見出し画像

AIのべりすとに将太の寿司を書いてもらった

将太の寿司の新作を読みたすぎてAIに書いてもらいました。
冒頭の「はい、それは」までを私が書き、続きを生成してもらいました。
名前・口調の間違い、改行、続きをスムーズに繋げる地の文を加筆などの修正以外は全てAI製となっております。

※長いです
※正直寿司勝負に中身はないです。AIの癖なのか登場人物が当たり前のことで驚きまくります。



 寿司大会の決勝戦、将太は見たこともない見た目の寿司を作った。驚いた観客が騒ぎ出す。

「あんなものが本当にうまいのか」ワーワー

(一体何を考えているんだ!?こんなので本当に大丈夫なのかい将太君!!)

 シンコ君が不安そうに将太を見つめる。

「うむ……(意味深な顔の親方)」
「まあ食べてみましょう」

 審査員が恐る恐る寿司を食べる。

「こ、これは…美味い!将太君、一体これはなんなんだね?」
「はい、それは『お稲荷さん』です!!」

 会場がどよめいた。

「なんと……この寿司の中に本物の稲荷寿司が入っているというのか!」
「はい!」
「しかも、ただの稲荷寿司じゃないぞ!中に酢飯ではなく米を炊いて作ったご飯が入っているではないか!!」
「さすが親方ですね、その通りです!」
「すごい!まさかそんな方法でお稲荷さんの味を再現するとは……」
「優勝は将太君の寿司だー!!!」

 大歓声が上がった。シンコ君は呆然としていた。

「……え?寿司ってあれだけしか材料なかったよね……?あの寿司にはもっと色々入ってたような気がするんだけど…………気のせいかな?」
「いいや、間違ってないぜ」

 シンコ君の後ろにいた一人の男が言った。

「誰!?」

 振り向くとそこには若い男がいた。

「あっ!佐治さんじゃないか!」
「久しぶりだなシンコ。俺もこの大会に出てたんだよ」
「やっぱり佐治さんだったかぁ~、間違いじゃないってどういうことですか?」
「詳しくは知らねぇけど、確か前に聞いたたことがあるんだ。お稲荷さんを作るとき、まず最初に油揚げを煮込むだろう?そしてその中にお米を入れて作るらしいじゃないか」
「えっ!?そうなんですか?」
「ああ、だから今回も同じ方法を使ったんじゃねえのか?」
「なるほど……確かにそれならできるかも」
「しかし、将太が考えた方法はそれだけじゃ終わらないぜ。実はその後、稲荷寿司をフライにしてから煮込んだらしいんだ」
「そ、そんなことをしたのかい?」
「そうだ。そしてそれをご飯と一緒に食べると絶品になるらしいぜ」
「それであんなに美味しかったのか……」
「どうだい?これで分かったろ?あいつは普通のやり方では絶対にできない料理を考えだしたんだ」
「さすが将太くんだ!」

 2人は審査員に表彰される将太を称えた。

 一年後、鳳寿司にて……

「今日もお客さんいっぱいだね!」
「これも将太君のおかげだよ〜」
「僕はただ一生懸命頑張っているだけだから」
「それでも将太くんのおかげなのは変わらないよ〜いつもありがとうね〜」
「こちらこそ、これからもよろしくお願いします!」

 その時、1人の男が店に入って来た。

「おい大将!ここに将太っていう奴がいるって聞いたんだがどこにいるんだ?」
「僕ですけど……」
「おお、お前が将太か!俺は武上って者だ、ちょっと来てくれ」
「あ、はい」

