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第501回 千年以上前の伝説の刀が普通に博物館に残っている国ってすごくない?

1、日本刀レビュー 11

さて、記念回は過ぎて通常運転に戻ったわけですが、

まずは積ん読の消化を進めていきたいと思います。

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2、今回は戦国の話題は一切なし

巻頭の【日本刀ファイル】は次直。

あまり聞きなれない名前だと思いましたが、

平安時代から続く、作刀地である備中国青江(岡山県倉敷市)の刀匠のようです。

鎌倉初期までの作品を「古青江」

南北朝初期までの作品は「中青江」

それ以降を「末青江」と分類するようです。

今回掲載されるのは徳川美術館に伝わったもので

「あたかも積雲の流れを見るよう」と評されてきた名刀です。

個人的に感じたのは、焼きの部分の漆黒が深くて

中秋の名月である本日ご紹介するのにふさわしい佇まいですね。

次直の来歴も不明確ですが、南北朝時代に作られたこの刀の前半生も

はっきりしません。

慶長の頃に尾張藩の付家老であった成瀬正成が所持しており、

次代の正虎の遺品として寛文16年に主君である徳川光友に献上されたことから

現代まで伝来することになりました。

そして

【刀剣人物伝】は源頼光。

某ゲームの影響で知名度だけはあがったかと思いますが

清和源氏の隆盛の礎を築くとともに、酒呑童子退治など伝説的な説話も豊富な魅力ある人物です。

刀に関するエピソードにも事欠きませんが、最も名高いものだけご紹介すると、

やはり国宝にもなっている 童子切安綱でしょう。

酒呑童子を切った刀と名高いその刀は現在では東京国立博物館に所蔵されています。

「天下五剣」の一つに数えられ、足利将軍家から、豊臣秀吉、徳川家康と天下人の手を渡り、江戸時代は津山松平家(徳川家康次男の秀康の子孫)に伝わっていたとされています。

安綱は伯耆国(鳥取県)の刀匠で、個人銘の残る作品としては最も古い部類にあたるようです。

【日本刀匠伝】は正秀。

こちらも素人の私には聞きなれない名前です、

寛延3年(1750)生まれで、当初は流行の大坂新刀(津田助広)らの作品を写す名手として知られていました。

その後次第に復古実用刀と呼ばれる、古い鉄を溶かして作る鋼を用いて、実戦に耐える強靭な刀に取り組んでいきます。

かの勝海舟もその作品を愛用していたとか。

さらに『刀剣実用論』という秘伝を公開してしまうような書物を普及させたり、100人の門人を育て、孫弟子も含めると「門下三千人」と称されるほど教育に力を入れたとのことでした。

【日本刀ストーリー】は幕末のとある物語。

慶応四年(1869)のことですからもう明治になろうかという頃。

英国公使のパークスが襲撃されるという事件が起きました。

実行犯の一人、林田貞堅が所持していた銘兼元と

護衛役の一人、中井弘の所持していた刀(無銘)が

150年の時を超えて一つの展示会で再開したということ。

互いに刃こぼれの痕がそのままというのがなんとも生々しい。

展示会は2016年に京都国立博物館で行われた「没後150年坂本龍馬」。

全国で巡回展をやっていましたのでご覧になった方も多いかもしれませんね。

3、刀が欲しくなっちゃいますね

いかがだったでしょうか。

平安時代から幕末まで幅広い話題が盛りだくさんでしたね。

どんどん刀の知識が増えてくるのが嬉しいです。

次に展示を見るときにより深く観察できるようになるかもしれませんね。

本日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

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