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『キンプリ』を観たが、とにかくせかいは輝いているし、お前もプリズムの煌めきに魅せられるべき

 薦められたものを食べるオタクをやってるのですが、まさかシリーズで出されるとは思わなかった。キンプリ、話題になっているのは知ってはいたものの、2016年は『シン・ゴジラ』ばかり観ていて、とても他のコンテンツに手を出せる状況ではなく、気になりながらもズルズル先延ばしにしてきて早3年、新作が始まるタイミングでの過去作Netflix配信開始を機に、劇場版2作を観ました…が、その、何を観たんでしょうか私は。

  偉大なる1作目『KING OF PRISM by PrettyRhythm』からすでにエンジン振り切っていて、冒頭のライブシーンから「無限ハグ」「尻から生成されるハチミツ」など、他の作品にはお目に掛かれない概念がおれの脳を殴ってくる。そもそもこれがアイドルアニメだということすら知らずに観ていたため、突然始まったプリズムショーは面食らったし、しかもよく見たら会場はスケートリンクだしみんなスケート靴履いてる!少年隊の現代版か!?

 よくわからんのだが(そもそも説明がない)このプリズムショー、あまりの輝きの尊さゆえに思考を放棄させる作用があるのか、いつの間にかおれは女学生Aになり、名前も知らない美少年とチャリで二人乗りをしていたし、ソフトクリームをあ~んとかしていて、胸キュンオーバーザレインボウだった。何言ってるかわからないと思うが、もうこれは自分の目で確かめてくれとしか言いようがない。そしてこれがずっと続くのがキンプリだ。プリズムショー、スケートジャンプのたびに必殺技のCGムービーが流れ、その度に美男子が裸になったり、逆にこっちが裸になったりして、世界が輝きだすヤツだ。すごい。自分の文章なのに書いてて不安になってくる。

 最初のライブを終えると、ようやく物語の輪郭がつかめるようになってくる。主人公は初めてプリズムショーを目にし、自分もプリズムスタァ養成学校エーデルローズに入学することになった一条シン(セロリが苦手)。シンは憧れのグループ「Over The Rainbow」の三人と出会い、彼らのようになりたいと願うが、オバレ(Over The Rainbowの通称)は今解散の危機を迎えていた―というところ。その道中、渚カヲルめいた美少年とか、シックスパックなのにめっちゃ美声で「EZ DO DANCE」を歌うマッチョとかが現れ、ひっきりなしに美少年が現れては物凄いことをやらかして去っていくので、とうとう理解が追いつかなくなっていく。

 それから何やかんやあって、オバレの作曲担当コウジはハリウッドに旅立つことになり、オバレは実質解散状態に。ギリシャ衣装のコウジがハリウッド行きの電車に乗り、開場が哀しみに包まれる中、期待の新人シンがプリズムショーを披露。初めてのショーで感じた煌めき、世界が輝いて見えることの素晴らしさを説き、観客を魅了する。そしてそれに魅せられた現実の観客たちは「キンプリをみてください」になるということだ。すごい。「ガルパンはいいぞ」に近いものを感じる。シンパシーだ。

 もう一本ある。続編だ。名を『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』という。前作のラストに次回予告があったな?それの話だ。

 オバレの解散直後、エーデルローズはライバル校シュワルツローズによって100億の負債を負わされ、あげくにコウジ作曲の「pride」の著作権を奪われてしまう。オバレメンバーだったヒロはスランプに陥り、EZ DO DANCEの大和アレクサンダー(名前おぼえた)がまた因縁つけてきたり、セロリが食べれるようになったシンとルヰ(さっきの渚カヲルめいた美少年だ)との間に1000年の時を超える運命が仕組まれていたりと、相変わらず展開は早いし常にこちらの想像の斜め上を貫いてくる。あとこのアニメ徹底してTRF推しなので、今回はCRAZY GONNA CRAZYも流れる。さてはこのアニメ90年代に青春を謳歌した世代向けだな???

 「荒唐無稽」のバーゲンセールなキンプリですが、本作は後半のライブシーンだけで前作を超えていて。大和アレクサンダーの腹筋から放たれたエネルギー弾によって会場が破壊され、カヅキ先輩がリンカーン大統領を引用して剣を突き刺すと新たな会場が建立し、シンは3回転ジャンプをキメた結果スターチャイルドになって、ルヰがサードインパクトを発生させた後、復活したヒロが4回転をキメ惑星をビリヤードして勝つ。つまりそういうことだ。Don't think! Feel.OK??

 プリズムショーは我々の想像力を羽ばたかせる機能に止まらず、ついに現実を改変し建物を創り出すことができるようになったし、シンとルヰは宇宙になって、プリズムの煌めきは止まらない。世界は輝いて見えるのが前作なら、輝かしい現実を創り出すのが本作。理には叶っているが、あまりの超現実に置いて行かれている。

 以上が、キンプリを観た結果出力した何かだ。おれの語彙力では『キンプリ』の魅力を1割程度も伝えきれていないだろうし、まだ観ていない人はおれが何を言ってるかわからないと思うので、まずは観てもらうしかない。観て、各々に何が残るかはわからないが、世界が輝いて見えるならそれにこしたことはないし、理解できなかったとしてもあなたに落ち度はない。大丈夫、怖くないから。たぶん観たらこうなると思うから。


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