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【西山琢馬】2019/11/30 日産スタジアムサイクルパークフェスティバル 3時間ソロ

結果:3時間ソロ 優勝

去年は沖縄前のトレーニングレースと位置付けて出場し、鎖骨を骨折したレース。その悪いイメージを払拭するためにも無事に走り切り、且つ勝利し、良いイメージで今年を終えるべく臨んだレース。

レースまで
このレースがあったので、トータルボリュームは激減したものの沖縄後もレースをイメージしたVo2Maxや10秒程度のダンシングでのダッシュ等、それなりに高強度の練習を続けた。
ボリュームを落とした事で脚が常にフレッシュな状態になり、いつもであれば完遂できなそうなメニューもこなせたり、脚がイク前に心肺が辛くなったりと、新たな発見もあった。これは今後のトレーニングメニューを組むのに役立てなくては。

日産スタジアムと周辺の公園で開催されるこのイベントは自宅から自走で行ける(20㎞ちょい)希少なレースの一つ。当日は5時に起きて朝食を済ませ、自宅を6:20頃に出て会場には7時過ぎに到着。しかし早朝はまだマシなんだろうが、環状2号線は相変わらず走りにくい…
開場に到着し、朝練仲間仲間のブースを覗いたついでに荷物を置かせてもらう。自走+単騎で参戦している身としてはこのようなサポートが非常に助かる。横山さん、ありがとうございました。

ウエア、補給
レース開始時の気温は6℃前後で終了時でも10℃行くかいかないかぐらい。なるべく軽装で走りたいタイプなのでウェアは冬用長袖長ズボンのワンピースや、普通のジャージにニーウォーマー等と迷ったが結局薄めのインナーと長袖ジャージ、FMAの冬用タイツ、Velotozeのシューズカバーで決定。義務付けられている試走時にはウィンドブレーカーを羽織って走ったがそれでも寒かった。が、スタート後数周は肌寒かったが1時間もすると汗ばむぐらいになってきたのでチョイスは結果的に〇。
補給はパラチノースと粉飴のジェルを配合したものを400カロリーちょっと、ドリンクには同じ組み合わせ+BCAAを入れて300カロリー程度。朝食を多めに取っておけばレース強度で3時間を走るには十分。
寒いし飲み過ぎて尿意を催すのも嫌なのでボトルは上記の1本のみ。結局1本飲み切らないぐらいだった。

作戦
要注意選手は
・沖縄を始めいくつかのレースで一緒に走ったことのあるWappa鈴木選手
・個人的にお会いしたことはなかったが名前は知っていた沖縄100㎞で優勝経験のある川又選手
の2名。その他にもいるのかもしれないが地脚や走りの上手さが出るコースなので、1時間ぐらいすれば分かるだろうと上記2名のみをチェックする。

走り方としては常に10番手以内を常にキープし、番手的にコーナーを先頭で抜けた後には後続を消耗させるべく立ち上がりで上げる、を繰り返し、脚がなかったりコーナーで遅れインターバルがきつい選手が自然と淘汰されるように走る作戦。逆に自分が淘汰されないようにポジションに気を付ける。

コースキャプチャ

1周5分~5分半程度でほとんどフラットなハイスピードコース。
F地点が去年落車したところ。落車の原因となったパイロンが今年も置いてあり試走時には去年の悪夢が蘇えるが、幸い今年は何もなかった。
コースは道幅が狭く、コーナーが多い。基本集団にはならず、常に棒状となっているイメージで、C地点のUターン後が一番インターバルがかかる。ここをいかにダメージ少なくクリアし、他の選手にダメージを与えるかがキー。さらに自分の比較的得意な短時間インターバルを幾度となく繰り返してアドバンテージを得られるのがL地点直前のコース唯一の上り坂。10秒もない登りだがその後にUターン、直角コーナーと続くのでスタジアムに入ると毎周棒状になり中切れが発生しやすいポイントなので、勝負がつきやすいポイントとして位置付ける。スタジアムに入った後のストレートはいいが、競技場の半分を埋める「コーナー」では他の選手の後ろにいるメリットが半減することも念頭に、牽く時間や強度、タイミングを調整していけばライバルに差を付けられることも頭に入れて走る必要がある。

