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すみっコぐらしの映画見てアホほど泣いた

私はいわゆる子供向け作品が大好きなのだが、こういう作品は本当に大人に馬鹿にされる。「たかが子供向けだし」という感じで。

しかし、たかが子供向け、されど子供向け。
子供向け作品のターゲットはけして子供だけではない。特に劇場版なんかだと、絶対子供は保護者と見にくるじゃん。保護者にも刺さる、どの世代でも楽しめるような作品に仕上がっているのだ。

そしてこの作品。

「映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」

これはやばい。めちゃくちゃ評価されまくってるし今更なんだという話なのだが、感想を述べたい。この映画、「アンパンマンだと思ったら攻殻機動隊だった」「奈須きのこ」やら「別に一般的な子供向けだったしオタクの妄言」とか色々言われているが、私が見た限りでは、「どちらの見方もできる」。

もちろんメインターゲットは子供なのであくまで子供向けに作られている。すみっコかわいいし、ところどころで子供の笑い声が聞こえた。

しかしラストは大人にも十分刺さる。現に私はアホほど泣いた。この前JOKERを見たのだが、それと比較すると結構おもしろい。



ここからネタバレ--------



ひよこは物語の中にいない、ずっと孤独な存在。
ジョーカー…アーサーもそうだと思う。一人一人の人生は自分が主人公のはずなのに、そうとは思えない。周りの人は居場所があって、仲間がいて、前に進んでいて…。共感できる人も多いだろう。私もそうだ。自分が物語の中にすらいないんじゃないかと、ときどき怖くなる。

ここからがJOKERとすみっコぐらしの違いで、アーサーはそんな孤独ななか、周りから虐げられ、除け者にされ、誰にも優しくされなかった(ゲリーだけは唯一優しく接していたが)。そして結果人を殺めてしまい、私たちから見れば堕ちてしまったわけだが、それに対してひよこはすみっコからめちゃくちゃ優しくされる。居場所がないと泣くと自分と一緒だと共感され、居場所を共に探してくれた。ひよこは初めて愛に触れたのだ。

結局ひよこの居場所は見つからなかった。そのとき、すみっコ達は自分たちと一緒に来ようとひよこを誘う。ここですみっコたちと一緒に元の世界に帰り、仲良く暮らす…というエンディングだったらここまで話題になっていないと思う。

ひよこはそれを断ったのだ。自分がどうやってもそっちの世界に行けないことに気づいたからだ。そして、すみっコぐらしたちが元の世界に帰れるように手助けする。自分を犠牲にしてまでも。

孤独な大人はひよこの気持ちが分かると思う。今まで受けたことの無い曇りなき愛があまりにも眩しすぎて、そっちには行けないと。行った方が絶対に幸せになることは分かりきっているのに、自分はそんな風にはなれないと。そう思ってしまい、自分で自分を追いつめて、犠牲にして。
ここで感情移入してしまって涙が溢れた。

ひよこはひとり絵本の中に残る。
しかし、それだけで終わりじゃないのがこの映画だ。

最後にすみっコたちはひよこのために家の絵やお花、仲間の絵をを描き、ひよこのいるページに付け足す。ひよこのいる世界は真っ白で孤独ではなくなったのだ。最高のハッピーエンドだとわたしは思います。

すみっコたちはもともとみんなひよこ、もといアーサーみたいな存在だ。ざっそう、ほこり、残されたタピオカ、エビフライのしっぽ、とんかつのはじっこ。忘れられたり、残されたり、邪険にされたり。孤独を味わった。しかし、同じ悩みの仲間をみつけ、共に過ごし、すみっこという自分の居場所を見つけた。夢を叶えるために努力しているすみっコもいる。

映画すみっコぐらしは優しさに満ち溢れている作品だ。

レビューでもあった「JOKERのほうがマシ」というもの。
たぶんそんな優しさに触れたことがないような人なんだと思う。こんなに優しくしてくれる人なんていないと。JOKERのほうが現実なんだと。

でもそれは違うと言いたい。優しくしてくれる人は必ずいる。私は確信している。現に、このような優しさしかない作品を作った人達がいるのだ。

だからそんなに悲観しなくていいよ、と言いたい。

優しさを忘れた大人たちに見て欲しい作品です。本当にオススメです!ちなみにエンディングも最高なのでエンドロール必ず見てくださいね(迫真)。

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