見出し画像

200万円の学費、高校生だった1年前から何ができるようになったんだろう?

多摩美に入学してもう1年生が終わり、もうすぐ2年生に進級です。
1年前家族の美大反対を押し切って予備校に通い、受験し、憧れの多摩美に合格して「美大に入ったら何ができるんだろう!かっこいいデザイナーになりたい!」という入学が楽しみな気持ちと、「高い学費を払ってもらうのに自分は見合うだけのことをちゃんと学べるのだろうか?」という不安な気持ちだった高校生の私。
そんな気持ちを抱いて気づいたら1年間が経ちました。

今、インターン内定をいただいてデザイナーとして仕事しながら、4月からは受験でお世話になったアトリエでデザイン講師を勤める。1年前の私には想像もできなかっただろう..。
そしてこの1年間で何を学べたのか?お母さんに200万近くという高い学費を払ってもらって、自分はちゃんと見合うだけの経験をできたのか?(私立美大は本当に高いですね・・)
今の自分があることは当たり前だと思わないように1年間を振り返りたいです。
これから何かを始めたり、新しい環境になるのは怖いけどそれでも大切なことをこの1年で経験し学べたはず。

多摩グラ落ちコンプレックス

「デザインって言ったら多摩美のグラフィックデザイン」っていう呪文
美大でデザイン科に進もうという気持ちで美大について調べると、真っ先に出る「多摩グラ」。多摩美のグラフィックデザイン学科ですね。私大デザインの中でトップの学部で志願者の数もトップクラス(10倍近く)です。そして美大受験のための塾として予備校に入ると、デザインの講師陣は当たり前のようにみんな「多摩グラ生」なのです。

そしてデザインのトップですから、自然と多摩グラを第一志望に目指すしかありません。自分は完璧主義な性格なので「絶対トップじゃなきゃだめ」と無意識に考えていたのもあって、受験中はもう多摩グラ意外見てなかったですね。なので受験校も多摩美だけに絞り、学部もグラフィックデザイン学科と併願の情報デザイン学科のみ。母子家庭なのであまり経済的な面で多くの学校が受けられなかったのもあります。そして浪人もできなかったのでとりあえず同じ学校で受ければ多少は受験費が安くなるので、グラフィックも学べそうな情報デザインへ。
(普通は他にも女子美術大学、東京造形大学、武蔵野美術大学も一緒に受けますが)

試験本番一発目が多摩グラ、試験中に体が震えだす

さて初めての試験がなんと多摩グラでした。情報デザインよりグラフィックの方が試験早いんですよね。
私の通っていた予備校は4人しか生徒がおらず(ファイン2人デザイン2人)、もう一人のデザイン科は武蔵美の映像学科だったので試験も全然違いますので、周りにライバルがいる状況は大手予備校の模試と試験だけなんです。なので2回目です。普段自分の作品に集中していても、周りに人がいるとペースに飲み込まれます。はい、見事に飲み込まれました。
開始直後にもう絵の具の色作ってる人いるんです。(この人もう頭の中でアイデア決まってんの!?)ってびっくりしました。
まあ〜見事に自分のペースが乱れますよね。そして筆を持っていた腕が震え出しました。
結局自分の思い通りにいかず、悔しさのあまり帰り道泣きましたね〜。そのあとめちゃめちゃ落ち込みながら情報デザイン学科の試験受けました。落ちてもいいから自分の好きなことをやろうって思って試験受けたので、緊張はしなかったです。

情デに行くしかない

そして試験が終わりましたが、併願の情報デザインも受かる自信がなかったですね。なので浪人か〜って思ってました。
だけどお母さんにはできれば早く就職してほしいって言われてたぐらいなので、浪人は絶対してほしくない!ってずっと言われてたんですよね。まず大学行かせることにも、複雑だと言ってました。(大学の中でも学費が高い美術系なので尚更申し訳ないですね)
美術系って本当にお金がかかるし、受験で使う絵の具も自分でバイトして買ってました。
平日は学校いって夜までアトリエで制作。土曜も昼から夜まで制作。休みの日曜は単発バイトで朝から夜まで働く。こんな生活を受験中送っていました。(多分やつれ過ぎて10キロ落ちました)