レース前半
F地点を過ぎるまではローリングスタート。グリーンフラッグが振られると同時に鈴木選手がアタック気味に出る。ブリジストンの徳田選手がペースを上げて集団を伸ばそうとしてくれている最中なのでその番手を取り静観。すぐに鈴木選手を吸収し、早目のペースで1周目が過ぎる。そのまま先頭付近にブリの選手がいてくれるのかと思ったら、すぐにいなくなり、結局最終周まで一緒に走る事はなかった。もう少し長い間ペース上げて人数絞ってくれた方が安全な集団になるのに残念。
前述通りコース幅が狭く常に棒状になっている状態なので、あまり後ろに下がるといつどこで中切れが起きて無駄脚を使うか分からない。なので先頭交代後もいい感じのスペースを見つけて頻繁にローテをこなし、最初の数周を過ごしつつ、同クラスの選手をチェックする。すると6周ぐらいして鈴木選手がいない事に気づく。単にインターバルについてこれなかったのか、中切れや落車に巻き込まれたのか。いずれにしろこの早いタイミングでライバルが一人減って勝率がアップしたのは嬉しい誤算。
その後は特に大きな動きもなく、20名程の集団で周回数をこなしていくが、インターバルがきついのかすぐに同クラスは4名しか残っていない状態。さらに川又選手と自分を除いた2人はコーナー後の加速時に若干遅れるし、フォームや息遣いを見ていても辛そう。これは何もしなくても千切れるなと思ったら11周を終える前に3時間ソロは川又選手と自分の2人のみとなっていた。
後続も集団として機能していないのを川又選手と確認し、ソロ組としてはこれ以上先頭グループのスピードを上げ続ける必要がないという意思を確認しあい、先頭に出た時も安全確保のため以外には積極的に牽かない事にする。こちらはチームのクラスと違い、一人で3時間走り続ける必要があるし。
12周目だったか、H近辺のスピードが出る区間で落車が発生しているとの事でイエローフラッグが振られる。初心者向けと謳っているイベントだけあり様々な脚力・スキルのライダーが狭いコースを埋め尽くしている。キープライトが基本だが、ラインキープできない・しない選手も多いので、このレースが終わる頃には毎回「キープライトお願いします」「左から抜きます」の連呼で喉が枯れている。そんな感じで脚力差がある選手達が絡んだのかなぁと思い落車現場を通り過ぎる際に座っている選手を見るとなんとWappa鈴木選手。先頭グループから千切れたあと頑張って追走している最中に誰かと絡んだのだろう。コース横の芝生に座ってイベントスタッフと会話していたようなのでケガ自体は大したことないようで一安心。
これ以外にもC地点やL地点では突っ込み過ぎ・ペダルヒット等で数回落車が発生していたが、全て自分の後ろで発生。先頭で展開することでこのような落車に巻き込まれる確率を無くせる・減らせる事を再認識。
もうこの時点で先頭グループに残っているのはキングの部で参戦している黒澤選手を始めとして10名程度か。川又選手、黒澤選手の番手ではコーナーもストレートも走りやすい。彼らも自分に対してそう思っていたのか、番手で走られる時間が長かったような気がする。

