見出し画像

前作から見違えるほど進化!『Fate/EXTELLA LINK』

 PSP専用RPGゲームとして発売された『Fate/EXTRA』シリーズは、いつしか次世代機にその舞台を移し、ジャンルも無双風アクションに生まれ変わった。そんな『Fate/EXTELLA』だったが、お世辞にも良作とは言い難かった。特定のキャラクターが不遇な扱いを強いられるストーリーに爽快感を阻害するトラップ、そして敵陣侵略と陣地防衛をたった一人でこなす超絶ワンオペゲーな有様に、遊ぶ楽しさよりも疲労感が勝ってしまったのが正直な所感であった。

 そんな『EXTELLA』だがめげずに続編が開発され…前作の難点を解消しハイスピードアクションを実現する新システムが搭載されたことで、見違えるような進歩を遂げたのだ!祝え!オレたちが遊びたかった真のFate無双の誕生を!!

※本テキストには、他シリーズでは秘められている「サーヴァントの真名」に関する記述が含まれます。ご注意ください。

ネロと玉藻の前、そして遊星の尖兵たるアルテラによる三つ巴の戦いは終結を迎え、霊子虚構世界「SE.RA.PH」は束の間の平穏を取り戻していた。
ある日、アルテラと共にSE.RA.PHを散策していたマスターは、終戦と共に消滅したはずの攻性プログラムの群れに遭遇。突然の襲撃に戸惑うマスターたちだったが、見知らぬサーヴァント「シャルルマーニュ」が現れる。
時を同じくして、あらゆるものを隷属・同一化させる「天声同化(オラクル)」の能力を持つ強力なサーヴァント「カール大帝」が、多くのサーヴァントを従えSE.RA.PHを襲撃する。
シャルルマーニュはカール大帝を止めるため、マスター陣営に参戦。SE.RA.PHを守るための、新たな闘いが始まる―。

 本作はサーヴァントを操作して「セクター」と呼ばれる陣地を敵と奪い合う、3Dアクションゲーム。前作では規定量の陣地を占領することで敵将サーヴァントを出現させ、それを撃破することが勝利条件だったが、本作では戦闘中に発生するミッションをクリアしていくと敵将サーヴァントが出現する。ミッションでは、指定されたサーヴァントの撃破や重要拠点の防衛などが指示され、味方サーヴァントと共にそれらを遂行していくのが基本の進め方だ。なお、自軍本拠地にいるマスターのHPが0になると敗北になるため、敵軍からの攻撃にも目を配る戦略が必要となる。

 アクションは前作同様、□ボタンの通常攻撃と△ボタンの強攻撃によるコンボが基本となる。簡単操作でサーヴァントを自由に動かせるのは、やはり格別だ。敵エネミーの出現数も多く、ミッションに従って遊んでいるだけでも1,000体撃破は容易に達成できる。

 そんなアクションをさらに進化させる本作の新要素が「アクティブスキル」だ。各サーヴァントがレベルに応じて習得する7つのスキルの内、好みの4つをセットし、戦場に出撃。主なスキルは強力な攻撃技やキャラクターの強化、カウンター技などで、それを好きなタイミングで使用できる。通常攻撃の隙をキャンセルして発動させることもでき、コンボの幅が広がり高威力・広範囲な攻撃をコンボの締めに放つこともできる。スキルにはそれぞれ、使用後に再び使用できるまでのクールタイムが設定されているのだが、長くとも十数秒程度のものがほとんどで、4つのスキルを順に使っていればどれかが回復している頃合いなのも絶妙だ。

 また、こちらの連続攻撃を受けひるんだ敵に対し、操作キャラクターの特性にあったアクティブスキルをヒットさせると、「ラッシュ」が発動。こちらは□ボタン連打で敵に一方的に追撃できるシステムで、ラッシュ終了時には攻撃力or攻撃速度アップのアイテムがドロップされるのでいいことづくし。さらに味方サーヴァントが近くにいる場合は「LINK」状態となり、ラッシュの威力が強化される。率先して味方サーヴァントとの共闘を心掛けたい。

 その他、自サーヴァントのステータスが大幅強化される「ムーンドライブ」は前作同様だが、セクター全体に強力な攻撃を放つ「宝具」の仕様が変化。前作ではステージに散らばったアイテムを3つ集めた状態で発動できる一発限りの超必殺技だったが、今作ではムーンドライブ発動中に敵を撃破することでゲージが溜まり、満タンになると発動できるように変更。これにより宝具の複数回使用が可能となり、敵セクターの占領効率が大幅に改善。

 このようにアクション面の進化が著しい本作だが、「セクタートラップの排除」「敵プラントの無限湧き」などが廃止され、前作の理不尽な仕様がことごとく改善されているのも見逃せない。味方サーヴァントの能力も大幅に強化され、彼らのお守りに頭を悩ませることもなくなった。強力なスキルと宝具を駆使して敵陣地を蹂躙し、最大戦力で敵将に挑む!これぞ陣取りゲームの醍醐味よフハハ!!

 本作の主なモードは、ストーリーモード、エクストラバトル、マルチプレイ(PSVita版を除く)、の3つ。

 ストーリーモードは、前半イベント→戦闘→後半イベントという流れで進行。前半イベントと戦闘の間では拠点となる空中要塞「我が儚き栄光よ(シャルル・パトリキウス)」を自由に動き回ることができ、サーヴァントとの会話が楽しめる。また、サーヴァントのアクティブスキルやインストールスキル(能力を強化する装備)の変更、礼装(マスターが戦闘中に使用する支援スキル)のカスタマイズなども行える。

 本作では、新規参戦サーヴァントも含め26体の英霊が集結。個性豊かなスキルを持ったサーヴァントたちが代わる代わる現れてはこちらの行方を阻むストーリーモードは、攻略する度に味方陣営(操作キャラ)が増えるため、飽きさせない。また、本作のメインとなるサーヴァント、シャルルマーニュとカール大帝は、史実上は同一人物である。なぜ異なる時代の、同一人物の英霊が召喚されたのか。そうした謎をひも解く物語は、ボリューム面では前作に劣るが、特定のキャラクターの冷遇もなく、各キャラクターの活躍シーンも余すところなく楽しめる。

 エクストラバトルでは、ストーリーモードよりも高難易度なステージに挑戦できる。ステージ中得られる経験値やインストールスキルの量が多く育成向きで、クリアすることでサーヴァントのコスチュームが解禁されるため、お気に入りのサーヴァントを育てながら攻略していくのがオススメだ。

 前作の難点が改善され、新システムでアクションはさらに爽快に。続編として、あまりに誠実かつ理想的な進化を遂げた『LINK』は、諸手を挙げてお薦めできるサーヴァント・アクションゲームだ。ノンストレスで想いのままにキャラクターを操作できる感覚こそ、アニメを観ていて夢想していた英霊たちの強さ、格好よさを再現するのに何よりも大事だったのだと、痛感させられる。『EXTRA』シリーズのみならず『Fate』という一大シリーズのお祭りゲーとしての側面も持つ本シリーズも、ぜひ良点を伸ばしながら続編を作り続けてほしい。なにせ、数えきれないほど魅力的なキャラクターが列を成すビッグタイトルなのだから…。


Next 『Fate』


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

いただいたサポートは全てエンタメ投資に使わせていただいております。