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「まだ見ぬバーフバリ」を求めて、調査隊はIMAXシアターへ向かった。

 ファンの夢がことごとく実現し、「バーフバリを止めるな!」状態が続く2018年秋、バーフバリ旋風に新たな1ページが刻まれた。『伝説誕生』の完全版の公開を翌週に控えた10月19日、『王の凱旋 完全版』のIMAX版が日本に凱旋したのだ。エンドロールに燦然と輝くIMAXロゴに羨望の眼差しを送っていた民に訪れた、何度目かの奇跡。テルグ語の国際版と完全版が上映され、その上IMAX環境でも鑑賞可能となれば、日本は実質インドと言っても過言ではないほどに、バーフバリに恵まれた国である。

 床から天井、左右の壁いっぱいに広がる大型スクリーンに投影された高画質映像と、場内を包むクリアなサウンドが特徴のIMAX。そんな贅沢な環境で観られる『バーフバリ』とは、極上の映画体験に他ならない。さらに、配給会社ツインから放たれたアナウンスが、日本マヒシュマティ国民の期待をさらに煽ったのは言うまでもない。


 この期に及んで…!!オレたちの知らないバーフバリなんてものが…!!あるなんて…!!と思わず福本伸行テイストになるほどの驚き、戸惑い、焦り。インド映画のIMAX版が日本で上映されるという歴史的偉業を目撃するだけでも尊いというのに、よもや新たな『バーフバリ』に出会えるというのだ。その言葉の真意を探るため、早速IMAXシアターのある劇場へ向かった。なお、入場特典でA3サイズのポスターが貰えるので、お早目の謁見が吉である。







 すごかった。


 いやほんと、語彙力を失うほどの衝撃と感動。何度も観たはずの『バーフバリ 王の凱旋』がさらにパワーアップして、もはや暴力的なまでのド迫力でこちらに迫ってくる。優れた作品を良い環境で観るということの価値や喜びに満たされ、口から自然と感謝の言葉が零れだす。至福の3時間。極上の映画体験。つまりもう良さしかないので、全人類はIMAXで『バーフバリ』を観るべきなのだ。

 とはいえ、具体的にどう凄いのかをお伝えするのなら、やはり『バーフバリ』とIMAXは抜群に相性がいい、ということになる。

 『バーフバリ』は、観客の想像を超えた奇想天外なアイデアや、人間離れした強さを誇るキャラクターの魅力に溢れた、スケールの大きな一大叙事詩。豪華絢爛にして空前絶後。どんなに大げさに語っても過言にならないほどのインパクトに満ちた完全無欠のエンターテイメントだ。

 そうした作品の特徴と言ってもいい特大スケールは、IMAXスクリーンによってさらに一段階上の領域に到達していた。誰もが名シーンに数えるであろう冒頭の「バーフバリ万歳」のシーン、象の上に立ち弓を放つシーンなど、思わず目に涙が浮かび拝みたくなるほどの昂りを得られた。従来のバージョンよりも明らかに高画質な映像によって、1カットのキメ画はまるで絵画のように、どのシーンどのキャラクターも気高く美しく映える。プロの漫画家の間で「見開きが多い」と称賛された『バーフバリ』のダイナミズムは、IMAXという武器を得てさらに進化していた。

 俳優の肌の質感さえ想像できてしまうほどの高精細な映像。さらに映像の視野が広がったことで、「まだ見ぬバーフバリ」が確かにそこにあった…!!クンタラに至る道中に広がる広大な自然の美や、迫りくる敵兵の圧倒的な数。これまで「見えていなかった」ものが「観えるようになった」ことで、作品世界が大きく広がったような感覚。物語に変化がないとはいえ、同じ作品でも全く印象が異なること間違いなしの、IMAX版ならではの大きな魅力である。

 また、上述のツイートにあった通りIMAX版は「本国オリジナル素材」であり、音楽やカットの編集にこれまでのバージョンと異なる点があった。とても細かいものだが、同じシーンでも受ける印象が変わるものや、従来のバージョンと比べて観る楽しみが生まれたという意味で、国際版・完全版に続く第3の『王の凱旋』とカウントしてもいいだろう。従来のバージョンにおいてぎこちなく感じられたとあるカットの切り替えについても、今回でようやく謎が解けるため、繰り返し鑑賞したファンほど驚ける一幕もあった。

 結論として、IMAX版は確かに「まだ見ぬバーフバリ」であったし、作品がまとっている「豊かさ」をさらに引き上げた、最高の鑑賞条件である。大画面いっぱいに広がる我らが王の凄まじい威光を浴び、視野の広がった作品世界の情景に没入していく。作品を愛するファンだからこそ、その喜びと感動を分かち合えるだろうと確信している。

 もちろん、今作から『バーフバリ』を観るのもオススメだ。なにせ『伝説誕生 完全版』と併せて上映される期間がある以上、完全な形で鑑賞できる最高のタイミングと言える。これを劇場で観逃したとなればいずれ後悔し、観たとすれば後世に自慢できる。そんな作品とは中々巡り合えるようなものでもないのだから、思い切って劇場に足を運んでいただきたい。

 IMAXという最高の環境で王を称えられる幸福に、出来ることならいつまでも浸っていたい。そんな一日だった。

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