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投稿していた支援サイトに文言規制が入ったので個人サイトを作った話

こんにちは、千賀つづらです。
現在は専業の物書きをしており、同人小説や商業小説、時にはシナリオなどを書いています。

今回は、私の身の回りで起きたちょっとした(?)騒動と、その対策として令和のこの世に個人サイトを作ったので、そのことをお話したいと思います。


短編小説の投稿に際し、有料の支援サイトで活動を行っています

前提としてのお話なのですが、私は1万字程度のオリジナル短編小説を月に何度か「Ci-en」「Fantia」という二つの支援サイトに投稿しております。
月額300円で月に2~4本ほどのお話を投稿しており、ありがたいことにたくさんの方にご覧いただいているという状況です。

中でもとらのあなさんが運営しているFantiaは、最近女性向けのR-18小説ファンサイトが急激に勢いを増している状況です。
トップ層だと1万人以上のフォロワーさんを抱えることもあり、人気の作品は音声化・漫画化というメディアミックスも盛んにおこなわれています。

そんなひとつの文化圏を築いている状況のFantiaさんで、とあるお知らせが形成されました。

Fantia、伏字対応の強化をする

ことが起きたのは2024年4月2日のこと。
下記のようなお知らせが掲載されました。

これよりも前に、DLsiteさんがクレジットカード会社からの要請により、一部の語句を「調教→しつけ」「鬼畜→超ひどい」などマイルド(?)な表現に変更したことは割と記憶に新しいかもしれません。

ただ、あの時は運営会社さんから一斉にメールが飛んだんですよね
ユーザーもクリエイターに対してもメールが送られたのであれだけ大きな騒ぎになったと思うんですが、Fantiaさん側から文字列の伏字を強化するよ~というメールでのお知らせは届いておりませんでした。
(サイト内のお知らせ一覧にはしっかりとお知らせが記載されていました)

毎日お知らせをチェックしていなかった私が悪いのですが、結果として私がこの一件に気が付いたのは数日経ってから、具体的には、自分が書いた小説をアップロードした4月5日のことでした。

小説が小説の体を成さなくなったので移行先を考える

尚、「隠語を使用した悪意ある伏字化回避」や「検索エンジンへの意図しない表示」を避けるため、伏字については言い換えではなく、全文字伏字(例:レ〇プ⇒〇〇〇)とさせていただきます。
※悪意ある回避防止のため、伏字対象文字列の公表は控えさせていただきます。

https://spotlight.fantia.jp/news/censoredword-2

上記のお知らせにはこのようなことが書いてあり、最初のうちはある程度納得というか、「まぁ仕方がないなぁ」という気持ちでした。

エロ小説って現在の流行的にどんどん語彙が強く、かつ直接的になりがちなので、ある程度規制が入るのは仕方がない…
この時はそう思っていたんです。
ご時世的にも色々難しいし、運営さんもギリギリのところで頑張ってくれてるし……多少文字が使えなくなったところで、それとなく察してもらえればいいかな……と、本当にそう思っていました。

ですが、そうもいっていられなくなりました。

この伏字対応、前後の文脈に関係なく、一斉かつ自動で伏字にされてしまうことが分かったのです。

例えば
「事件の被害者は子供だった。押しかけてきた銀行強盗に無理矢理腕を引っぱられたのだ」
という文章があったとすると、4/21現在のFantiaではこうなります
「事件の○○者は○○だった。押しかけてきた銀行○○に○○○○腕を引っ張られたのだ」

……どうでしょう。
恐らくNGと思われる文言を一斉に排除しているのでしょうが、全くエロではない、普通の文章がこういう形で伏字になってしまったのです。
これはさすがに…小説としての体を成していない……
小説は目から入ってくる情報が文字だけなので、この手の伏字はものすごくノイズになる…でも自分ではどうしようもない……

というか小説ジャンル終わったんじゃない? かつて小説の自由さに救われた私は、この瞬間に焦りとか怒りとか色々なものを胸に抱き始めました。

誰にも縛られない自分だけの城。そうだ、個人サイトを作ろう

Fantiaさんを取り巻く状況が大変なのはなんとなくわかる。でも、これじゃ小説なんて掲載できないじゃないか。

かといって、Fantiaだけで3000人以上いるフォロワーさん・支援者さん全員にCi-enへ移動してもらうのはかなり難しい!というかCi-enさんはDLsiteさんの系列で直近色々あった!

