第505回 世界中から学芸員が集まったらどうなるか

1、もう10日遅れですが

去る9月1日から7日にかけて京都で行われた、

第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019

をご存知でしょうか。

かくいう私も残念ながら行けませんでしたが、

興味深い内容でしたので、整理してご紹介したいと思います。

2、どんなイベント?

そもそもICOMとは何かというところから。

ICOMは世界唯一のグローバルな博物館組織で、

1946年の創設以来、博物館とそこに委託された文化遺産の保護と振興に取り組む博物館が情報、インスピレーション、洞察を与える貴重な場として社会の発展に果たす役割を発信している、とのことでした。

現在138の国と地域を代表する、44,500人以上の会員(団体・個人含む)で構成され、

三年ごとにあるテーマを設定し、世界の博物館が直面している今日的な課題と新たな解決策を話し合うための国際的な会議を行なっているそうです。

それが今回京都で行われた、ということです。

今回の大会テーマは「文化をつなぐミュージアム-伝統を未来へー」ということで、


「持続可能な未来の共創」「ICOM博物館定義の再考」「被災時の博物館」「世界のアジア美術とミュージアム」という全体会合が設けられていました。

最初のサブテーマである「持続可能性」というワードは最近頻出ですね。

大会パンフレットに記載のある京都からの歓迎の言葉の中にありましたが、

開催地である京都市は2019年「全国市区における持続可能な開発目標(SDGs)ランキング」で見事1位を獲得したそうで、

京都議定書誕生の地として環境施策に取り組んだこと、公共交通優先社会
を目指す取り組みが評価されたとのことです。

今後は博物館の役割を考える上でも「持続可能な社会」という視点が大事になってくるのですね。

今回、日本から提案された「アジア地域のICOMコミュニティへの融合」に関する議題については、ソウル、上海と大会を積み重ねてきた成果としてアジアの連携が望まれる契機になったのではとの記事もありました。

そして最も大きな話題となったのは博物館の定義を改める議案が採択されず延期になったこと。

いくつかの記事を閲覧しましたが、基本的には好意的に受け止められているようです。

社会の要請に応えるため、博物館も変わらなくてはいけないとは認識しつつも、丁寧に議論をすすめ、平和的な合意を得るまで結論を出さない、というのが特徴のようです。

3、関連イベント

そもそもこの話題を知ったのは近隣で行われた関連イベントのおかげでした。

世界中から博物館関係者が集まるということもあって、特別な展示を企画しているらしく、ちょっと検索しただけで

京都国立博物館 「京博寄託の名宝」

京都文化博物館 百花繚乱 ニッポン×ビジュツ展

京大総合博物館館 2019年度企画展「地の宝Ⅱ 比企鉱物標本」も9月29日まで無料とのこと。


泉屋博古館「文化財よ永遠に」


兵庫県立美術館


大阪産業労働資料館

などが確認できました。

またICOMの企画するポストカンファレンスツアーとして

東北の被災地を見るものも用意されていたそうで、

岩手県の陸前高田市立博物館を訪れ、津波被害を受けた文化財の修復について学んでいったようです。

4、博物館とは

いかがだったでしょうか。

参加もしていないイベントの紹介ということでしたが

何か貴方のお役に立てる情報をご提供できたでしょうか。

個人的には下記のオランダ大使館のツイートが印象的でした。

博物館は人と人、人とモノ、過去と未来を繋ぐハブにならなくては、

そう再認識するいいきっかけになりました。

本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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