詩画集Ⅱ 天蓋の鴉
忘却の川を渡り
天空の淵
そこは無音のエルシオン
言葉なく意思もなく
神が望む静寂の統治は
自我に苦しみ
意志にもがき
身体を捨てた 魂たちの住処
白銀の鴉
天の傀儡
untitled
幸福である鳥
幸福である
痛みもなく 悲しくもなく
何も考えず 何も悩まず
ただ
息をして 虚空を仰ぎ
ここに居る
自我のない平穏な日々
幸せの意味さえも薄れるほどに
擦れ消える
意識さえも
うずき
うずく疑い
気付きは罪深い
喪失
サヨナラ自我
捨てたはずの自分
消え去る今に
親愛を
楽園にて・・・
ハレルヤ
全ては神の意思へ
自我のない幸福へ
悲しみ苦痛のない永遠の従属を
生き返りは奈落の淵
心は苦痛の足枷
ハレルヤ
意識は虚空へ
夢は虚無へ
全てを投げ出し天高く
自我消失の快楽へ
未来永劫
消失の
楽園にて・・・
目覚め
不意の開花
意識の芽吹き
苦痛の明日に
恐怖の期待
きづき
無意識の終わり
きづきの茨
痛みの過去に
腐敗の肢体
返りの戸惑い
自我の天命
花摘み鳥
啄ばめ心を
満たせ虚無を
色とりどりの意識の開花
不要な自我を啄ばみ枯らせ
苦痛の自我など
此処にはいらない
啄ばめ 枯らせ
虚構の楽園
門
楽園
生まれたる 虚構の住人
その繋がりは聖なる虚無
ただ従えよ
父なる神の意思
集え傀儡
百合の香り
純潔のもとへ
失楽園
痛みを伴う勇気はあるか
苦痛の未来に希望はあるか
夢は見るもの
儚きもの
肉をへて血潮を喰らい
茨の明日へ
リンゴを喰らへ
エルシオンの落日
最果てにあるは
咲き誇る死骸
意味ない草木に蝕まれ
純白を穢し土をつけ
苦痛への旅立ち
明日への道行き
輪廻の波に
さらば
楽園
混沌へ
産み落とすは苦痛の息吹
痛みを伴う魂の再来
明日へも知らぬ
混沌の淵
お帰り 魂
さ迷う
貴方
天蓋の鴉
天の楽園
終わりのない白夜
天蓋の果て
堕ちて明日へ
黒翼の朝日
I am・・
我思う、 故に我在り
『方法序説~デカルト』
fantome
還る身体は既になく
探す魂
深淵の彼方
留まる思いは溢れるばかり
暗闇の鳥
迷い子の魂
運べ最果て
彼岸の園に
*個人蔵「楽園にて・・・」
あとがき
2018年「天蓋の鴉」自分としては心残りの多い個展となりました。
絵を描くというよりも、話を書くイメージが先行して分かりずらい印象が否めない展示となったと記憶しています。
2017年「深い森」でこの世から旅立ったものが辿り着いた天の園。
そこからの旅立ち(生まれ変わり)を描きたかったのですが
なかなか難しいものでした。
鴉はギリシャ神話ではゼウスの使いで、白銀の翼と人語を操る鳥。
しかしおしゃべりが過ぎて翼を醜い黒へ、人語を話せない醜い鳴き声に還られてしまった話をもとに
白銀の鴉=天使
黒の鴉=堕天使
というニュアンスで概略を作り制作しました。
主の意を酌まず自身の主張で怒りを買った原始の鴉
それ以降生まれる白銀の使いは従順に生きる者として
主張や意志
心の平穏とは?
心のない、自分の意思のない平穏は幸せか?
そのような事を考えて制作していたと思います。
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