 言われるままに店の外に行く将太。そこには3人の男たちが集まっていた。

「えっと、あなた達は?」
「おう、改めて俺は武上だ」
「私は元山といいます」
「私は木村と申します」

 3人が自己紹介をした。

「それで、一体何の用でしょうか?」
「単刀直入に言おう。俺たちの仲間にならないか?」
「仲間って……ヤクザとかそういう感じですか?」
「おいおい見た目で決めつけないでくれよ!俺たちは別に極道でもなんでもないぜ。ただ少しばかり力を持っているだけの一般人さ」
「そうですよ将太君、私たちは君のような才能ある若者を探しているのです」
「私たちとともに働けばきっと楽しい人生が送れますよ」
「急にそんなこと言われても……僕にはお世話になった鳳寿司と故郷の巴寿司があるんですよ!」
「まあまあそう言わずに話だけでも聞いてくれよ」
「もし君が我々の組織に入るというのなら、毎月安定した収入が得られるようになりますよ」
「えっ!?」
「それに休みの日は好きなところに旅行に行ったりもできますし」
「うーん……(悩む将太)」
「あとは君が望むならどんな女性とも付き合えるようなチャンスだってありますよ」
「ええっ!?」
「なにより、今までよりもずっと広い部屋に住むことができますよ」
「ええええええええええええええええええええ!!!!!」
「どうです?悪い話では無いでしょう?」
「確かに……」
「じゃあ決まりですね!」

 あまりの好条件に悩む将太を三人は連れて行こうとする。

「待て、将太!本当にそんなうまい話があると思うか?」
「親方!」
「おや、鳳寿司の親方ではありませんか」
「やっぱりあんたらだったのか、この前も俺の店で嫌がらせをしに来た連中は」
「ええ、まあそんなところです。今回はその件とは関係ありませんが、とにかく将太君を我々に渡してください」
「ふざけるな!そんなことは絶対にさせないぞ!!」
「やれやれ、しょうがないな。おい、お前たち、あの邪魔者を始末しろ」
「へい、分かりました!」
「くそ!こうなったらやるしかないか……」

 親方は覚悟を決めた。

「親方!危ないですから下がってください!」
「馬鹿野郎!!こんな時くらい俺にも戦わせろ!」
「親方…………」
「さあ、早く片付けなさい」
「分かりました」
「くっ……どうすればいいんだ……」

 その時、将太の脳裏にある考えが浮かび上がった。

「す、寿司だ……寿司職人なら寿司作りで勝負するんだ!」
「なるほど、いいだろう……3日後にもう一度来る。題材はマグロでどうだ?審査員は公平になるよう柏手のヤスを呼んでやる」

 武上がニヤリと笑う。

「望むところだ!最高のマグロ寿司をつくってやる!」
「楽しみにしているぜ。それじゃあな」

 そう言い残して3人は帰って行った。

「将太君大丈夫なのかい?あんな奴ら相手に寿司なんて作って……」

 シンコ君が心配そうに眉を下げる。

「ああ、大丈夫だ。必ず勝ってみせる!」
「そうは言っても相手はプロの料理人だよ?」
「確かにそうだけど、寿司なら僕のほうが自信があるからね!」
「でも、いくらなんでもマグロ寿司だけじゃ勝てないよ〜。せめて他のネタも用意しないと〜」
「そう言えば、さっきの話だと審査員がヤスさんだって……」
「うん、だからきっと彼の舌に合うように何か仕掛けてくるはずなんだよね……どうしよう……」

 その時、将太の頭に閃きが走った。

「そうだ!あれを使えばきっと……」
「将太くんどうしたの?」
「実はさっき思いついたことがあるんだ。上手くいくか分からないけどやってみたいんだ」
「一体何をするつもりなんだい?」
「それは当日まで内緒だよ。とにかく僕は今から材料を買いに行ってくるね!」
「ええ、ちょっと将太君!どこに行くの〜!?」
「親方、シンコ君、また後でね!」

 将太は走って店を出て行く。残された親方とシンコ君は顔を見合わせて呟いた。

「将太君、本当に大丈夫かなぁ……」
「まあ、あいつのことを信じてみようじゃないか」

◆◆◆

 一方その頃、武上達は車で家に向かっていた。

「親方が寿司職人として戦うなんて初めてですね」

 木村が感慨深げに言う。

「全く、何が『俺はもう武上寿司の看板を背負っている』だ。結局は逃げていただけじゃないのか?」

 元山が呆れた口調で言う。

「まあ、親方も色々思うことがあったんじゃないですか」
「ふん……まあいい。それより、今回の件はうまくいくのかね」
「もちろんですよ!あの鳳寿司の将太が寿司で勝負するというのですから」
「しかし、寿司職人としては若造の将太がどうやって勝つつもりなのだ……?」