合格発表。
グラフィックデザインは一般・センター共に不合格。情報デザインは一般・センター共に合格

浪人覚悟してたので情デ合格という結果はとても複雑でした。お母さんに結果を知らせると、「なぜ合格したのに嬉しそうじゃないの?」と言われました。せっかく高い学費を払ってもらうんだからトップに行きたかった。と素直に答えると、「そんなに行きたいんだったら、お母さんが貯金を崩すから浪人してもいいよ」と言ってくれました。今まで浪人絶対にやめてほしいっていっていたお母さんからそんな言葉が出ると思わなくて号泣しましたね。と同時にそんな言葉を言わせてしまった自分が情けなくなって「だったら情デで誰よりもめちゃくちゃ頑張ってやろう!!」って決心しました。

与えられた環境をどう生かすのか

まあ多摩グラが落ちて情デに合格したのは、情デに縁があるんだろうと自分に言い聞かせました。不安ながら情デに入学すると、周りには私のように多摩グラに落ちて情デに来た友達がたくさんいました。その中で過ごしていると「じゃあ自分はこの環境をどう活かせばいいのだろうか?」と自然に考えるようになりました。
特別なにかできるわけじゃないし、デザインスキルはない。じゃあなにをすればいいのか?
与えられた課題をきっちりこなす。授業をちゃんと聞く!これを肝に命じて過ごしました。なので課題を通して徹夜をしたことはないですし、苦手なプログラミングやWebの授業でも寝ずにちゃんと聞きました。放課後は図書館で本を読みながら課題をこなす。
こうして過ごしているのなかで、オープンキャンパスの清水先生(@4mimimizu)の「デッサンとスケッチ」の授業展示代表を任せてもらえました。(約70人をまとめながら展示を作る)お昼を食べていたら清水先生に声をかけられ、なれゆきで任せられたのでとても不安でしたが企画だったりチームを束ねるのは得意だったのでとても楽しかったですね。もちろんなりゆきだったので自信はなかったですが、後日清水先生から「とぅくさんは与えられた課題をきっちりこなしてくるし責任感があるから安心して任せられたよ!」と言っていただけました。課題をきっちりこなすことで周りからからこうやってみられていることがとても嬉しかったですね。課題をちゃんとこなしていただけなのに、気づかないうちにこうやってチャンスをつかんでいた。

この体験を通して過去を悔やんだり、先を考えて不安になるより、今を見つめて自分に与えられたことをしっかりこなす。小さなことでもそうすればきっと次に繋がる!と気づかされました。

勇気はいらない、とりあえず○○する!

そんなこんなで夏休みに入り、前に書いた記事で紹介したお弁当工場でバイトしまくりの毎日です。(笑)朝の8時から夜の10時まで働きました。本当に虚無になります。「自分は何をしているのだろうか」という毎日。なので夏休みの記憶ほとんどありません。そして夏休みが終わると後期が始まりますが、前期よりは授業が少なかったので、暇で何もやっていない自分に罪悪感が湧きまくってました。

ちょうどこの時期に「情デをもっと多くの人に知ってもらいたい!」という意思をもった友達が集まったグループの活動をはじめていて、清水先生がとても協力的に企画や進め方を教えてくれました。放課後に清水先生とその企画のお話をしたあと、「来月に情デの卒業生が講義しにくるからポスターをつくらない?」と言われました。今まで特別講義のポスターは2、3年がつくっていて「1年生の私がつくっていいのだろうか・・」と思いましたが、せっかくのチャンスなのでOKしました。そして初めてのポスター制作で全然わからないながらも、清水先生のサポートを受けながらなんとか特別講義のポスターをつくりました。(清水先生ほんとにありがとうございます・・!)

