説得童話 空を目指した鬼

サブタイトル『キジのことば』

ナレーター「昔ある村に大空へ飛ぼうと頑張っている鬼がいました。そしてそんな鬼を気にかけるキジがいました」

村人(また鬼が騒いでいるよ)

鬼「オレは絶対に空を飛ぶんだ」腕バタバタ

キジ「またやってるよ」

鬼「うおぉおおおおおおお飛べー」腕バタバタ

キジ「おはよう鬼君」

鬼「ようキジ。なにかオレに用でもあるのか?」

キジ「あるよ」

鬼「じゃあ早く済ましてくれ、オレは忙しいんだ」

キジ「キミに空を飛ぶ資質はない。だからとっとと諦めて別のことに時間を割きな。時間がもったいないよ」

鬼「またその話か」

キジ「才能が全てだよ」

鬼「キジもオレを説得するのはやめた方がいいぞ。オレ1人丸め込めないキジに、才能が全てだと説得するだけの才能があるとは思えないな。とりあえず黙って」

キジ「またそのセリフか」

鬼「やっぱりオレたちは……」

キジ「……交わることのない平行線だね」

鬼「用は済んだか?」

キジ「うん、また明日も来るよ」

鬼「また来るのか。モノ好きだね」

キジ「鬼君には言われたくないよ、それはキミの方だよ」

村人(両方でしょ)

鬼「そうか。そろそろ練習を再開したいんだけど」

キジ「あっ! 邪魔してゴメン、じゃあまた明日」

鬼「じゃあな」

キジ「絶対に飛べないけど頑張れ」

鬼「おうよ、うおぉおおおおお飛べぇええええええ」腕バタバタ

村人(無理だって)

ナレーター「その後も鬼は死ぬまで空へ飛ぼうと行動し続けました」

鬼「飛べぇえええええ」腕バタバタ

キジ(またやってるよ、努力家だな)

村人(また一緒にいるよ)

ナレーター「キジも鬼に飛ぶことは不可能であると死ぬまで説得し続けました」

キジ「飛べないから別のことをした方が有意義だぞ」

鬼(まだ気にかけてくれるのか、優しいな)腕バタバタ

村人(今日も鬼とキジは元気そうで何よりだ)

ナレーター「結局鬼は飛べず、キジは説得できず、共に亡くなってしまいました。無謀な夢は砂になり、現実的な行動は塵になりました」

村人「彼らがいなくなって寂しいな、静かすぎる。あれだけ仲良くてうるさかったのに……そうだ!」

ナレーター「後に1人の村人が彼らの物語を残しました。それは時代を経るにつれて内容が変遷して行き、何も得られず達成することの出来なかった愚行、教訓的な童話として語られるようになりました」

先生「皆はこんな風にならないようにね」

生徒「は~い」

ナレーター「しかし童話と事実は少し違っていました」

キジ『結局飛べずに死んじゃったね』

鬼『そうだな。でもこの天国でなら飛べるだろ、飛び方レクチャーしてくれキジ』

キジ『いいよ、鬼君の今までの努力が結実する時が来たね。こうやって腕を振るんだ』バサッバサッ

鬼『よっしゃー行けぇええええ』バサバサッ

キジ『キミなら飛べるぞ』

鬼『うおぉおおお』フワッ

村人『おー飛んでる!』パチパチパチ

キジ『おめでとう鬼君』

鬼『ありがとうキジ』

ナレーター「鬼とキジは絆を手に入れていました。めでたしめでたし」

<おわり>

※この物語はフィクションです。

『あとがき』

他人から見たら無駄な行動でも、その人にとっては何かを積み重ねている事ってあると思うんだ(*'ω'*)

でも目先の結果や他人の評価を気にして、行動する本人も無駄だと言う結論に縛られて何もせずにおわる(/ω\)

現実の世界で自分の考えた通りに行動するって難しいよね(*ノωノ)

この作品が面白いと思った方、気に入った方はぜひ購入してください!(^^)!

あとがきを含めて読了ありがとうございましたφ(.. )

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