 3日後、約束のマグロ寿司勝負の日が訪れた。
鳳寿司の厨房に立つ将太と武上。二人の前には10人前の皿が置かれている。

「二人とも準備はいいか?」
「ああ、いつでもいけるぞ」
「よし、じゃあ始めようか」

 将太は寿司桶を手に取った。

「まずはシャリの分量を量ります」

 そして、シャリを計るとボウルにあけた。

「次に酢を計って混ぜ合わせます」

 その後、冷蔵庫から醤油を取り出し、その中に酢と砂糖を加え、さらに水を加える。

「これでシャリの出来上がりです」
「ほう、なかなか手際が良いな」
「次はマグロの解体に入ります」

 将太はマグロを取り出す。

「まずはマグロを三枚におろします」
包丁を握り締め、勢いよく振り下ろす。
「お、結構上手いな」
「まだまだこれからです」
「なるほど、これは期待できそうだな」
「マグロの解体が終わりました。これを刺身用のサクにして盛り付けていきます」

 将太はマグロを盛り付けていく。

「おお、見事だ!」「すごい、きれいに盛り付けている!」

 野次馬に来た観客達がざわめく。

「続いて、マグロのトロと赤身をわさびと塩で和えます」
「へえ、うまいもんだなあ」
「さあ、いよいよ仕上げです!」

 将太はマグロの切り身に大葉を巻き付けた。

「完成です!」
「素晴らしい!」「いい出来だ!!」

 観客達からも拍手が沸き起こった。

「親方、どうですか?」
「いや、ここまで出来るとは思ってなかったよ。正直驚いた」
「ありがとうございます!」

 将太は嬉しそうに微笑んだ。

「さあ審査員の柏手のヤスさん、食べてみてください」

 ヤスは一口食べると思わず叫んだ。

「うんまいっ!!!」

 それを聞いた鳳寿司の仲間や武上の部下も口に運ぶ。

「本当だ!!」「今まで食べたことがないくらいうめえ!!」

 あまりのうまさに会場中がどよめいた。

「素晴らしい!寿司職人としての実力は十分にあるようだな!」

 ヤスは満足そうに笑った。

「さて、次は武上さんの寿司だが……」

 ヤスは武上の寿司を見る。そこには綺麗に盛られたマグロ寿司があった。

「うん、こちらも美味しいね」

 ヤスは寿司を食べながら言う。

「しかし、この寿司には何か足りないものがある気がするのだが……」

 ヤスの言葉に武上はニヤリと笑う。

「わかりますか?実は私も気づいていたんですよ」
「何が足りていないのか、言ってみてくれないかな?」
「それは……愛情です!!!」
「うーん、確かにそれも大事だけどね……」

 ヤスは困惑した表情を浮かべる。

「やはり、寿司職人にとって一番大切なことは愛なんです!私は将太君に対して深い愛情を持っています。だからこそ、彼への想いを込めた寿司を作りました。それを審査していただければ、私の勝ちだと分かるはずです!」
「ふむ、そこまで言うなら……」

 ヤスは武上の寿司をもう一度口に運んだ。

「うん、美味しいね。でも、それだけじゃダメだよ」
「そんな!何故ですか!?」
「寿司職人として大事なことを忘れちゃいけないよ。寿司は味だけじゃない。見た目も重要なんだよ」
「そ、それは一体……?」
「寿司の握り方だ。その握り方にこそ、本当の意味での職人の技術が詰まっているんだよ」
「握り方……」
「そうだ。寿司を握る時に指に力を入れ過ぎると、寿司は潰れてしまう。逆に力を抜くと、寿司は回ってしまう。だから、力加減を間違えてはいけないのだ」
「な、なに……?」

 武上の顔から血の気が引いていく。

「もちろん、握る時のスピードも同じだ。いくら速くてもぎこちない寿司では意味がない」
「くっ…………!」

 武上は悔しげに唇を噛んだ。

「まあ、今回は将太君の寿司の方がうまかったということだ。残念だったな」

 ヤスは笑いながら言った。

「おい、武上。お前の負けだ」

 武上はうつむいたまま黙っている。

「武上、返事をしろ」

 それでも武上は無言のままである。

(一体どうしたというんだ……)