作った特別講義ポスターがこちら↓

師匠のしょこたんことしょうこさん(@shokolog711)ですよ!!ポスターを作ったので、もちろん講義を聴きに行きましたが、生き方がまじでカッケエんですよ。「今はベルリンでインタラクションデザイナーとして活躍している」という経歴とか、ポスター制作のためにnoteなどを読んで情報収集をしていましたがほんとにカッケエって圧倒されましたね。

講義のあとに飲み会が開催されていて、「これはもっとお話が聞けるチャンスだ!」と普段は家が遠いので絶対参加しない飲み会に思い切って二次会まで参加しました。(お酒は飲んでいませんよ)
そして翔子さんが「弟子を募集している」とおっしゃっていたので、帰宅直後に「弟子入りさせてください!!!」ってメッセージを送りました。チャンスは与えられたのなら、あとは自分からいかなきゃ何も変わらない。と。

この経験で「勇気はいらない、とりあえず行動することだ」と学びました。確かに翔子さんにメッセージを送るのはとても勇気がいりました。だけど勇気がないとか考えてる時間があるんだったらメッセージを送ってしまおう。弟子入りできなくても、いろんなお話を聞けたしいい経験ができたはずだ。と自分で思っていました。ポジティブ大事!考える前に行動すれば、勇気もなにも必要ないんです。

そして流れに身をまかせる

そして弟子入り認定をいただき、このnoteをはじめたわけです。

弟子入りをして、いろんな課題を与えられましたが、与えられた課題をきっちりこなす。という精神を忘れずに、たとえ小さな課題でもしっかりこなしました。弟子入りをして、自分が何かをできるようになるのか、たとえわからなくても今目の前にあることに一生懸命取り掛かる。たとえ地道でも。ということが大事だと今になって思いますね。

そしてこの時期から、情デをもっと多くの人に知ってもらいたい!」という意思をもった友達が集まったグループの活動企画が教授方から認めてもらえ、本格的に「広報チーム」として展示の広報活動を始めました。
前例がない初めての活動だったので、清水先生に色々聴きながら自分たちで模索しながら活動しなんとか成功し、「情報デザインコース後期末展示」に多くの人が来てくれました。
また翔子さんに与えられた課題をこなして、気づいたらポートフォリオが完成していました。

そして翔子さんに背中を押されて、インターンに挑戦したら内定をもらい、デザイナーになれました。私はただその時その時の流れに身を任せて一生懸命頑張っていたら、今の私になれました。

何かを始めたりするのはとても怖いです。私も怖いです。だけど大事なのは、先を見据えすぎて不安になるより、今を見つめ何をするべきなのかを考え、一生懸命に今を生きる。ことが大事です。

1年前の多摩グラに落ちて多摩グラ落ちコンプレックスになり情デに入学することに不安を持っていた私は、1年後にデザイナーになっていることは想像できるのだろうか?「どこに進学しようが関係ない、今の私はこんなにがんばっているよ!」と笑顔で伝えたいです。たぶん多摩グラに落ちたからこそ、今の私がこんなに頑張れているのだと思います。

そして4月から受験でお世話になった美術予備校”アトリエRough”でデザイン講師を本格的に勤めます。このアトリエは高校の美術教師の恩師が「経済面で美術の道・美大をあきらめてほしくない」という理由で設立しました。私の代が1期生で生徒数が4人しかいないなかで、自分の身を削りながら運営してくれました。少しでもその恩返しができるよう、この1年間で経験したことを高校生たちに伝えられるように頑張りたいと思います。

この1年間はいろんな方のおかげでこんなにいい経験ができました。これからも感謝しながらインターンも、デザイン講師も、課題も頑張ります!


よろしければ〜!いただいたサポートでデザインの勉強がんばります。