レース後半
残り1:30を切った頃、スタジアムに入ってくるタイミング左脚四頭筋を攣る。経験上、残り時間が短いなら騙し騙し他の筋肉を使いながら走りやり過ごすのがいいが、まだ1:30も残っている。その場合、変に抵抗せず、思いきり攣らせてしまう方がその後長時間走り続けることが出来ることも経験済み(あくまで個人的な意見なので下手に真似しないように)だったので、数十秒間痛みに耐え、攣りが収まるのを待つ。案の定その後は同じような負荷をかけても攣らなくなった。「レースは攣ってから」と気合が入る。
レースも半分過ぎると2人以上のチームで参戦しているフレッシュで元気な選手が出てくる。そうなるとやはりUターンを集団後方でクリアするとインターバルが辛い。それを知ってであろう、川又選手はUターン直前では長めに牽いたり、脚を多少使ってでも前に出てきて先頭でUターンをクリアするような走りをする。更にコーナーが速い。恐怖心から安全マージンを多めに取ってゆっくり目にコーナーをこなしている自分と比べて明らかに全てのコーナーが速く、更に二人の間に他カテゴリーの選手がいるとインターバルはより一層辛くなる。となると川又選手と同様の走行方で、先頭でスタジアム入った周回は他の選手にかぶせられない程度のスピードを維持しつつUターンまで先頭で牽いて、Uターン後のインターバルでのダメージを減らすようにする。しかしそれだけでは自分の方が地味に脚を削られていくので、コーナーを少しずつ攻めるようにしたり、コーナー中の川又選手のフォームを真似てみたり、福田さんに教わったコーナリング方法を思い出して試してみたりする。すると付け焼刃感はあるが、コーナーで離されなくなり、逆に詰められるようになる。こうなると走りがだいぶ楽になる。当たり前の話だがコーナーは上手くて速い事に越した事はない。のちほど川又選手に聞いたところSmart Coachingで習ったフォームでコーナリングしていたらしい。
というような事を考えたり試したりしながら周回をこなしていくと、残り50分ぐらいで今度は左脚の内転筋を攣る。その後は右ふくらはぎ、左ふくらはぎの順で攣る。いずれも少しすれば収まるが、L地点への登りをダンシングで上げると一度攣った全ての筋肉が怪しくピクつく。ちなみにこの急坂でインナーに落としている選手が多かったが、インナーに落としたりアウターに戻すタイミングでチェーン落ちしている選手もまた多かった。自分は最後までアウターオンリーで走り切ったが、チェーン落ちのリスクを減らすという意味でも正解だったように思う。
そうこうしていると残り6周ぐらいのタイミングで再度スタジアム入り口で左脚四頭筋を攣る。これにはさすがに参った。勝負所でスプリントするには必要な筋肉。万事休すかと諦めかけるが「自分が辛い時は他の選手も辛い」と自分に言い聞かせ、痛みを我慢しながら他の筋肉を使ってどうにか先頭グループに喰らいつく。
すると残り4周だったか、スタジアムに入ったタイミングで自分と別カテゴリーの選手の2名がほんの数秒だけだが抜け出す形になる。特に上げたわけではないので、川又選手も脚に来ているのだろうか。後ろが集団として機能しないのは分かっているので、これはチャンス。すかさず一緒に飛び出した選手にここから行く気があるのか確認すると「No」の返事が。後ろとギャップができているのを確認してからスローダウン…残念。ここで踏めば行けるかもしれないのに。
しかし1人でここから15分以上逃げ続ける脚も勇気もなかったので、ペースで走っていると間もなく黒澤選手、川又選手らが追いついてくる。コーナーが上手いし急激に追いついたわけではないが、ある程度は追走で脚を使ったはず、とポジティブにとらえる。少なくとも自分は余分な脚は使っていない。

