あまり技巧的な話などはしませんでしたが、ひとまずこのシリーズはこれにて終了とさせていただきます。
世の中にはこうやって生きている人間がいるんだな~と、ほんのり知っていただけたら幸いです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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