 将太は武上のスカウトへの情熱に少し引いていた。

「おい、どうしたんだ?」
「うるさい!」

 突然、武上が叫ぶ。

「えっ!?」
「うるさいって言ってるんだ!!俺は認めねえぞ!!」

 武上は将太の胸ぐらをつかむ。

「な、何を言っているんですか!?」
「こんなもん認められっかよ!!俺の寿司のほうがうまいに決まってるだろうが!!」
「で、でも……」
「おめぇみたいなガキに俺の気持ちが分かってたまるか!!!!」

 武上はそのまま将太を突き飛ばす。そして、そのままどこかへ走り去って行った。

「ちょっと待て!武上!!」

 武上を追いかけようとするヤスの前に将太が立ち塞がった。

「行かないでください!」
「どけ!」
「お願いします!」

 ヤスはしばらく考えた後、ため息をつく。

「わかったよ」

 ヤスは渋々引き下がった。

「親方……」
「仕方ないさ。あんなことがあったら冷静さを欠くのも無理はない」
「はい……」
「とりあえず、今日は帰っていいぞ」
「わかりました……失礼します……」

 将太は肩を落として店を出た。帰り道、将太はとぼとぼと歩いていた。

「親方……」将太は呟く。

「僕はこれからどうすれば……」

 その時、後ろから声が聞こえた。

「よう、坊主」

 振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。

「誰ですか?」
「ああ、悪いな。自己紹介がまだだったな。俺は康介だ。よろしくな」
「あ、はい」
「ところで、今落ち込んでただろ?何かあったのか?」
「実は……プロの料理人にスカウトされたんだけど、断った上に寿司勝負で勝ったら、相手の人はすごく取り乱してしまって……」
「なんだそりゃ?」
「僕にも分かりませんよ……」
「まあいいや。それより、よかったら飯食いに来ないか?」
「えっ?いいんですか?」
「おう。遠慮すんなって」
「ありがとうございます!」

 将太は康介について行くことにした。

「ここだ」

 着いた先は小さな定食屋だった。

「ここは昔、親父がやってた店でな。今は俺が継いでるんだ」

 将太は店の看板を見て驚いた。

「ええっ!武上定食!?」
「おっ、知ってんのか?」
「は、はい……」

 将太は困惑した。まさか康介が武上の息子だとは思わなかったからだ。

「まあ、入ろうぜ」
「いらっしゃいま……せ……」

 店主の女の声が急に止まる。

「母さん、久しぶり」
「こ、康ちゃん!?」

 女は慌てて厨房から出て来た。

「あら、ごめんなさい。お客様もいるのに。ここ暫く帰らなかったものだからつい」
「いえ、気にしないでください」
「そう、なら良かったわ」
「それで、あなたは?」
「ああ、こいつは将太だ。寿司勝負で親父を負かしたみたいで落ち込んでいたから連れて来たんだ」
「そうなの……。じゃあ、奥の部屋を使ってちょうだい」
「はい」

 将太は康介に連れられて店の裏にある部屋に入った。

「まあ、座れよ」
「はい……」

 将太は畳の上に腰を下ろした。

「それにしても、あの親父がなぁ」
「どういうことなんだい?」
「親父はな、寿司職人として一流だったんだ。腕も確かだし、人柄も良い人だった。だから、こんな田舎町には勿体無いと思ったんだ」
「そうだったんですね……」
「だけどな、親父の奴、なかなか弟子を取らなかったんだよ。まあ、理由は分からなくもないけどな」
「理由って何ですか?」
「それはだな……」

 その時、店の方から怒鳴り声が聞こえてきた。

「うるさいぞ!!お前にそんなこと言う資格があると思ってるのか!!」
「た、武上さん!?」
「親父、帰ってたのかよ」

 康介は苦笑する。

「さっき、俺が将太君に寿司勝負を挑んだんだ。そしたら、俺が負けた」
「知ってるよ」「なんで知ってんだ?」
「だって、本人に聞いたんだもの」
「えっ?」
「親父は負けず嫌いなところがあってな。自分の仕事に誇りを持っていて、それを譲る気なんてない。だけど、親父を超えるような弟子が欲しいっていつも言ってた。その気持ちがわかるかい?」
「はい……」
「親父も頑固だから、簡単には折れないだろう。だけど、一度でいいから親父に『寿司とはこういう物だ』と見せつけてやりたいんだ」
「康介君……それは僕じゃなくて君がやるべきなんじゃないか」

