第403回 Wの悲劇とか洒落た言い方やめましょう

1、これがフィクションだったらいいのに

もう報道でご覧になった方も多いかと思いますが

どうも首を傾げたくなるようなニュースがありましたね。

報道していたのが毎日新聞だったこともあり、

あの捏造事件を彷彿としてしまいました。

2、詳細を知ると悲しくなってくる

問題を整理すると

岩手県立博物館の保存科学を専門とする某学芸員は
県内の自治体から保存処理を依頼された資料に対して
無断で切り取って分析を行い、その結果を公表もしていなかった。

ということになるでしょう。

自治体間のトラブルではよく

穏便に

と公にはならないまま処理されてしまいがちですが

ここまで大々的に報道されるということはよほど腹に据えかねたのでしょう。

報道では様々な言い訳がなされていますが、

結局は県なり博物館なり実績を出している研究者の傲慢以外の何物でもないと感じてしまいます。

文化財資料を分析するに当たっては極力目立たない部分、もちろん必要最低限で行う必要があります。

技術が進歩すれば今より少ない試料でより多くの情報が得られるようになるのは間違いありませんから

試料を切り取ることは本当に必要なものに限定するのは当然のことです。

ほとんどの文化財関係者はこのような認識でいると思います。

一部の人の不見識で業界全体の信用が下がってしまうのは本当にやるせないですね。

3、もって他山の石とするしか

そういえば少し前に博物館資料をこっそりネットオークションに出品したという話題もありましたね。

その時にも触れましたが、業界人の職業倫理はどうなっているのでしょうか。

ご自分の研究業績をも汚すようなことをして後悔しないのでしょうか。

研究者が自分の狭い研究分野に入り込んでしまっていると一般的な感覚とずれてしまうということは往々にしてありますが、それにしてもひどすぎます。

どうしても被害者たる自治体側に感情移入してしまいますね。

また問題の所在としてきちんと契約書を交わさず業務を委託していたことも指摘できるでしょう。

これもよくある話というか感覚的には理解できるのですが

同じ研究仲間でもある県や他の自治体のところに仕事を頼むのに

口頭で、はっきりとした文書を残さずやってしまうことはあると思います。

ですがこういうことが公になると、些細なことでも契約書を取り交わして、トラブルが起こった時の責任の所在を明らかにしておく必要が生じます。

また仕事が増える…

まあ当たり前のことですよね。

公共の立場同士だからとなあなあでやっていける時代でもありません。

失った信頼関係を取り戻すには長い時間がかかります。

当事者の県立博物館と自治体は言うまでもなく、

文化財業界に対する一般社会の不信感も相当きついものがあります。

もう20年になる捏造事件すらまだ引きずっていますから。

もうこんなニュースには出会いたくないですね。

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