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3月の雨上がりに

他人と見比べて落ち込む性格は相変わらずで、それでも時間は他人と平等にすすんでいく。人の歩幅より少ない一歩に苛まれ、1月からの憂鬱な雨が続いているような気分だった。貴方は貴方らしくなんてわかってはいるのだけれどいつだって理想よりも現実をみてる。共に歩みを進める仲間、家族、先輩、後輩、好きな人、守りたいモノ、愛したい事。どれか一つでも今の自分に守れるものがあるのだろうか、思い上がりなのだろうか。

それでも常に心にあった守りたいモノというのがここ最近はすごく強くなっていった。だって僕は僕自身がスーパーヒーローみたいなウルトラマンでもなければ仮面ライダーみたいなものにはなれない、圧倒的なヒーロー、先導者とはあまりにかけ離れていることをわかっていたから、わかってはいたけれどそれでもそうなりたいと望んでいた。あと少し力があれば、あと少し自分が手を掴んで離さずに歩けたら、なんてそんな神様みたいな馬鹿げた理想というよりは妄想と呼べる事ばかりを考えていた。

描いた理想と現状の自分のギャップを埋められずいつも虚ろっていた自分の姿は自分自身が痛いほどわかっていたけど、どこに着地したらいいのかイマイチ決まらず彷徨っていた。そこで何人の人を振り回したのだろうか。僕らしさと呼ばれているものを僕自身はおおよそ愛する事はできなかった、できれば変わりたかった。

それでも現状より前に、無理してでも進む為に11月から計画を立てた、新年になる前にこの自信の無さとも早々におさらばしたかったから。ただ、そう簡単に気持ちというものは変わらずになにより長い冬は僕に予告なく現状をつきつけてくる。優しくはなれないそうなりたい、なり方がわからない。誰かに言われた些細な一言も何日も経っても思い返してしまう。言い訳のしようがないほど後悔の連続だった。そんな1月に作ったのが「名もない」という曲だった。

後悔も悔しさも、悲しみも喜びも怒りも、全部歩んできた道の土壌となり、そこにいつ芽吹くかわからない種を蒔き続ける日々。沢山の犠牲と叶わなかった事、決して無駄にはならないから貴方が種を蒔き続けた日々はきっと身を結び実り咲き誇るから、という春の歌。

こうしてできた曲は音源化していった、随分とああでもないこうでもないと今回の音源に携わった國分くんには沢山の注文をつけたから大変だっただろうと思う。手を貸してくれたことに感謝している。2曲目に収録したのは『幸福な別れの夜に』という曲を再度アレンジした、夜の静寂を詰め込んだ。このCDは帰り道、電車やバスだったり、家に帰ってもなにも手につかなかったり、布団にはいっても頭の中でごわごわと考え事で埋まってしまいそうな『夜』に聴いて欲しかったから。

できれば沢山の人に聴いて欲しかったから色々考えて自主企画に来てくれたお客さんにはまずみんなに手渡したかった。世界が色付く手前ってそういうイベントだから(世界が色付く手前についてはまた近日書くね)

発売して嬉しい事に沢山の人が買ってくれたり反応してくれたり、思わぬ人から好評をいただいたり。涙が零れおちてしまうくらい嬉しかったんだ。小さな芽が、少しずつ、少しずつだけど芽吹き始めたように思えた。

この文章は鈍行列車に揺られながら書いている、九州にやっとついた。まだまだ気は緩めず続いていく事がある。

ただ、少しゆっくり動くこの電車にしばらくは身を委ねたい。

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