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ミュージアム見学

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記事一覧

第1413回 古代・中世・近世と揃って国指定

1、超特急で街歩き

研修で埼玉県川越市に行ってきました。

と言っても古墳時代から近現代までかなりの駆け足で回ってきたので、ここでもざっくり紹介したいと思います。

2、古墳と館跡と城下町

まずは今年の3月に国指定史跡となったばかりの山王塚古墳。

発掘調査でちゃんと形が確認されたものでは全国6例目という「上円下方墳」。

周溝も含めた大きさは90mということで、この形のものでは国内最大級との

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第1411回 モノと関わりの歴史

1、研修報告

同業者の人たちの集まりがあって、昨日から埼玉県の川越市にやってきています。

2日目の今日はエクスカーションということで、4つのコースに分かれて史跡等を巡ります。

私のコースは秩父地域、テーマは「古秩父湾」、文化財的には天然記念物というジャンルのものが中心になります。

なんと約1700万年前から1500万年前のあいだ、この秩父というところは海だったというのです。

それを示す地

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第1408回 政宗が眠る山

1、目的は別に

本日は仙台藩祖伊達政宗の霊廟、瑞鳳殿にお参りしてきました。

最後に行ったのはいつだったか、

遠方から来た友人を案内したことを覚えています。

ちょうどこの3月に修復工事が終了して、装いも新たになっていましたので、いい機会でした。

2、政宗が眠る山

そもそも瑞鳳殿について少し詳しくお話ししますと、

寛永13年(1636)に伊達政宗が70歳で亡くなると、

遺言に従って「経

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第1391回 青森旅行記 その5

1、ようやく辿り着いた

いよいよ今回の旅行の最終目的地である三内丸山遺跡についてご紹介していきたいと思います。

北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録されたことは記憶に新しいですよね。

これまた20年近く前、学生時代に訪れたことはありましたが、

当時と比べるとガイダンス施設もリニューアルされ、大きく印象が異なっていました。

2、縄文最前線

三内丸山遺跡は

と公式ページでまとめられ

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第1389回 青森旅行記 その3

1、まだまだ続くよ

前回、前々回に引き続き、旅行記録を残していきたいと思います。

今回ご紹介するのは国史跡に指定されている「根城跡」

築城した南部師行については前回の記事をご参照ください。

2、武家屋敷全開

築城されたのは建武元年(1334)のことですが、復元されたのは安土桃山時代の建物、ということです。

主たる建物としては主殿、常御殿、奥御殿がありますが、復元されたのは最も公的な性格

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第1387回 青森旅行記その1

1、はじめに

思い立って子どもたちに「三内丸山遺跡」を見せたい!と思い一泊で青森に旅行してきました〜

しかも三陸道の高速は奥松島ICから北は無料区間なので、それを使ってみよう、という意図もありました。

三陸側から行くと、青森県の八戸に着くので

宿泊は八戸にして、三内丸山を最終目的地にして、帰りは東北道に、という荒いスケジュールだけ決めて出発しました。

今回はその内容を少し記録しておこうと

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第1378回 アートとデザインを意識して

1、客層がいつもと違う

本日は石巻市の博物館で開催中の企画展と記念講演会に行ってきたので、そちらをご紹介します。

民具とは

一言で言うと「ちょっと昔の道具」、と言った感じでしょうか。

今回は武蔵野美術大学とのコラボ、ということでだいぶ目から鱗の体験でした。

先に結論を言うと、民具という一つの歴史資料のジャンルが、現代社会へ切り込める、ということに驚きました。

出土遺物を研究する考古学や

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第1334回 列島展がやってきた2022

第1334回 列島展がやってきた2022

1、博物館探訪

県外からの客人を案内する、というきっかけがあり、行くタイミングを図っていた石巻市博物館に行ってきました。

現在は「発掘された日本列島2022」ということで全国から最新の調査成果の選りすぐりが出陳されているので見逃せません。

最近は東北によく巡回展できてくれるので嬉しいですね。

基本写真撮影可だったので、気になった展示物を紹介しながら概要をお伝えしたいと思います。

2、発掘

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第1333回 全体を俯瞰し、個別を掘り下げ

1、ようやく行けた!

今回は岩手県平泉町に令和3年11月に開館した世界遺産ガイダンスセンターを見てきましたので、レビューしたいと思います。

ただ、ちょっとだけ先に言い訳しますと、出張のついでに、他の人と一緒にさらっと見てきただけなので、何度かいくと印象が変わるかもしれません。

あくまでも現在の印象、ということになります。

2、全体よりも個別が優れてる

本当にやっているのか?

と同行者に

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第1322回 今よりはむき出しで、だからこそ刺激的な時代

1、この博物館にしては攻めたキャッチフレーズ

東北歴史博物館で開催中の特別展「欲望の昭和 ~戦後日本と若者たち~」を見てきました。

https://www.thm.pref.miyagi.jp/exhibition/6204/

展示を見る前に知り合いの職員さんに

君が期待しているムフフな欲望はないよ〜

とかなんとか言われましたが…

2、欲望が文化を生み出す

展示内容はなんとも幅広いも

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第1319回 時代が変われば見せ方も変わる

1、そこにいけた

本日は宮城県美術館で開催中の特別展、「ポンペイ」に行ってきました。

夏休み中、ということもあり、平日の朝一で入った割には人の出があった方でしょうか。

音声ガイドを初めて息子に使わせてみたのですが、

小野賢章さんと

小野友樹さんという豪華声優陣が担当していたのが驚きでした。

個人的にはジョルノジョバーナとと東方仗助…

でしたが子どもたちには映画ハリーポッターの吹き替え

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第1308回 殿様を凌ぐ豪商の精神

1、本間な文化

本日は昨日に引き続き、酒田市の話題。

酒田市といえば、本間家。

日本最大の地主と呼ばれるほど隆盛を極め、昨日の記事でも触れた

日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間(北前船寄港地・船主集落)」

との関わりもある豪商でもあり、多角的な経営で財を成した一族です。

地元に伝わっている伝承では奥州藤原氏の一族とともにやってきた「酒田三十六人衆」に連なるとのこと。

酒井

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第1307回 酒田の米を守ってきた史跡

1、山を越えて

これまで全然出張がなかったのに今月はもう3度目。

今月だけで昨年一年分の移動距離はゆうに超えているのではないか、と思いながら、その分収穫の多いということでもあります。

本日は視察してきた山形県酒田市の山居倉庫をご紹介したいと思います。

2、米の発信基地

山形県酒田市は江戸時代「庄内藩」と呼ばれたエリアに含まれ、

穀倉地帯として知られています。

また最上川による水運と、

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第1306回 県内現存最古の建築の中に納まりきれない

1、阿弥陀様のお導き

本日はとある研修会で宮城県角田市の高蔵寺さんを訪れました。

ということで現存している宮城県最古の歴史的建造物となります。

今回のテーマはその中に納められている重要文化財「阿弥陀如来坐像」でした。

御像の写真は自由に撮ってSNSで紹介しても構わない、と許可をいただきました。

2、高さの謎

本像は2016年から四か年に渡った修理が行われており、2020年秋に修理後の姿

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