犬も食わぬビフライハーン

夫婦といえども元は他人。
当然すれ違い行き違いがあったり、
喧嘩もたまにはあると思います。
理由は色々あるでしょうが、
我が家はくだらない小競り合いがまぁまぁ多い。
しかも夫婦とも少々勝気な面があるために、
虫の居所が悪ければ多少のヒートアップもするものです。

さて、これはある日のこと。
朝から夫と私は少しキリキリとしていました。
その日は雨が降ろうかどうしようか、と煮え切らないような天気で互いに頭がキリキリと痛んでいたのです。
そして夕方頃には小競り合いが勃発しました。
おっと、地雷踏み抜いたか。

もはやある程度小競り合いナレッジは溜まっています。
こんな時は極力ヒートしないよう、気を払う必要があります。
息子も在宅していますし、
何より頭が痛い。

しかし頭痛まっさかりの夫、
どんどんプンスコしてきてしまいます。
私は人を落ち着かせる才がこれまた実に微妙なようだ。
逆に煽るのは得意なのではないか。煽りイカ

こりゃだめだ。一時撤退としました。
一呼吸おき再度対話を試みた後、
「もういい。出てくる」
そうか…今日はだめだったか。failed…
この剣幕は上位3位くらいの不機嫌じゃないかな。
それならばラーメンだろう。
何せ夕飯時だ。
仕方がない。
この辺は家系でも魚介系でも鶏でもよりどりみどりだ。
いいなぁ。羨ましいなぁ。

夫がガチャリとドアを閉めたその直後、
大して考えもせず口が開きました。
「ねーねー今日何食べるー?
 この間のフワフワデミオムライス美味しかったよね!
 どう?」
「いいとおもう!オムライス!いい!」
「よーしママ大きいエビフライも付けちゃうぞー!」
「やったー!エビだー!」
「パパラーメンだから二人で食べよ!」
「食べるー!」

息子と二人で食べる大盛りデミオムライス大エビフライ乗せを流れるように頼んでいました。
フォーゥ!最高!贅沢ゥッ!

いや昔からこうじゃなかったんですよ?
こういう時、不機嫌な夫を引き留めて引き留めて「ヤダァいかないでよぅ」なんてサメザメ泣いていたウザ多めのウザ可愛い頃もあったんです。
しかし流石に何年も年月を重ねているとスズキもブリになるってもんでしょう?
あれ、違う魚ですかね?
まぁいっかぁ!やったぞ!プロの作ったオムライスだぁ!

そして息子と小踊りしながらオムライスを待ちます。
小競り合いで心が疲れた時はUber eatsを頼んでもいいことにしているのです。
自分に優しくいきましょう。
「オッムライスッ!オッムライスッ!」
「えっびふっらい!えっびふっらい!」

ガチャッ
あれ?まだ15分も経ってないよ。
ラーメンの早食いは火傷が危険です。

「おかえり」
「おう」
「何ラーメン食べてきた?」
「なんでだよ、煙草買いに行っただけだよ」
「エッラーメンかと思ってオムライス頼んじゃった」
「エッなんでラーメン」
「エッ美味しいから」
「エッそんなわけないだろ」
「エッちなみにオムライスは一つ。息子と二人で食べようと思って。ラーメンだとばかり」
「エッ」
「エッ」

「パパぁ、ラーメンたべてきたんでしょぉぅ?」
「」

お互いが知らぬ間に少し成長していた。
私の自立心と夫の自制心。
これらが織りなす結果はラーメンではなかった。
すれ違い、行き違い。

夕飯は思ったよりも巨大なオムライスが到着し、
息子が大きなエビフライ一本と本体の一番美味しいところの3口のみを食べた後に「もういらない」だったので
残りを分け合いことなきを得ました。
エビフライは自分も食べたいなら2本がいいという教訓です。

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