……となれば、私に必要なものはなんだ。
読者の方が読みやすく、かつノイズが入りにくい方法での小説の公開方法……

以前からサイトの支援者さんにはPDFファイルを配布しており、そちらで読んでもらうのもいいなと思ったのですが、やっぱりDLの手間とか容量とかそういうのを考えたら、ブラウザで完結できる方法もほしい…

そう考えた私は、ある結論にたどり着きました。

そうだ、個人サイトを作ろう。

何が必要なのか

個人サイトを作るには、そのサイトを作るためのレンタルサーバーを契約する必要があります。

無料のサーバーを借りることもできるのですが、有料で支援してくれている支援者さんへ向けたページを作るという特性上、念のため商用目的での利用が可能な有料のサーバーを借りることにしました。

サーバーはどこがいいのか

上記の記事でも書いていたように、私はかつて隆盛だったケータイサイトというものを嗜んでおりました。
リンク張るくらいなら何も見ないでタグを打てますし、なんとかなるかな…と思っていたのですが、ここで立ちはだかる問題が。

そう、私が書いているのはエロ小説。
隠しページのリンクが背景と同じ色にカモフラージュされてる二次創作の激裏夢小説とかではなく、一次創作のヤバめの語彙をしたエロ小説です。

ついでにDLsiteとかで売っている小説もお仕事として請け負っている音声やマンガのシナリオももれなく18禁です。
となると、自然と借りられるサーバーは限られてきます。

有料で、かつ商用利用可能、そしてアダルト(テキスト)掲載可能なサイトを探さなくてはなりません。

予算とサーバー代金の兼ね合い

更に、レンタルサーバーに月々どれくらいのお金がかかるのかも調べなければなりません。

ここに関しては、普段二つのサイトでいただいているご支援を利用させていただきました。本当にありがたいことです…

とはいえ月々の料金がバリバリに高くてもアッ……となるので、ある程度コスパがよくて、死ぬほど重たくなったりしない普通のサーバーはないものか……
正直サーバーのスペックなんてよくわかんないし、テキストメインのサイトで容量って言ってもたかが知れてる…ついでになんかワードプレス?みたいなやつも使ってみたい……

そんな感じで漠然と考えつつ、下記のような比較サイトをポチポチとみていました

選ばれたのはシン・レンタルサーバーでした

ダメだ。なんにもわからん。
そう思っていた私が選んだのは、「コスパNo.1」とか書かれていることが多いシン・レンタルサーバーでした。

決め手はただ一つ。「なんかいろんなところでオススメされてたから」です。
いや、わかります。アフィリエイトとか報酬が絡んでるとかいろいろあるのはわかります。でもぶっちゃけ動画サイトとかならまだしも、小説のサイトでそこまで大きな違いはないと思って…

とりあえず、私の求めていた条件に合致しておりましたので、今回はシン・レンタルサーバーさんをお借りしました。
ちなみにプランはベーシックプランです。

個人サイトを作ろう!~実践編~

サーバーを決めたのでいざ契約!
と思ったんですが、まぁ最初はなにがなにやら。
実は結構前に別のサーバーと契約して二次創作サイト作ろうと思っていたこともあったんですが、その時のこともすっかり忘れていました。

そこで、今回も人類の叡智・Google先生に「シン・レンタルサーバー 契約方法」とかでお伺いを立てまして、こんな感じのページをいくつか見ながら無事にサーバー契約&WordPressの設定も完了しました。

参考にしたページの例👇

えっ、HTML手打ちしなくていいんですか…?