 将太は真剣な眼差しで康介を見つめた。

「俺じゃダメなんだよ……俺は親父の息子だ。でも、それだけなんだよ。俺は、親父のような一流の職人じゃない」
「そんなことは……」
「あるさ。親父とは比べ物にならないくらい未熟な腕しか持ってない」
「…………」
「わかった。俺は親父を超えられないかもしれない。それでも、挑戦したい。そのために、将太の力を貸してくれないか?」
「僕なんかで良ければ力になるよ」
「ありがとう。恩に着るぜ」

 康介は笑顔を浮かべて立ち上がった。
 そして、康介と武上の親子対決の日が訪れた。
 将太は康介と一緒に武上が待つ寿司屋へ向かった。

「ここだよ」

 そこは将太が康介に連れて来られた実家の定食屋よりずっと大きな店構えをしていた。

「緊張してきたよ」
「大丈夫だよ。自信を持って」
「うん」

 康介が扉を開ける。

「いらっしゃいませ!」

 元気の良い若い店員の声が響く。

「約束していた武上の息子です」
「はい、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 二人が厨房に案内されると、武上が腕を組み待ち構えていた。

「親父、俺がこの勝負に勝ったら俺を弟子にして、将太のことはあきらめてくれるな?」
「ふん!誰が諦めるか!将太君は俺の後継者に相応しい逸材だ。必ず、俺の跡を継いでもらう」
「そう言うだろうと思ったよ」
「そういうことだ。今日は正々堂々と勝負しようじゃないか」
「ああ」

 二人は睨み合う。

「それでは勝負開始!」

 武山の部下が合図をすると、二人はすぐ調理に取り掛かった。

「康介君、その食材は?」
「ああ、これは親父の店の仕入れ先から直接買ってきたものだ」
「そうなんだね……」
「うちみたいな小さな店で使う分なら大して高くはないんだけど、親父のところで使う高級品だから結構高いんだぜ?だからって良いわけじゃないんだけどな」
「ふーん……」

 二人の会話を聞いていた武上は眉間にしわを寄せた。

(あの小僧め、余計なことを覚えよって)

 康介の言葉通り、値段の高い素材を使うほど味が良くなるわけではないのだが、武上にはそのことがわかっていなかった。しかし、康介は自分が出したネタを丁寧に捌き始めた。

「ほう」

 康介の腕を見た武上は感心したようにうなった。康介は次々と握り寿司を握っていく。

「おい、見ろよあれ」
「すげぇ、あれは何て技術なんだ?」
「あれはな、三枚におろしているんだ」
「何だって?」
「魚の骨や皮を取り除いて身だけにしているんだよ」
「あんなことができるのか?」
「すごい腕前だ」

 観客たちもざわつき始める。そして、あっというまに五人前の握り寿司が出来上がっていた。

「ほれ、将太。食べてみな」

 康介が皿の上に乗っけた寿司を差し出す。

「いただきます。むぐ、うまい!」
「だろ?」
「こんな魚はじめて食べたよ。一体なんていう魚なんだい?」
「これか?これはヒラメだ」
「え!?」
「信じられねぇけど、本当だ。しかも、養殖ものじゃなく天然もののヒラメだ」
「これが……ヒラメなのか?」
「そうだ」
「康介くん、君は自分を過小評価しすぎているよ!こんな実力があったなんて!」

 一方、武上も最後の仕上げに入っていた武上が取り出したものを見て観客がざわつき出した。

「それはまさか……」
「そうだ。マグロのトロ部分を切り落とした部位だ」
「そんなものをどうやって手に入れたんですか?」
「秘密だが、お前たちには特別に教えてやる。知り合いから貰ったのさ」
「そんなものが貰える人脈があるとは……」

 武上は器用に包丁を入れて寿司を握る。そして出来上がったものは……。

「おおおっ!!」客席中が大きなどよめきに包まれる。

「嘘だろ!?こりゃあスシだ」
「なんで寿司屋に来てスシが食べられるんだ?」
「俺はもう何も信じないぞ」

 そう言いながら客たちは次々に寿司を食べていく。

「うめぇ!本当に美味いぞ!どうして今まで気づかなかったんだろう?」
「美味い!こんな美味い寿司を食ったことがない」

 口々に称賛の声が上がる。

「ちょっと皆さん!審査前ですよ!食べないてください!」

 スタッフが急いで観客達を取り押さえる様を見て、将太は息を呑んだ。

(なんて恐ろしい寿司なんだ……。はたして康介くんのヒラメ寿司で勝てるのだろうか!?)

