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イスタンブルだけがトルコやおまへんで:写真で見返すトルコ国内各地の風景(1)

毎週記事を更新していきます、と言った本人がずいぶん更新をほったらかしにしてしまうという昨今ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか(年度末は忙しいからね!しかたないですよね!!)。というわけで、久しぶりの更新となってしまいました。この場をお借りして、お詫びいたします。次回からは心を入れ替えて書いていきますよってに…

アタテュルク廟(Anıtkabir)(トルコ、アンカラ。2004年3月撮影)

教科書の風景にモノ申す!

筆者は昨年4月から、オンラインでトルコ語講座を担当する機会を得ておりました。市販の教科書を使って初級から中級あたりまでの文法を一通り押さえつつ、トルコ語に親しんでもらおうという趣旨で、一般向けの講座ということでやってきました。

ようやくそれもそろそろ年度の終わりに伴い、ひとまず一段落を迎えようとしている昨今です(来年度はまた初級から開講予定ですのでまたそれはそれでよろしくお願いしますね!)が、今年度に限った話でもなく、教科書を使っていて気になっていることがあります。

そう。それは、日本での市販の教科書ではどうしても会話の舞台がイスタンブルに偏ってしまっているということです。

たとえば、「『タクシム広場』に行きます」といった内容の文が出て来たり、各章の合間に使用されている写真がアヤソフィア大聖堂(最近はモスクにされてしまったので有名ですが)やスルタンアフメット・モスクだったり。

いや、もちろんそれらを紹介する必要はあるでしょう。商業的なことを考えても、イスタンブルをハイライティングする意義はきっとあります。なんせ市販の教科書は少しでも売れないといけないはずで、そのためによく知られている都市の話を多く持ち出すという側面もあるのだろうとは思います。

とはいえ。とはいえです。

イスタンブル以外の都市、あまりにも教科書に出なさすぎじゃね!!?首都のアンカラもほとんど出てこないってどういうことよ!?

留学、日本語教育の任務先としてアンカラ(言わずと知れた、トルコの首都ですね!)に多少長く関わった身としては、教科書を眺めつつ、どうしてもそう思ってしまうのですよね…(わかってもらえると信じたい!)

こうやってトルコという国を改めて地図で見てみると、イスタンブルは巨大都市といえど、西側に位置するきわめて限定的な地域だということを感じずにいられません。

そう、トルコという国。国土の9割はアナトリア半島が占めており、俗に「アジア側」と言われる地域のほうが、地理的には支配的なのです(経済的・商業的なバランスはもちろんまた別の話です)。

イスタンブルはもちろん魅力的だが…

イスタンブルは海を挟んでアジア側、ヨーロッパ側とに分かれるというのはたしかに「おいしい」要素だろうなとも思いますが。それに誤解のないように書いておきますが、私とてイスタンブルはもちろん好きな街の一つです。

トルコ滞在時も、たまにイスタンブルを訪れる機会がありました。その時の高揚感は説明できないものがあります。なんといっても、海…海があるというのは大きいですよね…

アンカラは内陸地で、生活の基盤がそこにあると海の景色というものにどうしても飢えてしまうということはありました。変な話ですが、海のあるイスタンブルは、ただただうらやましくもありました。

イスタンブル、エミノニュ地区から新市街方向(2004年8月撮影)を見上げる。
写真には写っていませんが、エミノニュ桟橋近辺は大勢の人で賑わっています。

サフランボル

さて、本題のアナトリアです。首都アンカラから比較的近い観光地として、サフランボルにはよく日帰り、あるいは1泊のショートステイで遊びに行ったものでした。静かな街並みを歩いて眺めるだけでよかったのです。

サフランボル、旧市街チャルシュ地区(2004年3月撮影)

特段、サフランボルに何があるというわけでもないのです。強いて言えば、オスマン帝国期から残る民家の街並みを見ることができるというのが観光地としての意義といえるでしょうか。

もちろんそれとてサフランボルの専売特許というわけでもないのですが、小さな村に市場あり、ハマムありと昔ながらのトルコの村の雰囲気を味わうことができるというのが魅力といえるでしょう。

郵便局。街の景観に合わせて、木造の外観になっています(2015年1月撮影)。
市場の一角。お土産のチョイスには困りません。布製品、お菓子だとロクム(lokum)が有名です。

現地に比較的長くいた時期には、何度となくサフランボルに行ってきたものでした。

現地の人たちともいろいろ話したりしましたし。アンカラの生活はどうだ(人が多くて疲れるだろうハッハッハ的なそれ)、といったことや外国人としてのトルコの生活は、等々。

日本人は生で魚を食べるっていうのは本当かね、と突然聞かれたりしたことなどもありました。そういえば。
2019年秋、まもなく日本に本帰国するという時期には当時の日本人留学生数名と一緒に日帰りで行って来たりもしました。

どの訪問時も懐かしい。パンデミックでなかなか気軽に現地に行けない昨今にあっては、なおさらです。

さて、そろそろ本題に戻りましょう…。

できるだけ、色々な景色を

たとえばこういったアナトリアの小さな街ながら、トルコの数ある観光名所の一つくらいはやはりトルコ語の教科書で紹介されたってバチはあたるまいに…と以前から思っていました。

以前書いたトルコ語の本では、実際そのあたりを意識していました。本をご覧になった方はよくご存知だと思うのですが、イスタンブルだけではないトルコ各地の写真を載せてもらいました。たとえば、トルコ南東部とか。

ディヤルバクルの旧市街城壁の一角(2013年撮影)

常々近い知り合いには言っているのですが、もし今後、自分がトルコ語の教科書を書くということになったら、イスタンブルだけではなくて色々な景色をやはり紹介したいなと思っています。

今回主に写真付きで言及したサフランボルもその一つ。自分の経験、または持っている写真も限られてはいるのですが。教科書を執筆する機会はなかなかもらえそうにないので、ならばせっかくここ「友の会」で記事を書く機会を与えられたのですから、ここでも今後少しずつトルコの景色を紹介してみるということをやってみようかなと考えています。

もっとも、上記リンクの通り自分個人のnoteのほうもありまして、そこでの内容とここで書く記事のテーマが重複してしまっているのはどうしたものかな、とは思うのですが…
まあそのあたりは、書き続けながらおいおい考えていくことにしたいと思います。今後数回に分けて、「アナトリア半島の風景」について少し書いていってみようと思います。

(文:吉村 大樹(テュルク友の会代表))

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