そんなこんなで無事にサイトを作るための基本的な部分を作り終えた私ですが、まず驚いたのは「HTML手打ちしなくていいんですか…?」ということでした。

利用している支援サイトもわざわざHTMLを手打ちしなくていいようにはなってるんですが、それはそういうインフラが整っているサイトだからだと思っていたので……

こういう感じで、ポチポチしただけでリンクをつなげたり、文字の色を変えられたりすることにえらくびっくりしました…ワシの時代は色変えるのも一苦労だったんじゃ…

見られればいいのでテンプレートはシンプルなものを

テンプレートも、WordPressと一緒にくっついてきた「Cocoon」というテンプレートのスキンをお借りしました。

同人向けテンプレートなる素敵なものがあるというのはnoteの記事で読んだことがあるのですが、あくまでテキストベースのサイトなので、文章を読みやすく、また私の編集のための心理的コストを下げるためにもできるだけシンプルなものを選びました。

パソコンからでもスマホで見た場合の見栄えを確認できる機能はすごくありがたいです…

固定ページで「あの頃の個人サイト」感を出す

Cocoonのテンプレートは、そのままではすごくブログ感が溢れるページになります。
私が作りたいのは「あの頃の個人サイト」感があるページなので、「固定ページ」というものをトップページに割り当てて、普通のサイトっぽい見た目にしてあります。
下記のようなサイトを参考にしました。

私のサイトにはお仕事をまとめた「Work」ページや、Pixivなどに掲載した小説を載せている「Novel」ページもあるのですが、それらもすべて固定ページで作成し、そこにリンクをペタペタ張り付けています。

もっとスマートな方法もあると思いますが、「あの頃の個人サイト」感がちょっとありますよね…

とりあえず「自分の城」を手に入れて

サイトの設定など、技術的な部分は私もあんまりしっかりとはわかっていないのですが、一応検索避け等を終えて…(サイト自体とそれぞれのページに「サイトをインデックスしない」というチェックマークがあるので、それをチェックしてます)

自分の城こと個人サイト、完成!

私の場合は、ここに支援サイトの支援者様限定で小説をアップロードし、各支援サイトでそこのパスワードをお伝えするという形を取ることにしました。
(従来通り支援サイトで小説の掲載もしていますが、前述のとおりFantiaさんは伏字になる&何が伏字になるのか明記されていないので…)

個人サイトを作ってみたメリット

ここからは、個人サイトを運営して一週間ほどで感じたメリット・デメリットをお伝えします。

メリット①誰とも比べられないので非常に穏やかな時間が流れている

PixivとかFantiaとかCi-enとか、今の投稿サイトってどうしても「いいね」「お気に入り」の数が可視化されたり、ランキング表記があったりします。
そこで心を病む人も多くいるわけでして、個人サイトだとまずそれがないので心が穏やかになりますね……

一応管理者から見ればどこの話が人気とかはわかるんですが、掲載している日にちとかも違うので、特に気にはなりませんでした。

逆に、たくさんの人に見てもらいたい!バズれ!という方にはちょっとデメリットになるかもしれませんね。

メリット②誰にも邪魔されないという心の安寧が手に入る

自分の城ですから、訳の分からないところを伏字にされる必要がないわけです…!

