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手をかけた松


野良から、箱入り赤松へ。

🌲2022秋🌲
力強くて元気な松は庭師さんの剪定以外
なんの手もかからなかったのに、
枝ごとに、葉が枯れてきて、心配になる。
樹木医という存在を知って、来てもらう。

切り口から松ヤニがでて、
救う手立てのないマツクイムシではない
とわかって希望が見えた。
けど、放っておくと枯れる一方とのことで
応急処置をしてもらって、指示通り、
栄養を取ってしまうまわりの植木はなくし、
寒さ対策のため御座やむしろで覆った。

🌲2022冬🌲
日々枯れゆくのがおさまって、休眠期に入る冬、
根の復活を促進、菌根菌を直接吸収できるようにする
大規模な治療をしてもらった。

力になりたくて手伝わせてもらって
休憩でご馳走になったコーヒーが染みた。
雪が降り出して困難な作業の中、最後まで頑張った。


🌲2023春🌲
なにか伸びてきた?と思ったら新芽の準備!
うれしくて思わず声が出る、なでる。
ちょっとずつ葉が伸びてきて若々しい緑で活気が戻る。

🌲2023秋🌲
復活!と思ったら古い葉が枯れていく。
若い葉に今後を委ねたのかなとも思ったけど、
若い葉も枯れ、やわやわだった葉は、さすようにかたく変化してしまった。

枯れた葉、見た目を気にしてとったのが負担になってたのか。
夏の晴れた日は水やり100リットルが足りてなかったのか。
根は広く伸びてるのに岩の囲いの中だけあげてた時期のが弱ったのか。
猛暑が弱った身体にきつすぎたのか。

この時期特に来客が増えててたびたび弱ってること話すのが辛くなる、
剪定に来てた庭師さんにも弱ってるね、もうだめだと思いますわ、の言葉が元気になると信じているところに刺さる。
滋賀や丹後の海沿いに育つ活きいきとした松に
つぐみの松に元気をわけて、と祈る。

🌲2023冬🌲
枯れ具合、これからの治療費用、治るまで何年もの辛抱。
400年は生きられる松からしたら、
この一瞬具合が悪いだけでもしかしたら治るかもしれない。

けれど宿の開始、お出迎えの場所で元気のない植物に
お客さんに申し訳さを感じてあやまるのが続く。

樹木医さんの定期治療の予定だったけれど、
今までの写真を振り返ってどれだけの人たちを見守り、
親しまれてきたのかを確認。
いくつか今後のパターンを考える。

悩んでなやんで、勝手だけれど、伐採することを決意した。
寒さ対策と猛暑対策を兼ねていた麻紐を外す。
家を守ってくれたことへの感謝と、
伐採してしまうことへの謝罪の気持ちを込めて、お清めのお塩とお酒。
お気に入りの英勲をわたしも飲んでから剪定に入る。

切り口から、松のさわやかな香りが漂う。
この弱った身体で次に繋げようと松ぼっくりを作っていて生命を感じた、、
けれど、松やにはでてこず、もしかしたら、もう限界だったのかもしれない。


🌲2024🌲
枝ぶりが雄鹿のツノのようにかっこよかったので、
葉をとり、樹皮をめくったら、とても綺麗な赤い樹肌になった。

家のいろんなところにかざしてみて、ぴんとくる場所を探す。
最後の2枚はお外からうちの子になった写真。
おおきな床の間に負けない存在感でとてもよく似合ってる。
カフェや雑貨屋さんにかかってるような流木のふりして
高いところにかけるのもなかなかよかったから、これからの定位置。

本来の形ではないけれど、玄関外よりも近い距離で過ごすことになった。
残りの枝や幹はもう少し寝かせて家具や陶器の釉薬に使ってみたい。
何十年も前から親しまれ、立派だねと言われてきたシンボルのような存在。

どれも自分の判断で物事が進む責任。
自分が納得できる形で、寄り添うことが出来た。
それから、松がなくなって玄関前はさみしい気もするけれど、
おおきな岩、庭の入り口の細工のかわいい扉、
梅などが見えるようになってこれもこれでいいと思えるようになった。

いつかつぐみに訪れることがあれば、
こんな背景があったことを片隅に置きながら、
見てもられたら嬉しいです。



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