顔_2

いじめによって失ったもの【短編小説】【音声と文章】

山田ゆり
00:00 | 00:00
今回は、いじめによって失ったもの ということをお伝えいたします。
4分33秒の音声です。
音声と文章どちらでもお好きな方をどうぞ。

**文章はここからです***
おはようございます。山田ゆりです。
今回は、いじめによって失ったもの
ということをお伝えいたします。



僕はなぜか
彼が目障りだった

ノロノロ歩くし、話は面白くない
彼と目が合うだけで
イラっとした

ある日、そのイラついた気分にまかせて
彼に悪口を言った
一瞬スッキリしたような気がした

次に会った時も僕は
彼にひどい言葉を浴びせた

またイライラが一瞬
無くなったような気がした


誰も見ていないところで
僕は彼に暴言を吐いた

それからは彼に会うたびに
意地悪な言葉を浴びせた


僕の言葉の嫌がらせは
エスカレートしていった
どんどん酷い言葉で彼を攻撃した


そんな時、彼はいつもうつむいていた
そして時々
力のない目で僕を見た

彼に暴力は振るっていない
だからいじめている
という意識はなかった



忘れもしないあの日

彼は自ら命を絶った


嘘だろ・・・
今朝、会ったじゃないか


きっと何かの間違いだ

エイプリルフールは
もう過ぎたじゃないか

悪い冗談はよしてくれ


嘘じゃなかった


僕のせい?
違うよな。
なんか別のことだよな


僕は理由を知りたかった
自分のせいではない
それを確かめたかった

彼の死を悼むのではなく
自分のことばかり考えていた

理由を確認したくて
僕は落ち着かなかった
遺書は無いのか気になった

しかし
彼は遺書を残さなかった


遺書を残さなかったのは
僕に対する最後の優しさ?

それとも最大の復讐?


今までの自分の行いが
再現ドラマのようにまわり始めた


そうだ、あの時
あんな酷い事、言ってしまった

なんであんな事をしたんだろう

思い出せない
つまりただの気まぐれだった?

僕の気まぐれで
一人の命の灯が消えた


どうして死ぬ前に
僕に言ってくれなかったんだ

自分がいじめておきながら
僕は勝手な事を思った


きっと僕のせいだ


眠れない日々が続いた

目をつむると
力が入っていない彼の目が
僕をじっと見つめている

そんな夢を何度も見た

自分がどんなにひどい事をして来たのか
やっと分かった



写真の中の君は
少しはにかみながらこちらを見ている

君はそんな笑顔だったんだ

そんな君の微笑みが
僕の胸に突き刺さる

君に謝りたい


いじめによって失ったもの

尊い命
君のご家族の平穏な日々
君とご家族の未来

そして
いじめの張本人である僕の心

僕の心の扉は閉ざされた


僕はこれから一生
君に謝り続けて生きていく


本日は、いじめによって失ったもの
をお伝えいたしました。

本日も最後までお聴きくださりありがとうございました。

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日にしましょう。
山田ゆりでした。

サポートありがとうございます💖サポートされたお金はプリンターのインク購入に使わせていただきます🤣60代ですが毎日noteを執筆中です😄素敵なnoterさんへ恩送りさせていただきます🎁kindle書籍も出版しています📚