第444回 キツネの次はウマの話

1、4のゾロ目だ…

昨日のnoteに引き続き、

本日もミヤギは岩沼市の竹駒神社の話題。

実はこの地は古くから大きな馬市が開かれていた場所で、

なんでも大正時代には「軍馬三大購買地」とも称されたとか。

今でも旧暦2月の初午祭は大いに賑わっているそう。

そんな縁からか、境内には世にも珍しい「馬事博物館」があります。

2、注目すべき建築として

馬事博物館が竣工したのはなんと昭和13年というから、いまから80年も前のこと。

当時はまさに日中戦争の最中で、建築資材も不足気味。

鉄筋コンクリートの計画から木骨に変更したと記録に残っているとのこと。

腰壁には秋保石という当時流行していたミヤギの石材を使用。

東日本大震災も含めて幾多の震災を乗り越えてきたことを考えると相当堅牢な作りということなのでしょう。

設計は県庁の土木技師だった我妻駒之進。

大和町の旧吉岡尋常高等小学校講堂など学校建築を数多く手がけたことでも知られています。

そのデザインについて最新の研究成果を教えてもらったので少し紹介しますと

写真でも確認できるかと思いますが、鴟尾(しび)が非常に特徴的。

鴟尾とは尾をあげた魚に見立てられることが多いのですが、

源流である中国では鳳凰が翼を広げた表現とのこと。

この馬事博物館の鴟尾はヒレに当たる部分が一枚一枚独立している、というか

まるで馬のたてがみのようだという指摘がなされたとご教授されました。

他にも柱の造形や彫刻などにギリシャ建築の「アンカサス風意匠」が見られるとの見方が公表されています。

斎藤広通2019「竹駒神社馬事博物館の設計者・我妻駒之進について」『日本建築学会 2019年度東北支部研究報告発表』 出典未確認

ここまで研究がなされているのであれば国の登録文化財としては十分要件を満たしそうですね。

3、建物も中身も素晴らしいのに

さて内部にある資料ですが、年に二度ほどしか公開しないということで、

ご覧になったことがない方も多いと思います。

その名の通り馬に関する資料を中心に、

伊達政宗が豊臣秀吉から拝領し、さらに家臣の古内氏に下賜した甲冑や

仙台のお城にある有名な伊達政宗騎馬像の試作品だと言われる像なども収蔵されていました。

江戸時代の馬術の秘伝書や、馬具関係、馬に関係する民芸品などが所狭しと展示されています。

というか狭すぎ。

昭和初期とかは重厚な展示ケースに詰められるだけ資料を詰めるというのが善とされていたのでしょうか。

どうも安っぽい展示になってしまうのですよね。

まあうちの町も数年前までまさにそんな感じの展示をしていたので

人のことは言えないですが。

最近ちゃんと専門職の学芸員さんが配置されたということで、整理が進むとともに、年に二回と言わずもっと公開の機会が増えることと期待しています。


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