 そして審査の時が訪れた。柏手のヤスの前にそれぞれの寿司が運ばれる。

「うむ、それでは武上さんの寿司から頂こう」
「はい!」

 武上が緊張した面持ちで答え、ヤスの口に寿司を運ぶ。
一口食べると、ヤスは目を閉じてじっくりとその味を堪能した。

「うむ、美味い!大変素晴らしい出来栄えだ」

パァン!

「出た!柏手だ!」

 柏手のヤスが柏手を打つのは本当に美味い寿司を食べた時だけ。武上は満足そうに笑った。

「これはとんでもない美味さだ!トロが濃厚で実に旨いな。酢飯も良い塩梅だし、シャリとの調和もいい」
「ありがとうございます」
「ただ惜しむらくは、この寿司には少々演出が不足しているね」
「と言いますと?」
「そのトロの部分だよ。どうせなら生姜醤油をつけて出して欲しいものだ。それともう一つある」
「なんだって!?」
「寿司ネタの大きさだ。一貫ずつ全部違う大きさに切ることで、より見た目にも楽しめる工夫をするべきだ」
「なるほど、勉強になりました」
「次に行こう」

 続いて康介の番となった。

「ほう……ヒラメか。どれ……これは!」

 会場に緊張が走る。

「美味いっ!!」

パァン!

「出たっ!」「柏手だあっ!」

 康介は胸を撫で下ろした。とりあえず第一関門突破だ。

「康介くんといったね、このヒラメはどこから来たのだ?」
「東京湾です」
「ふむ、鮮度がいいな。これは天然モノだろう?養殖ものと違って身の締まり方が全然違う」
「はい、天然ものです」
「良い仕事をしている。素晴らしいヒラメだ。この歯ごたえといい、風味の良さときたら……。うーん、もう一貫くれ」
「はい、まいどあり」

 こうして、審査員の評価は終わった。結果はというと、大方の予想通り康介の大勝利だった。

「おめでとう!康介くん」
「ありがとうございます!これも将太さんのおかげですよ」
「いや、僕はほんの少し手伝っただけだよ。でも、これで良かったのかなって思ってるよ」
「何言ってんですか!自信持ってください。俺なんか今日初めて作ったんですよ?」
「まぁそれもそうなんだけど……」
「大将だって、将太さんの寿司が一番美味かったって褒めてましたよ」
「親方が?本当かい?」
「はい、そりゃあもうベタ誉れでしたよ」
「そうか、それは嬉しいな。ところで、君はこれからどうするつもりだい?」
「もちろん続けさせていただきます!」
「そうか!それじゃあ僕からも一つ頼みがあるんだけれど聞いてくれるかな?」
「なんですか?」
「君のお父さんと一緒にうちへ来て欲しいんだ。君たち親子は筋が良い。ぜひうちに引き入れたいと思っているんだよ。親方には僕から頼むからさ」
「本当によろしいんでしょうか?」
「ああ、武上さん。きっと親方も喜んで引き受けてくれると思うよ」
「わかりました。よろしくお願いします」

 その後、将太は一度実家に帰った。父と妹は彼の活躍を聞いて驚き、喜んでいた。特に父は泣いていた。
 そして翌日、鳳寿司へ向かった。
 武上はすでに準備を終えていたようで、奥の部屋から出てきたところだった。彼は康介を見ると、笑顔で言った。

「おう、よく来たな康介!お前のことは気に入ったぞ!ガッハッハ!」

 武上の顔は厳ついながらもどこか人懐っこい感じがあり、とても優しげに見える。

「それで親父、俺はいつから働けばいいの?」
「そうだな、明日からだ。まずは仕込みを手伝って貰う。それから調理場の掃除をして、板前の作業を覚えてもらう。その後は俺が一通りの手順を教えるつもりだが、もしわからないことがあったらいつでも聞きに来てくれ」
「わかったよ、ありがとう。精一杯頑張らせていただきます」
「よし、それでは早速始めるとするか」

 二人は並んで新たな職場に入っていった。

「ようこそ!鳳寿司へ!」

〈了〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?