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オタクはうおおおおおって叫んでりゃいいんだよ深く考えるな(非アニオタのオイパラさんがアニオタオフにフラっと参加したらドえらい目に遭った話)

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よっしゃ、今からアニオタオフの話をするぞ。

昔々あるところに、mixiという古のSNSがあってやな。今やすっかり廃れてしまったが、ほんの数年前は中々の隆盛を誇っておったわけ。

mixiにはコミュニティ機能というものがあって、そのうちの一つに京都のアニメオタクが集いオフ会やらイベントやらを定期的に催すというものが存在したんやな。

俺自身は大してアニメ観ないんだけど、当時の彼女はそこそこ観る方でコードギアス?だかルルーシュ?とかいうようわからんやつにハマっておった。

しかし、俺といえばエヴァくらいしかアニメのことはわからんもんで、彼女とその話題で盛り上がることはできん。

そしたら彼女が当該アニオタコミュニティのオフ会に参加してオタ友達が欲しい!とか言うわけ。

「よし行って来い!その日は俺友達と飲んでくるわ!」と快く送り出そうとしたら、ペチーン☆と平手打ちされて「バッキャロウ!お前も行くんだよ!!私一人だと心細いだろうが!!!」みたいなことをのたまう。

なんでだよ、俺別にそんなとこ行きたくねぇよ、興味ねぇしよ、などと抗議したが、強制的に連行されることとなった。女ってすげぇよな。こんな理不尽なことを堂々と言えるんだから。

さておき当日、会場は祇園の某アニソンバーだったんやが、ちょっぴり分かりにくい場所にあるらしく、八坂神社前の階段が集合場所に指定されてたんやな。

そしたら、周りの観光客やら参拝客やらとは明らかに異質の集団がおってやな。何が異質かって、メガネ率と黒服率が異常に高いわけ。

ほんでもって、リーダー格らしき小太りメガネが、手製のノボリみたいなものを持っていて、そこにデカデカとコミュニティ名が書いてある。うーん分かりやすい。配慮が行き届いている。でもこの人たちに付いて行くのはちょっと勇気が要る。

とはいえ、合流しないと始まらないので「あの〜○○○○コミュニティの方ですよね?私、参加者のオイパラと申しまして、こちらは連れです」などと話しかける。

すると、小太りメガネは快く受け入れてくれ「あ、じゃあみんな揃ったんで私に付いてきてください」と現地まで誘導してくれるようだ。

そこからまあまあの人数の黒服の男たちと一部のオタ女たちが連なって、現地まで列を成して向かうこととなった。

俺は思わず「葬式みたいやな」と隣の彼女に言ってみたが「周りに聴こえるからやめろ」と返される。まっこと申し訳ない

禍々しい黒の軍団がゾロゾロとけっこうな距離を歩いて手狭な入り口を潜り、地下へと続く階段を降りると、そこがようやく会場のアニソンバーのようだ。なるほど、これは確かに分かりづらい。またその階段から店内へ向かう廊下の壁には様々なアニメ絵やグッズが飾られている。

他の参加者からは「移動マジ疲れた残機1」とか「やっと着いた〜漲ってキター」とか「高まりますなァ〜!」などの聴きなれない言い回しがポンポン聴こえてくる。

この時点で「えらいとこに来てもうたな」という感想を抱き始める。隣の彼女に小声で「そろそろワタクシだけ帰るという訳にはいきませんか?(敬語)」と尋ねてみたが「殺すぞ」と返される。まっこと申し訳ない

入店すると、セクシーなコスプレ衣装を着た女性店員さんが出迎えてくれたが、体型がデラックス過ぎてシルエットがジオングみたいになっておる。ここまで俺にとっては試練ばかりだが、一周回ってちょっと面白くなってきた。

店内のボックス席にとりあえず座る。テーブルを挟んだ俺と彼女の前には、かなり熟成の進んだガチオタ中年男性が三名鎮座されておる。

対話を試みたが、我々のようなLV.1のヌルオタにはどうにも接点を見つけるのが難しく、最初のダンジョンでバラモスゾンビx3に遭遇した心境になってしまう。現実はいつだってゲームバランスを考えてくれないのだ。

しかし、参加者の中にはいかにもなアニオタ男性のみならず、ホストみたいな服のイケメンや、体格がよく凛々しい顔のスポーツマン、一人参加の綺麗な既婚女性も居たし、目がクリンとした愛嬌のある顔の女子大生も含まれていた。でも話してみると話し方がやっぱりちょっと変。あと、声がやたら甲高い。声色で分かったが、さっき廊下で「高まりますなァ〜」と叫んでたのお前か。

この日はクリスマスが迫っており、主催者がコミュニティ内の不要なアニメグッズを集めて参加者にプレゼントする、という大盤振る舞いイベントが催されようとしていた。

例の小太りリーダーがマイクを持って「それでは、みなさんお待ちかね!クリスマス恒例のプレゼントタイムを始めたいと思います。それでは綾波レイの抱き枕欲しい方ッ!」などと仕切り始める。

「ハァイ!」と元気よく挙手をするホスト風イケメン。マジかよお前その顔で綾波レイ抱いて寝るのかよ。普通に生身の女抱けるだろ。俺にその顔くれよ。

当該グッズを欲しがる人が複数の場合はジャンケンで決めるのだが、きっちりそこでも勝ち切って綾波レイをゲットするホスト。つよい。さすがイケメンつよい。

プレゼントタイムが終わると、再度小太りが司会を進める。

「それではァ〜ここからはノンストップDJタァーイム!!」という号令と共に、爆音アニソンが店内を流れる。

参加者の多くがササッと荷物の中からサイリウムを取り出す。みんなめっちゃ振る(俺らそんなん持って来るって聞いてないんやが)

やたらデカイ袋の中から、ニュルンとバットくらいの長さがある大型サイリウムを取り出してめっちゃ振るオタクも居る(スターウォーズの殺陣みたいになっとるんやが)

もちろんサイリウムと言えばオタ芸。めっちゃ動く。すげえ速くてキレがいい(風を感じる)さっきトイレ行ったら「店内でのオタ芸禁止」と書かれた張り紙見たんやが(店員なぜ止めん)

会場の熱気にあてられたのか、スポーツマン男性がいつのまにか上着を脱いでいる。中から現れたのは萌え萌え二次元美少女Tシャツ(台無しコーデ)

続いて水樹奈々の曲がウーファーから流れる。なぜ分かるかというとさっきの甲高い声の女子大生が「キャー!ナナ様ー!」と叫んでいたからだ(様付けで呼ばないといけないんですね)(勉強になります)

別のオタクは紙袋の中からズルリと取り出した特攻服を着込む。そして背中には「水樹奈々様命」の文字(ですよね)

カオスなDJタァーイムもようやくフィナーレを迎え、司会の小太りが締めに入ろうとしていた。

やれやれ、ようやく終わりか。彼女は他の女性参加者とそこそこ打ち解けたようで目的も果たせたし、周りのテンションには全くついていけなかったが、見識を深めるという意味では俺もまあまあ楽しめた。しかし、さすがにお腹いっぱい。彼女の顔も満足げだ。よし、帰るか。

そんなことを考えつつ、身支度を整えようとしていると、司会が参加者に向かって最後の案内を告げる。

「え〜、近くの店で二次会を予定しております。時間のある方は是非奮ってご参加のほどを〜」

彼女が俺を見据えて訴える。

「オイパラも二次会行くよね?」

ウッソだろお前。

それではまた次回。

(了)


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