4年ぶりに見つかった母の宝物【音声と文章】
山田ゆり
00:00 | 00:00
※音声・文章、どちらでも楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
4年ぶりに見つかった母の宝物
ということをお伝えいたします。
「ねっ、お母さん。これなんだと思う。」
弾んだ声で二女が紙包みを持ってやってきた。
「えっ！もしかして。」
二人は目を合わせうなずいた。
私はごくりと唾を飲む。
ある日の休日、私たちは旧宅の後片付けに来ていた。
私は夫の部屋で遺品整理。
二女は下の居間を片付けていた。
アルツハイマー型認知症になりたての頃の母は
いつもお金を失くしていた。
母はめったに怒る事はない穏やかな人だったが
アルツハイマー型認知症になって
ガラリと人が変わってしまった。
母はいつも財布の置き場所を忘れていた。
認知症初期はお金に執着する時期だ。
母はいつも「金をくれ。」と私に言ってきていた。
母にとって「お金」とは一万円札のことで
五千円や数千円を渡しても
「そんなもの」とけなされていた。
そしてそのお金を持って母は買い物に行く。
帰ってきてお財布をどこかに置く。
いつもその置き場所は違っていた。
恐らく、そのお金を私に盗られると思っているらしく
財布のままどこかに置くことよりも
靴下などに入れてどこかにしまうことが多かった。
そして、しまった場所は勿論忘れてしまい、
それ以前に、自分でしまったこと自体を忘れてしまい
また「金がない。金をよこせ。」と私に言ってきていた。
1万円を渡したのだから数千円残っているはず。
みんなでその隠し場所を探した。
壁と箪笥の間にあったり、
農作業小屋にかかっているエプロンのポケットに入っている時があったが
ほとんどは見つかっていない。
だから、旧宅を解体する前に
それらのお金がいろんなところから出てくるだろうと私たちは考えている。
「これ、バアチャンって読めるよね。」
二女が持ってきた包み紙には
カタカナで「バアチャン」みたいな字が書いてある。
尋常小学校しか出ていない母。
しかも戦時中だったから
まともに勉強したことはなく
母は日本人なのに日本語を書けない。
ほとんどカタカナだけ。
自分の名前だけは70年以上書いているから書ける。
それ以外は、例えば「ほうれん草」を「ホレソウ」と書くように、
何となく書きたかった文字が連想できる
その程度なのである。
その包み紙を二女はゆっくり開ける。
この厚さだったら、5千円位はあるかもしれない。
折っているところを一つ開く度に
二女が私の顔を見る。
もったいぶって紙を開いていく二女。
つい、ごくりと唾を飲む私。
そして、とうとう中身が見えた！
中に入っていたのはなんと、かぼちゃの種だった。
カボチャを割ってその中から取り出したままの状態のようで
中の紙はオレンジ色に染まっていた。
恐らく母はそれをあとで植えようと思ってとっておいたのだろう。
私たちは爆笑した。
二女は中身を既に知っていたと教えてくれた。
中身を知っていて、私の反応を楽しんでいたのだった。
そして、書いてあった文字を二女がもう一度見せてくれた。
それは
「バアチャン」だと思ったら
よく見たら
「カボチャ」だった。
二女の演出はいつも楽しい。
そして単純な私はいつもその演出にはまってしまう。
今回も書いてある文字を「バアチャン」と思い込ませたところが凄い。
あのカボチャの種は
何十年も畑仕事をしてきた母にとって
宝物だったに違いない。
大きくゴツゴツして日焼けしていて
手のしわに土の汚れが沁みついている母の手を思い出す。
旧宅を片付けていて
どこかにあるであろう母のお金は
簡単に見つかるだろうと高をくくっていた私たちだが
未だにほとんど見つかっていない。
母の宝物はどんなところに
どんな状態で隠されているのだろうか。
今回は
4年ぶりに見つかった母の宝物
ということをお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ kindle出版しました ◆◆
https://amzn.to/3exJcNx
【わたしだけじゃないんだ】
突然、アルツハイマー型認知症になった同居の実母を介護した、
子育てOLの10年と10日の記録
※amazonアンリミテッドに加入して、
期間内に解約すれば無料で読めます。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/signup?tag=yuri53yuri-22
◆◆ note有料マガジン ◆◆
【自分のための人生】
https://note.com/tukuda/m/m5b66808db98c
『読むとほっこりする』
『胸にじーんと来ました』
などの感想をいただいています。
◆◆ アファメーション ◆◆
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
大それたことはしなくてもよい
そこに向かう姿勢が大事
日々忘れない努力をする
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
