見出し画像

同人小説「だけ」で暮らしていきたいなら、まずは1年で100万字書きましょう②

こちらは続き物の記事です。
前回投稿分をご覧いただいていない方は、下記よりお読みいただけると内容の繋がりが分かりやすいと思います。

こんにちは、千賀つづらです。
普段は同人小説やシナリオなどを書いて暮らしている、いわゆる同人作家です。
今回は、前回の続きとして、同人小説「だけ」で暮らしていくための地道な方法を書いていきたいと思います。

小説の具体的な書き方や作品の作り方を書いたものではありませんので、その点はご了承ください。

大切なのは、見せる機会を作ること

前回私は「まずは企画20本、小説10本書いてみよう!」とか「まずは作者の知名度を上げよう!」と言っていました。

どちらも作品を読んでもらう機会を増やすために大切なことですが、その中で最も有効な「知名度をあげるコツ」みたいなものは、やっぱり作品を出し続けることです。

無料で読める作品を複数用意する

現在、Pixivなどで小説を公開し、そこからファンサイト・支援サイトや作品の購入サイトへの動線とするやり方がすごく増えています。

賛否両論あるのは承知ですが、私もこの動線というのを使っていますし、実際Pixivという大きなプラットフォームの力を借りる方が集客が容易なのです。

今はX(Twitter)もちょっと怪しいですし、個人サイトはそもそも人目につきにくいので…

なので、まずはできるだけ大きなプラットフォームにアカウントを作り、いくつか「無料で最後まで読める」お話を掲載してください。
できれば、作品として売り出す小説とは別の、けれど属性として近しい小説が何本かあれば最高です。

1.5万~3万字クラスのお話が10本あれば(そしてできれば、お気に入り数などが多い作品がその中にあれば)もっと最高です。

更に言うと、それらはすべて「独立した一つのお話」であるのがいいと思います。
シリーズものとか続き物ではなく、それ単体で読めるお話ということですね。
シリーズものだと新規参入を見込むのが難しく、基本的に閲覧数・お気に入り数などは1作目がピークで、以降右肩下がりになっていきます。

結構な分量になりますが、これらはすべて「広告、あるいはポートフォリオ」と考えてください。
後々(掲載から数か月後とか)に全部まとめて総集編として販売する、ということもできますが、まずはそのことは考えずに。

さて、前回は企画を作って小説を書いて、40万~50万字ほど書いたと思いますが、ここで広告のために1.5万~3万字×10本=15万~30万字書くことになります。合計で55万~80万字ですね。

ここで大量にファンがつくと、販売サイトや支援サイトとかの誘導もかなりうまくいくと思います。
更に「漫画や音声のシナリオを書いてみたいな」と思って、クラウドソーシング系のサイトやどこかのサークルさんに営業をかけたりすることもあるかもしれません。
その作品たちを見て「すいません、ちょっとウチでシナリオ書いてみませんか?」とか声をかけられる可能性もあるかもしれないのです。

その時「自分これくらい書けます!」とPixivをポートフォリオ代わりにできたりするので、この「広告」は非常にオススメです。

作品を販売サイトで売っていく

ここまで準備が整ったら、これまで作った作品を売っていきましょう。

パッケージングや販売の手順などは先達の方々が書かれていたりすると思うので割愛しますが、既に「広告」となる小説を何本か投稿し、更に販売する別の小説を書き終えたならば、ここからは販売サイトでの配信が始まります。

販売にかかわる宣伝は、すればするだけいいと思います。

ちょっとうざいかな、と思うくらい宣伝しないと、読んでほしい層には届かない。これもよく言われていることです。
SNSのフォロワーさんが少なくて…という方は、DLsiteさんが運営しているブログっぽいプラットフォーム『Ci-en』がおすすめです
(似たサービスでFantiaというのもありますが、宣伝だけの目的ならCi-enがいいと思います。作品ページにこんな風にブログへのリンクが目立つ形で乗るので↓)

用意した、あるいはこれから書くお話は10本。
これを1年でバランスよく出していきます。一気にはダメですよ。大体月1ペースくらいで、ちゃんと予告掲載もします。

前回のお話で、「ストーリーと複数回のサビで大体4~5万字」と言いましたが、何本か書いていると、これが6万字になることも、8万字になることもあります。
更に、「500DL達成で書下ろし短編追加!」などをやると、更にいっぱい書くことになります。覚悟をしてください。

もっと言うと、途中で「あ、これ書きたい!」と思い付いた話を思いっきり書き進めてしまい、新しく1本できてしまうことだってあります。
この時点までくると、1年で100万字という数字にも現実味が出てくるでしょう。

では、この段階で「食べていける」のか

答えは「部分的に否」です。

新作を出し続けないと売り上げは落ちる

恐らく、10本も出していると全く作品が売れないという日はないと思います。(選ぶジャンルにもよるかもですが…)
運が良ければヒット作が出て、コミカライズや音声化のお誘いが来るかもしれません。

数作は1000DLを超す作品が出ていて、もしかすると自分一人でご飯を食べていくには困らなくなっているかもしれません。
あるいは効果的な宣伝や継続的な投稿のおかげでファンがついているかもしれません。

ですが、だからといって新作を出し続けるのをやめてはいけません。
こういう作品というのは、新作を出すのが何よりも強い宣伝になります。
少し売れたので次は3か月後、としていると、見る見るうちに認知度も売り上げも下がっていきます。

次回作の執筆に時間をかけるために1カ月空ける、とかならまだいいかもしれません。
「今までは短い作品ばかりでしたが、次はがっつりストーリーを作り込みます!」とかだったら逆に期待感が高まるのですが、どちらにしても新作が出ていない期間は売り上げが低迷すると思ってください。

半分ならまだいい方でしょう。
1/3ですとか、1/4くらいには落ち込んだりするかもしれません。
なので、1年だけではなくてこれからも「同人小説だけで食べていきたい!」と思っている方は、ひたすら新作を書き続けましょう。

言い方を選ばないと自転車操業とも言えますが、これが現状です。

安定した収入基盤というのがありませんから、新作を出さないと売り上げは落ちる。これが当たり前なのです。

さて、例え病気になっても、新作が思い浮かばなくても、出し続けなければ売り上げが下がる。

たくさん書こうが新規の購入だけではなかなか基盤が安定しない。
そう思うと不安になるかとも思います。
もちろん「どんどん新作書いていくぜ~!」というポテンシャルと情熱があれば最高なのですが、生き物なので調子が悪い日もあるでしょう。

では、なにか別の手段はないものか。
そう考えた時、今のムーブメントでは「支援サイトの運営」が視野に入ってきます。

次回はその「支援サイト」について、少し詳しく書いていきます。

それでは、また近々更新できればと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?