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押井守のサブぃカルチャー70年「YouTubeの巻 その29」 【2023年4月号 押井守 連載第64回】

YouTubeにハマるきっかけになったチャンネル『ももじオンライン』のお話から、この連載のテーマでもある「幸福論」について語っていただいた前回の続きです。

押井さんの幸福論、そして、押井さんが理想としている監督、ジャン=リュック・ゴダールのお話も。

取材・構成/渡辺麻紀
撮影/ツダヒロキ

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押井監督自身の体験と思索の日々に裏付けされた、刺激的でユーモラスなアドバイスに価値観を揺さぶられること間違いなし。

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著者 押井守
構成・文 渡辺麻紀
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動画を通じて、それを作っているおじさんやおばさん、おねえさんやおにいさんに出会う場がYouTube



――
『ももじオンライン』について語って頂いているなかで、この連載のテーマでもある「幸福論」が鮮明になってきました。今回は、やっと押井さん自身が辿り着いたご自身の幸福論についてお伺いしたいです。

映画を撮ること。そしてゲームをすることです。

――そ、それは意外と簡単な気も。私が「今日は『マンダロリアン』の新エピソード配信日だ」とニヤつくのと同じようなものですか?

それが自分のなかでどういう優先順位になっていて、目的と手段が明快かどうかによって決まってくる。単なる執着なのか。それとも幸福論に通じる行為なのか。そういうことを考えた上での答えです。
たとえば映画を撮ること。なぜ私は映画を撮るのか? それをずっと考え続けてきた。名声が欲しいのか。有名になりたいのか。金持ちになりたいのか。あるいは、映画史に革命を起こしたいのか……映画にかかわることには、さまざまな可能性があるし、動機もある。そうやって答えが出たのが60歳を過ぎたころ。

――どんな答えでした?

映画を作るという行為自体を楽しんでいる。自分の企画であるとか、言いたいことがあるから撮っているわけでもない。結果として、自分の言いたいことが反映されているだけで、それが目的ではない。
映画を作ることの本質は何か? 自在感なんですよ。自由自在に映画を動かしている感覚。映画という世界のなかで思う存分、自在感を行使すること。だから、ゴダールに惹かれたんです、私は!

――ということは押井さん、「映画を作っていれば幸せなんだ、私は」ということに、60歳をすぎてやっと気づいた?

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