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変わらないこと、踏み出すこと。~大崎姉妹の在り方を見つめて~

 ドーモ、伝書鳩Pだ。普段は業務日誌とゆう建前でプロデュースのアレコレを書いては、とくに共感を得られぬまま不貞腐れ、壁際に寝返りうってを繰り返している。シャニマスに興味ない?なら出て行ってくれ。おれの別人格が書いた記事でも読んで、暇を潰すといい。

 今回はアイドルの話をする。担当のプレゼンにはならない上に、公式で描かれていないであろう筆者の憶測を含む可能性がある。それを念頭に置いた上で読んでほしい。いや、読んでください。よろしくお願いします。

※以下、気の狂った文章が続きます。
※公式の見解ではございません。

 アイドルのプロデュースをしていて、ふと思ったことがある。「大崎甘奈と甜花のどちらかを、W.I.N.G.で優勝させていいのか」と。もちろん、私の腕前に問題があり、どちらも優勝に導けていないのだが、ふとこんな考えが頭をよぎり、離れなくなってしまった。

 大崎姉妹は、始まりからやや特殊だった。妹の甘奈は「甜花ちゃんの可愛さをみんなに知ってほしい」という動機からアイドルの道を選び、甜花と共に活動するためにオーディションに参加した。一方の姉の甜花は、甘奈の誘いを受けアイドルになることを決心するも、根っからの人見知りや引っ込み思案が相まって、アイドルとしての自信を(プロデュース開始時点は)持てずにいた。

 大崎姉妹は、それぞれが「姉(妹)のため」にアイドルを始めており、アイドルはいわば手段でしかなかった。レッスンやお仕事は性格上真面目にこなせど、どこか本腰を入れきれず、互いが互いを支えにアイドルを続けてきた。そんな中、W.I.N.G.三次予選を通過しファンも増えてきて、満員のステージを前にして、二人は心情を吐露する。甜花が輝きだしたことで、自分から離れていってしまうのではと怯える甘奈と、大きな舞台を前に勇気を踏み出せない甜花。だが、甘奈はステージで歌い踊ることの楽しさを再確認し、甜花は会場の声援を受け、それに応えたい一心で一歩を踏み出す。この時二人は初めて、真の意味で「アイドル」になった―というのが、大崎姉妹のメインストーリーにあたる。

 実はこのシークエンス、プロデューサー(プレイヤー)の選択肢によって二人の回答が変わるため、上記のやり取りとはまた異なるパターンも用意されており、必ずしもこれが絶対不変のストーリーではない(可能性の一つという意味でとらえてほしい)。だが、このストーリーが胸を打つのは、互いが互いを動機にしていた時期を過ぎ、二人が自らの意思でアイドルになることを選ぶ、という物語がとても気高く感じるからだ。意地悪な物言いだが、姉(妹)のためという言い訳を捨て、目の前のお客さんや自分自身が楽しむために全力を尽くすという在り方が、アイドルとして最高に格好いい。

 一方で、事前のコミュも胸を締め付けられる内容だ。アイドルとして経験を積んだ甜花は、甘奈や同じユニットメンバーである千雪とではなく、一人で仕事にいくよう自分を奮い立たせる、というストーリーが存在する。彼女は自分なりに甘奈への依存を抜け出そうと、努力している様子が窺える。

 対する甘奈は、甜花がアイドルとして成長していく姿を見るにつけ、自分の失敗を怖れるようになってしまう。甜花と一緒にステージに立つに相応しいパフォーマンスが出来なくなったらと、そんな不安が芽生えていたのだ。

 大崎甘奈は、アイドルになる前から要領が良く性格も朗らかで親しみやすいため、極端な物言いだが「一人でも生きていける」強さを持ち合わせている。だが、甜花をアイドルの世界に連れ出したことで、甘奈の心の「危うさ」が浮かび上がってくる。いつまでも一緒にいられると信じていた甜花が、自分の元を離れるということ。その引き金を引いたのは、他でもない自分自身であること。ぐうたらな甜花が生活能力を甘奈に依存していたように、甘奈もまた甜花の存在に依存していた。その関係がアイドルになったことで崩れ去る危険性を孕んでいることに、甘奈は気づいてしまったのかもしれない。

 関係性の変化に迷う甘奈と、妹への依存から一歩踏み出そうとする甜花。二人のストーリーは、精神的なすれ違いを予感させ、それがたまらなく切ない気持ちを生む。とはいえ、ここまで述べた両者のメインストーリーはあくまで両者個別のストーリーであり、それらがクロスして描かれることはない。必ずしも甘奈の不安と甜花の精神的成長が、同一時間軸で描かれるとは限らないのだ。ここまでお読みいただいて恐縮だが、二人のストーリーを混同して読み進めたのは筆者の脳内エラーであり、公式ではない。誠に申し訳ございません

 その上で話を戻そう。なぜ私が「大崎甘奈と甜花のどちらかを、W.I.N.G.で優勝させていいのか」と思ったのかと言えば、二人に順位など付けたくないからだ。甘奈と甜花は、それぞれが輝けるアイドルの素質を持っている。しかしそれは、二人が揃えばより強い光になって、ステージを眩く照らしてくれるはずだ。そんな二人のどちらか一方がより優れているなんて、結論付けたくない。甘奈と甜花が同時に輝ける場所で、王座に連れて行ってやりたいと、そう思うようになってしまった。

 もちろん、これは余計なお節介だ。自分が成長したいと一歩を踏み出そうとする本人の意思を阻害するのは身勝手なエゴであり、仮にどちらかが優勝したって、二人の関係性は変わらないかもしれない。どちらが負けたとしても、相手の勝利を祝福し、またいつもの姉妹に戻るだろう。そのやり取りを見て「尊い」と辞世の句をしたためてこそ、オタクの本懐だ。大崎姉妹を信じろ。現場からは以上です。

 繊細な感情表現を短いテキストで読ませ、コミュを深掘りすることでキャラの魅力がどんどん沸き立つような、そんなシャニマスが大好きです。みんなもシャニマスやろう。その際は大崎甘奈と甜花をよろしくお願いします。


追記
本記事を投稿した翌日の出来事

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