第402回 日本刀のお勉強再び

1、読書記録64

今日ご紹介するのは、以前ツイッターでも触れた

『週刊 日本刀 1』ディアゴスティーニ

創刊号だけ格安のあのシリーズについに日本刀が採用されました。

創刊号ということで

構成の説明があります。

【日本刀ファイル】

毎号日本刀一振りを取り上げて原寸カラーで解説

【刀剣人物伝】

愛刀家たちを刀剣視点で見た人物伝

【日本刀匠伝】

刀匠たちの代表作や系譜、伝説などを通じて名工たちの人間像に迫る

【刀装具ぎゃらりぃ】

鍔や小柄などの原寸大写真やデータを紹介

【日本刀ストーリー】

刀剣を軸に毎号テーマを設けて深掘りコラムや写真資料を元に日本の歴史文化を解説

【美とテクノロジー】

日本刀を科学的に深掘りする

【現代の日本刀カルチャー】

アニメやゲームなので描かれる日本刀を解説

【日本刀BASIC】

日本刀の基本情報を徹底解説

【名刀・拵 DateFile2000】

作刀地ごとに刀のデータを紹介して最終的には2000振を紹介するとのこと

随分大風呂敷を広げていますね

全101巻を予定、とのことですが本当に完結するのでしょうか。

2、読書レビュー順不同

それはさておき、今号の内容で気になったところをいくつか。

まず刀剣の基礎知識①として年表形式で歴史が語られているのですが、

安土桃山時代の部分に

慶長以前のものを古刀、以降を新刀と呼ぶ

という説明とともに

交通の発達により産地の違いが薄れ、刀工の個性が際立つようになる

という記述があります。

うーん文意が取りづらいですが、原材料の移入とか、刀工の移動が容易になったことから産地ごとの特色が薄れた、という意味なのでしょうか。

なんだか釈然としない説明です。

こういうところの根拠が不明確なのが一般向け書物の残念なところ。

一番良かったのは等身大の村正ビジュアル。

光が反射して非常に撮影が難しい刀剣に対し

独自の手法で挑戦し続ける写真家さんが手がけただけあって

迫力満点です。

皆焼(ひたつら)と呼ばれるは刃文が非常に美しく、

例の

徳川家に仇なす刀

としてのおどろおどろしいイメージとぴったりです。

でも実はこの刀は徳川家康が作らせたと伝えられ、

尾張徳川家に伝来したものだというアイロニーがまた興味深いですね。

そう、よく家康の祖父も、父も、息子信康と孫の忠長でさえも村正で命を落としているということがクローズアップされますが、

実は村正は実戦向きで大量生産された、という経緯があり、そもそも当時出回っていた数が多いというのが実情のようです。

【刀剣人物伝】で紹介されているのは坂本龍馬です。

実は初めて知ったのですが、龍馬はかなりの刀剣好きで

坂本家の家宝だった陸奥守吉行を切望する手紙を実家に送っていたようです。

死ぬときでも傍にこの刀があると思えば心強い

と書き記した通り、暗殺の場面でも手にしていたということも紹介されています。

【日本刀ストーリー】のコーナーでは草薙剣が取り上げられていました。

ちょっと気になったのは昭和25年に連合軍が日本進駐するに当たって

水無神社に1ヶ月ほど遷座していた

とさらっと説明されていましたが

これはどういうことでしょう。

おそらく水無神社というのは飛騨国、現在の岐阜県にある神社のことでしょう。

昭和天皇実録に記載があるらしいですが、やはり奥まった地に秘匿するという計画だったのでしょうか

3、この夏、あの名刀に出会える

いかがだったでしょうか。

ビジュアルが売りのムックなので文章でお伝えするのは限界がありますね。

でも創刊号ということで読者の心を掴んで離さないようにと工夫が凝らされているのが見て取れました。

説明文の信憑性は出典に当たれないので検証しづらいですが

ビジュアル資料集としては有能なのでしょう。

関連でいえば仙台市博物館で7月12日から始まる展覧会

企画展「戦国の伊達氏―稙宗(たねむね)から政宗へ」

に「太刀 無銘(鎺国行)(はばきくにゆき)」が出るらしいですよ。

以前のnoteでも触れたことがありましたね。

ぜひ大勢の方にご来場いただきたいですね!

コメントやTwitterのリプでぜひご感想をお寄せください。

 

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