見出し画像

いまは天国の、一匹のねこの話(1)

2017年10月1日に、旅立ったねこの話です。いまやっと、なにか綴れそうなので、書きはじめました。

毛がきれいなグレーで、瞳が透きとおった碧色で、めちゃめちゃちっちゃくて、世界でいちばんかわいかった。

抱っこすると、嫌がって腕からすり抜けるわりに、肩にのって首のうしろで腰を落ちつかせるへんなやつだった。

いつもは呼んでもこないくせに、家に他の人がいなくなると寄ってきてめちゃくちゃ甘えてくるツンデレだった。

時々椅子の脚に激突したり、のぼった冷蔵庫の上から降りられなくなったりする鈍臭い一面もあった。

ペットショップの店員さんは「ボイスレスキャット、って言って、全然鳴かないんですよ〜!」って言ってたけど、大嘘だった。めちゃくちゃうるさかった。

ついでに「わうわうわう〜ん」とか「ワン」とかって犬みたいになくねこだった。「犬か!!ほんまは犬なんか!!!」っていつもツッコんでた。


そのねことはじめて会ったのは自分が小学6年生の時だった。最初にうちにきた日はやっぱ、急に全然知らないところに連れてこられて、超警戒してた。

でも、日を重ねると、ちゃんとこころを開いてくれた。

両親共働きで、学校が終われば学童に行っていた自分にとって、そのねこはすぐに“家族”になった。

ねこはどこでもわたしたち家族の話をきいているらしかった。

たぶん、なんでも知ってたんだろうな。

私が両親に怒られて落ち込んでたら、黙ってそばに来てくれたし、

でも私が悪くて両親が怒ってる時は私に見向きもしなかった。

ずっとみてて、ぜんぶ知ってて、わたしたちの家族でいてくれた。

そういうねこだった。

ねこはずっと元気で、朝も5時ぐらいからわんわん鳴いて、みんなを起こしたし(私はそれでも起きないから毎朝母に叩き起こさせてました。すみません。)、日中の家に誰もいないときに寝て、誰かが帰ったきたら遊べー!って飛びついてくる。

私たちが元気ないときは心配して近寄ってきてくれるけど、あのねこが私たちに心配をかけることはほぼなかった気がする。

そんなねこがはじめて私たちに心配をかけてから、もう会えなくなっちゃうまで、ほんの2週間くらいのことだった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?