もうこれが一番。
自分のサイトに載せてる文章で、強引とかそういう一般的な語彙をいきなり伏字にされることはないわけです。

実はこの件について私はかなりキレ散らかしておりまして(エックもといTwitterをご覧の方には見苦しいところをお見せしました…)、数日間大変なことになっておりましたが…今は心が穏やかなものです……
それはそれとしてどうかとは思うんですがね。対応的に仕方がないんでしょうが。

メリット③アフィリエイトリンク置いておくとお小遣いが稼げるかもしれない

これはCi-enさんとかでもやっていることですが、DLsiteさんとかFANZAさんとかは、「ここのリンクからウチのサイトに飛んでくれた人がなんか買ってくれたら、幾分か宣伝費払いまっせ~!」ということをしています。
いわゆるアフィリエイトですね。

DLsiteさんやFANZAさんなどで作品を売っている人は、その作品のアフィリエイトリンクとかを置いておくと、そこから誰かが買ってくれるかもしれません。
https://www.dlsite.com/home/guide/affiliate

私も自分のサークルページへのリンクなどはアフィリエイトリンクにしてみましたが、ハーゲンダッツの抹茶味を明日のおやつにできるくらいの報酬が発生していました。すごい。ただただ感謝しかないです。

後述のデメリットで「お金がかかる」と書いてありますが、この月々のサーバー代をアフィリエイトで賄うぞ~!っていうのもアリだと思います。

個人サイトを作ってみたデメリット

デメリット①お金がかかる

先述しましたが、商用利用可でアダルトOKのサーバーとなると、まず選択肢は有料レンタルサーバーとなるわけです。
そうなるとまず金銭の負担が発生します。

私の場合サイトのご支援からサーバー代を出しているのですが、やっぱり個々人の経済状況などもありますし、プランや契約年数によっては負担が大きいな~と思うこともあるかもしれません。

ただ、自分の場合は
無料のサービスを借りてまた何か問題が起きる→もう一度どこかへ移転
となってフォロワーさん方にご迷惑をおかけするよりは、こちらで自分のサービス作るぞ…!という気持ちと責任を持つつもりでサーバーを契約しました。

デメリット②手間がかかる

今まで3サイト(Pixivのサンプル掲載・Ci-en&Fantiaへの本編掲載)で済んでいた更新作業が、純粋に一つ増えました。

あと、作品にはパスワードをかけたり、URLを特定しにくいものに変更するなどの作業が発生しているので、作業の手順としては5つくらい増えています。
これが単純に時間がかかって、管理が面倒です。
ここまでの話を聞いて「自サイト作ろうかな~」って思ってる方もいると思いますが、管理は思ったより面倒です。
プラグイン系の更新作業とかもありますしね……

デメリット③漠然とした不安が付きまとう

これはサイト運営のデメリットというか、現状への不安ですね。
ここ数か月で同人系のサイトを取り巻く動きがかなり変わってきているので、いつかは規制されてしまうんじゃないか…という不安が付きまといます。

ですが、これについては死なば諸共だと思ってください。
あるサイトでえっちはお話が禁止される→そのサイトに投稿してる大勢の作家皆が爆発四散する
ということです。
そうなると力の弱い一人一人の話というよりは、会社と会社とかそういうお話になってくると思いますので、今はこの漠然とした不安にはそっと蓋をしておきましょう。

でも、時々思い出してゾッとすることも大切ですね。

最後に

ここまで大変長々と書いてきましたが、実体験を大いに絡めたサイト作成の経緯と諸々のお話でした。

思っていたより簡単にサイトはできたけど、管理がすごく簡単というわけではないな、というのが、ここ数日の私の感想でもあります。
でもサイトを作らなければずっとモヤモヤしていた気持ちを抱えていたと思うので、作って良かったと思います。
物理的に読めない作品を人に読ませるというのは非常にストレスを感じましたから…。

現在Fantiaで小説を掲載されている方はそれぞれ色々な方法で対策を取っていますので、どこかで皆が報われればいいなぁと切に願うばかりです。

また、機械音痴がゆえに技術的なことをかなり端折ってしまったのは大変申し訳ありません。説明できる気がしませんでした。
ここについては各々で必要事項を検索していただく方が絶対にいいと思います。

最後になりますが、この記事が「色々あったし自サイト作ろうかなぁ」と思っている方の、ほんの一助になれば幸いです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。


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