4年ぶりに見つかった母の宝物
ということをお伝えいたします。
「ねっ、お母さん。これなんだと思う。」
弾んだ声で二女が紙包みを持ってやってきた。
「えっ！もしかして。」
二人は目を合わせうなずいた。
私はごくりと唾を飲む。
ある日の休日、私たちは旧宅の後片付けに来ていた。
私は夫の部屋で遺品整理。
二女は下の居間を片付けていた。
アルツハイマー型認知症になりたての頃の母は
いつもお金を失くしていた。
母はめったに怒る事はない穏やかな人だったが
アルツハイマー型認知症になって
ガラリと人が変わってしまった。
母はいつも財布の置き場所を忘れていた。
認知症初期はお金に執着する時期だ。
母はいつも「金をくれ。」と私に言ってきていた。
母にとって「お金」とは一万円札のことで
五千円や数千円を渡しても
「そんなもの」とけなされていた。
そしてそのお金を持って母は買い物に行く。
帰ってきてお財布をどこかに置く。
いつもその置き場所は違っていた。
恐らく、そのお金を私に盗られると思っているらしく
財布のままどこかに置くことよりも
靴下などに入れてどこかにしまうことが多かった。
そして、しまった場所は勿論忘れてしまい、
それ以前に、自分でしまったこと自体を忘れてしまい
また「金がない。金をよこせ。」と私に言ってきていた。
1万円を渡したのだから数千円残っているはず。
みんなでその隠し場所を探した。
壁と箪笥の間にあったり、
農作業小屋にかかっているエプロンのポケットに入っている時があったが
ほとんどは見つかっていない。
だから、旧宅を解体する前に
それらのお金がいろんなところから出てくるだろうと私たちは考えている。
「これ、バアチャンって読めるよね。」
二女が持ってきた包み紙には
カタカナで「バアチャン」みたいな字が書いてある。
尋常小学校しか出ていない母。
しかも戦時中だったから
まともに勉強したことはなく
母は日本人なのに日本語を書けない。
ほとんどカタカナだけ。
自分の名前だけは70年以上書いているから書ける。
それ以外は、例えば「ほうれん草」を「ホレソウ」と書くように、
何となく書きたかった文字が連想できる
その程度なのである。
その包み紙を二女はゆっくり開ける。
この厚さだったら、5千円位はあるかもしれない。
折っているところを一つ開く度に
二女が私の顔を見る。
もったいぶって紙を開いていく二女。
つい、ごくりと唾を飲む私。
そして、とうとう中身が見えた！
中に入っていたのはなんと、かぼちゃの種だった。
カボチャを割ってその中から取り出したままの状態のようで
中の紙はオレンジ色に染まっていた。
恐らく母はそれをあとで植えようと思ってとっておいたのだろう。
私たちは爆笑した。
二女は中身を既に知っていたと教えてくれた。
中身を知っていて、私の反応を楽しんでいたのだった。
そして、書いてあった文字を二女がもう一度見せてくれた。
それは
「バアチャン」だと思ったら
よく見たら
「カボチャ」だった。
二女の演出はいつも楽しい。
そして単純な私はいつもその演出にはまってしまう。
今回も書いてある文字を「バアチャン」と思い込ませたところが凄い。
あのカボチャの種は
何十年も畑仕事をしてきた母にとって
宝物だったに違いない。
大きくゴツゴツして日焼けしていて
手のしわに土の汚れが沁みついている母の手を思い出す。
旧宅を片付けていて
どこかにあるであろう母のお金は
簡単に見つかるだろうと高をくくっていた私たちだが
未だにほとんど見つかっていない。
母の宝物はどんなところに
どんな状態で隠されているのだろうか。
今回は
4年ぶりに見つかった母の宝物
ということをお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
◆◆ kindle出版しました ◆◆
https://amzn.to/3exJcNx
【わたしだけじゃないんだ】
突然、アルツハイマー型認知症になった同居の実母を介護した、
子育てOLの10年と10日の記録
※amazonアンリミテッドに加入して、
期間内に解約すれば無料で読めます。
https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/signup?tag=yuri53yuri-22
◆◆ note有料マガジン ◆◆
【自分のための人生】
https://note.com/tukuda/m/m5b66808db98c
『読むとほっこりする』
『胸にじーんと来ました』
などの感想をいただいています。
◆◆ アファメーション ◆◆
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
大それたことはしなくてもよい
そこに向かう姿勢が大事
日々忘れない努力をする
.｡*ﾟ+.*.｡.｡*ﾟ+.*.｡ﾟ+..｡*ﾟ+
サポートありがとうございます💖サポートされたお金はプリンターのインク購入に使わせていただきます🤣60代ですが毎日noteを執筆中です😄素敵なnoterさんへ恩送りさせていただきます🎁kindle書籍も出版しています📚