見出し画像

幽谷霧子はありがちな薄幸系美少女ではない。

 ドーモ、伝書鳩Pだ。最近知ったことなのだが、アイマス界隈では「推し」というワードは使わず、心に決めたアイドルのことは「担当」と呼ぶらしい。なんでも、アイマスプレイヤーは誰もが皆「プロデューサー」であってファンではないから、という熱い信念がこれに由来しているとのこと。この人!と決めた担当アイドルと一緒に歩んでいく者、それがプロデューサーたる者の誇りなのだ。無知なおれは過去の文章で軽率に「推し」などと言ってしまったが、これはおれ自身に自覚と意識が足りていなかった証拠である。猛省して、髪を坊主にするなどして反省の意をここに表し、担当と共にこれからもアイドル道を邁進していく所存、どうぞ応援の程よろしくお願いします。ところで、担当が決まるまでこの怪文書シリーズは続く。すまないが付き合ってくれ。

 今回は幽谷霧子の話をする。色白で口数の少ないミステリアスなふいんきを醸し出すアイドルであり、一番の特徴は腕や足に巻かれた白い包帯だ。これを見て、画面の前のおまえは何を思うだろうか。もしかしてメンがヘラってる系女子なのか、あるいは✝邪気眼✝を宿す暗黒の女騎士-BLACCK KNIHT-なのか…。残念だがそれは全部ハズレだ、スペルを学んででなおしてこい。

幽谷霧子(CV:結名美月)
年齢:17歳  血液型:AB型 誕生日:9月23日 星座:天秤座
身長:160㎝ 体重:51㎏ 3サイズ:79/55/81
利き手:左  出身地:青森県
趣味:かわいいもの全般の収集・手芸・献血
特技:包帯を綺麗に巻く・足音を立てない・りんごの皮むき

 日本でオタクをやっていれば、包帯の印象的なキャラクターと言えば満場一致で思い出すのがあの「綾波レイ」だ。綾波は一時代を築いたヒロインであり、内側に籠りがちなオタクの心に大きな楔を打ち立てた、色んな意味で罪深い女だ。彼女のファンを自称する著名人は多数いるし、綾波と出会って趣味嗜好が完全に塗り替えられた人も多いはずだ。あと、エヴァヲタを公言すると必ず飛んでくるのが「綾波派かアスカ派か」という問いだが、なぜ真希波がいない。真希波はすっごくカワイイで匂いに敏感で、そして何よりメガネっ娘だ。いつからおまえたちはメガネ女子の魅力に目を背けるようになった。自分に正直になれ、真希波が好きだいうタイトルでスレを立てろ。画像が集まった頃合いでおれも見に行く。

 話を戻す。確かに「包帯」「色白」というキーワードで霧子と綾波の類似性を指摘することはできるが、決して霧子は綾波系女子のレッテルを貼られるような、手垢のついたコピペ少女などではない。ミステリアスなのは第一印象だけで、じつは霧子は話しやすかったり、感情豊かな女の子なのだ。

 ケガをしてるわけじゃ、ないんです……でも、包帯の理由は……秘密です♪

 霧子の包帯や絆創膏は、彼女にとってのお守りであり、おまじないである。霧子は気弱な自分を変えるためにアイドルになるのだが、その性格が災いして、当初は自分のダンスが隣の人の迷惑にならないか、大声を出して他人を驚かせたりしないかと考え、自分の実力を出せずにいた。また、事務所を一人掃除していた理由を聞かれると「みんなが気管支喘息にならないように」などと言ってしまう。

 これはいわゆる「予期不安」というものだ。何らかの良くない物事が起きること、あるいは自分がその物事を引き起こすことなどを想像して、不安感を覚える症状であり、大なり小なり誰しもが覚えがあると思われるが、霧子はとくにこれが強い。この予期不安が強いあまり、彼女の弱気で極度の心配性な一面が形成されていく。これが深刻化すると不安障害やパニック障害を引き起こすとも言われ、中々に恐ろしい設定を当て込んできたものだと戦慄する。

 そんな自分の不安を抑えるのが包帯であり、当初それは「よくないところを隠す」ためのものであった。だが次第に、アイドルとしての経験であったりプロデューサーとの交流を重ねることでその意味合いが変わってくるところに、おまえは光明を見出すだろう。霧子の不安を自信に変えてあげるのが、プロデューサーであるおまえの役目だ。

 霧子の魅力が光るのは、主にサポートアイドルのコミュにおいてだ。所属するアンティーカには、スーパーポジティヴ月岡恋鐘や、周りをよく見る気遣いさんの咲耶と三峰がいるし、なんだかんだで優しい田中がいる。引っ込み思案な彼女から言葉を引き出したり、受け入れてくれる暖かい場がそこにはあって、霧子も自然体でいられるようだ。とくにオススメなのはsSR【娘・娘・金・魚】幽谷霧子のコミュで、マイナスイオン溢れる恋鐘との会話劇にノックアウトされた者が後を絶たず、「きりこが」なる新たな宗派が誕生したほどだ。サポートとしても優秀なので、ヴィジュアルを磨きたいアイドルがいれば迷わず装備させるといい。

 また、霧子は笑った顔もめちゃくちゃカワイイ。日ごろの微笑むような笑みもマーベラスだが、妙なところにある笑いのツボを突いた時にみせてくれる笑いは最高だ。普通の人が見逃してしまいそうな一瞬を切り取り、霧子だけの視点で見える世界の物語を、おまえだけに聴かせてくれる。その感受性の強さや豊かさは、霧子の大きな武器なのだから。

おれとおなじくらい三点リーダがすきな霧子

 霧子は、確かに変わった娘かもしれない。太陽のように明るく朗らかでもないし、セクシーな魅力に満ち溢れた印象も受けない。ただ、常に誰かを想い行動できる優しい心の持ち主で、その在り方は誰かを励まし、前に進む勇気をくれる。また、大切なもの、心を動かされたものに寄り添おうとする霧子の心は、とっても美しいものだ。そういう感性に惹かれたのなら、存分にそれを慈しみ、伸ばしていってほしい。

 これからも新たな霧子のストーリーが実装され、色んな表情を見せてくれると思う。それは涙だったり、笑顔だったり、怒りかもしれない。それらを何一つ見逃してはならぬと思ってしまうような、不思議と惹きつけられる何かを秘めたアイドル幽谷霧子は、これからも目が離せない。彼女の目に映る世界は、きっと違った景色に見えているはず。それを共有できたのなら、この上ない幸せだ。

このぶんしょうをかいたひと

これもよんでほしい

 稚拙星人サンの素晴らしい記事も併せて読んでほしい。霧子と白瀬咲耶とのパーソナリティの類似性、あるいは相違点から霧子の「孤独」をひも解く筆致が鮮やかで、ついつい引き込まれてしまう。そしてラストの余韻にひれ伏せ、幽谷霧子をプロデュースしろ。話はそれからだ。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

いただいたサポートは全てエンタメ投資に使わせていただいております。