残り周回数が減るにつれ、どこでどうやって勝負を付けようか考える。辛いしやめたいと思う弱い自分も出てくるが、勝率は既に1/2。これ以上に勝てる確率が高いレースはない。
ソロが2人になって1:30以上。先頭で牽く割合はほぼ同じ。コーナーは相変わらず川又選手の方が上手。ただダンシングを見ている限りスプリントは恐らく自分の方が上。なので最終ラップのL地点を先頭でクリアすれば勝てるだろう。逆に2番手以降であればUターンからの距離が短い&直角コーナーがある&他カテゴリーの選手で追い越しは困難になり、危険な追い越し・スプリントが必要になり勝率は下がると算段。
となるとどこでアタックするか。コースが比較的開けているH地点で仕掛けるのが安全だが、そこから独走で脚が持つか?変に自分がアタックしたのを他カテゴリーの選手が反応してしまっては川又選手がそれに乗って追いついてきてしまうのではないか?(現にそんな場面が最後の方であったような)となると、他力本願ではあるが、元気な他カテゴリーの選手のゴールに向けたアタックにブリッジし、川又選手を振り切るのが一番勝率を上げると考えた。そこに一緒に反応したとしても前に出させなければスプリントも先にスタートできるし。
いよいよ残り4分でゴールラインを通過し、最終ラップに。ここでブリジストンの徳田選手が先頭に現れる。体力的に最高に辛いタイミングで先頭に出て更にペースを上げられる。辛い…。でもここまで来たら勝つことしか頭にない。
D地点では川又選手が徳田選手の番手を取り、自分は4番手ぐらい。まだゴールまでは距離があるし、高速区間が続きスリップが有効なので焦らず一踏みで追いつける距離を保ちつつ見守る。するとちょうどH地点辺りで別カテゴリーの選手がアタック。切れもあったしゴールまで行きそうだったので乗りたかったが自分のポジションからブリッジかけると川又選手もついてきそうだし、ブリッジかけられるように前が空いたタイミングではだいぶ離れていたので見送る。するとそのタイミングで川又選手がグループの後方に下がってきた。それも自分の番手より更に後ろに。ローテの順番的な流れだったとしてもこの場面で下がる事が致命的な事は彼も分かっているはずなので、あまり脚が残っていないと判断。こうなるとあとはいかに自分がこのまま先頭に残り、川又選手を千切るか。
自分がアタックをしなくてもゴールに向けて更に活性化する中千切れて行く可能性もあるし、最後の最後までもつれる可能性ももちろんある。2番手付近を必死にキープする中でふと後ろを見ると自分の番手にはブリジストンの徳田選手。その後ろに川又選手がいると非常に厄介だと思ったが、3度ほど振り返って確認しても川又選手は見えず。見えて認識できたのはエンデューロマイスターの黒澤選手のみ。川又選手はどうやら先ほどのペースアップで千切れたようだ。I地点のコーナーに差し掛かる頃にはいかにペースダウンせずにゴールまで出し切るかを念頭に丁寧に踏む。いつの間にか先頭にいる自分に対してどうやら徳田選手は他の選手が変に絡んでこないよう番手についてくれていたようだ。
結果だけ見ると恐らくここで既にだいぶ差がついていたと思われるが、最終局面の辛い時にそこまで確認する余裕はなく、最後の登坂も全力で登る。Uターンは丁寧にこなし、最後の直角コーナーも安全にクリアし、再度自分の後ろには別クラスの黒澤選手しかいないことを確認し、控えめのガッツポーズでゴール。

無事に3時間を走り切り、最後まで競い合った楽しいレースを優勝という形で終えられ、最高の気分で表彰式までの時間を過ごしました。スタジアム内は風が吹き抜けるし日陰でめっちゃ寒かったけど。

最後の最後まで競いあった川又選手とはまたどこかで勝負ができるのを楽しみにしています。

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機材
沖縄ではDogma F8で走ったがレース後半にヘッドからの異音が酷くなったころもあり、帰宅後すぐにしたのVXRSにコンポを乗せ換えた。
フレームは自分がTIMEにはまったきっかけとなった説明不要な往年の名器。唯一の難点は25㎜のタイヤを履くとダンシング時にシートステー内側にタイヤが擦る事。それもあり以前から試してみたかった、
・フロント:ENVE+GOKISO
・リア:シャマルで走ってみる事に。前日に外を走ってみた感じも悪くなかったが、これがけっこう良くて勝因の一つだったように思う。フロントがディープ目、GOKISOの重さが顕著であるリアを軽量+かかりのいいシャマル。

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ちなみにこの仕様で6.88㎏。十分軽い。最新のエアロフレームとは対極にあるフレームだが、振動吸収性と踏んだ時の伸びが最高。断捨離しても手放せなかった唯一のフレーム。

レースやロングライド時には必ず使用しているAirfit。今回も朝が寒くて乾燥していたにも関わらず、おかしな数値は全く検知されず。帰宅後もシャワー浴びようとするまで心拍系付けているの忘れてて危うく水没させるところだった。

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今シーズンの最後のレースを優勝という最高の形で終えることができました。無事に走り切るのが最低目標でしたが、やはり勝ちに拘って、結果として勝つレースほど楽しいものはないと再認識したレースでした。

来年は出場レースが減ると思われますが、引き続き応援よろしくお願いします!

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