見出し画像

読書要約#1 -ニュータイプの時代

これから約2週に1回のペースで読んだ本の要約を投稿します。末永く見守っていただけると幸いです。

今回は『ニュータイプの時代ー新時代を生き抜く24の思考・行動様式』を読みました。

①「優秀」の定義

よく就活時代のGDのテーマに、「優秀な人材とは何か定義してください」というのがありますよね?就活を経験したことがある方なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか。この本の著者である山口周さんは「優秀さ」は”文脈依存的な概念である”としています。つまり、その時代背景によって「優秀さ」の定義は異なると。

例えば、産業革命時代であれば鉄道線路を開拓するために「筋力や体力がある人」が重宝され、20世紀半ばから後半にかけてであれば、市場の不満・不便・不安を解決するために「問題解決能力が高い人」が重宝されました。このように、世の中のニーズに対して希少な能力や資源は「優秀さ」として高く評価され、そのような能力や資源を有している人が「優秀な人材」であるということです。

例にならえば、「優秀さ」は変動するものなので現在の「優秀な人材」も変容しているはずなのに、20世紀半ばから後半にかけての「優秀さ」の定義のままであることに著者は警笛を鳴らしています。このような人材を「オールドタイプ」と呼んでおり、逆に現在の「優秀さ」にアップデートされた人材を「ニュータイプ」と呼んでいます。

②ニュータイプの要件

「ニュータイプ」とはどんな人材なのか。著者は”問題を発見し、意味を創出する人材”であるとしています。

20世紀後半までは「問題が過剰で解決策が希少」でしたが、それら問題があらかた解決された現代は「問題が希少で解決策が過剰」という未だ嘗て経験してこなかった時代に突入しています。ビジネスとは基本的に「問題の発見」と「問題の解決」の組み合わせによって富を生み出しています。だから「問題が希少で解決策が過剰」な現代においては「問題発見能力」は優秀であると評価され、「問題解決能力」は凡庸であると評価される時代ということができます。

③問題発見力≒構想力

では、問題を発見するためにはどのような思考・行動様式をとれば良いのでしょうか。「問題」を「あるべき姿と現状のギャップである」と定義すると、あるべき姿を明確に描けないとそもそも「問題」も確定できないということが言えます。ここがまさにミソで「問題の不足」と聞くと問題自体が不足しているように思われますが、実はあるべき姿を考える「構想力」の不足が招いている現象なのです。つまりは、「世の中をこう変えたい」「こういうものが作りたい」という主体的な「想い」や「意味」を構想できるということに価値がつくのです。

④リベラルアーツの有用性

では「構想力」を高めるにはどうしたら良いのか。著者はリベラルアーツによって高まるとしています。「リベラルアーツ」とは当たり前を相対化し問題を浮かび上がらせるのに役に立ちます。リベラルとは自由、アートとは技術のことです。つまりリベラルアーツとは自由になるための技術なのですがどういうことでしょうか。つまり、常識とされている枠組みや仕組みから自由になる、すなわち一歩引いた視点で世界を相対化できるツールがリベラルアーツなのです。「そういうものだから仕方がない」という認識が、リベラルアーツというレンズを通してみることにより、「普遍性の低さからくる問題の発見」へと変わる可能性があるのです。

学ぶチャンスは見方次第で世の中のどこにでも転がっているということですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?