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中庸(妄想の世界)【音声と文章】

山田ゆり
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1365
※note毎日連続投稿1414日をコミット中!1365日目。
※音声・文章、どちらでも楽しめます。




おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
中庸(妄想の世界)
をお伝えいたします。



午前3時。
マサヤは今日も除雪車に乗っていた。

今年は雪が少ないと言われていたが
ここ数日の寒波は
やはりこのままで冬は終わらせないという冬空の気概を感じる。


除雪機で道の雪をそげ落とす。
集められた雪は両脇に置いてゆく。

除雪する箇所は大体いつも決まっていた。
今日も住宅が立ち並ぶいつもの細い道を除雪していた。



道の左側に間口が広く奥が深い庭になっている家がある。
間口が広いのにいつもきれいに除雪されていた。

奥の方まで左右に高く雪が積まれている。
きっと裕福な家なのだろう。
たぶんお父さんが小型除雪機で
うまくやってくれているのかもしれない。


それに比べて右側の家は庭が狭い。
狭い庭に車が4台も並んでいる。
雪かきが大変だろうな。

マサヤはそんなことを思いながら除雪機を運転していた。


俺は除雪のプロだ。
えこひいきはいけない。
雪を置いていくレベルは中庸でなければいけない。

しかし、少しだったらいいだろう。

だから、
車が4台並んでいる家になるべく少なく残るように、
間口の広い家の方に雪が多く残るように
少しだけハンドルを調整して運転していた。





ある夜、マサヤはその近くを歩いていた。
まっすぐ行くと車を置いているところにたどり着くのだが、
ふらりと左側に曲がり寄り道をした。


いつも除雪機で通る道を歩いてみたくなったのだ。

普段は除雪機であっという間に過ぎる道だったが、
こうして歩くと思ったより広い道だ。
そんなことを思いながら歩いていると
家の入口の雪を除雪している人がいた。



そこはあの間口の広い家だった。
ロングコートに長靴を履いて
雪かきのスコップで入り口の雪を一生懸命寄せている女性がいた。

その格好と時間帯から恐らく
仕事から帰宅してまっすぐ雪かきをしているのだろう。

庭の奥を見ると黄色いスキーウエアーを着た女性が
ママさんダンプで雪を運んでいた。
その力強いしぐさからその子は娘なのだろう。


時間は夜7時を回っていた。
何時から雪かきをしているのだろうか。
お父さんはまだ帰ってこないのか。


右側のいつも車が止まっている家をみた。
いつも通り車が4台、外に止まっていた。



マサヤはゆっくり歩いていた。
向こうから猫車を押すおばさんがやってきた。
明日の燃やせるごみを出しに行くのだろう。

「こんばんは~」
マサヤはあたりさわりのない挨拶をした。

するとその女性はマサヤに話しかけてきた。
きっと一人暮らしなのだろう。
その女性は少しだけおしゃべりだったが
マサヤはとりあえず失礼のないように受け答えしていた。



「ウチも庭が広いから大変だけれど
あそこの家も大変だよね~」

その女性は、あの間口の広い家の事を話し始めた。
聞くと、そのお宅はご主人が亡くなって女性だけの家庭だということだ。


そうか。
今までいつもきれいに除雪されていたから
てっきりお父さんがチャチャッと除雪をしてくれているのだ
と思い込んでいたが
女性だけであの広い庭の雪を片付けていたのか。

だから仕事から帰ってきて家に入ることをせず
一生懸命除雪をしていたのか。

そして車が4台のお宅はお父さんと息子さんがいて
いつもお父さんが小型除雪機で除雪しているのだとおばさんが言っていた。



マサヤのこころはシーンとなった。




翌朝、また雪が降った。
まだ真っ暗な外に出たその女性は
除雪車が置いていった雪をいつも通りママさんダンプを使って寄せ始めた。



「ん?」


「今日はお向かいよりもこちらの雪が少ないような気がする」


その女性はママさんダンプを硬い雪に刺し、
右足で蹴っていつも通り雪を寄せ始めた。






今回は
中庸(妄想の世界)
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。





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