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101人の夢の行方は? PRODUCE 101 JAPAN SEASON2ついに終幕! そしてINIへ

文/吉田可奈

今年の1月から、約半年という期間を費やして開催された日本最大級のサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』。前回のオーディションで結成されたJO1がブレイクを果たしているなか、より注目度を集めての開催となった。今回も、“どの事務所にも所属していないこと”が募集条件として掲げられ、会社員から現役高校生、元韓国芸能事務所の練習生、有名アーティストのバックダンサー経験者など様々な才能あふれる練習生が集まった。

そして迎えた2021年6月13日。TBSで生放送された最終回にて、“国民プロデューサー”の名を持つ視聴者の国民投票によって、デビューメンバー11人が選ばれた。

今回は、最終回放送日の朝7時に一度締め切られた投票結果を、番組冒頭でサプライズ発表。1週間半前の配信時に発表されていた順位では上位だった練習生がデビュー圏外になっていたり、これまでデビュー圏内に入ったことがなかった練習生が上位にランクインしていたりと、この数日でかなり大きな変動があったことを物語っている。この時点でSNSのタイムラインは驚きと戸惑いの声で溢れていた。

しかし、ここからが、すべて視聴者投票で順位が変わっていく“プデュ”の恐ろしいところ。これまで上位が定着している練習生に対し、“この子は大丈夫だろう”と安心してしまい、そのほかにもデビューしてもらいたいと願う練習生に投票してしまう人が増え、それが結果的に仇となり、順位がひっくり返ることも多々あるのだ。過去にも“プデュ”シリーズではそういった事例がいくつもあった。もちろん、そこで下位だった練習生がデビューし、圧倒的な光を輝かせることもあるのも確か。ただ、デビューするためには投票数が絶対的に必要なものであるからこそ、国民プロデューサーはどんなに上位でも油断することなく、布教、投票し続けることが大事なのだ。少しの油断も絶対に許されない。

しかも、今回は最終回の生放送中に投票された票は、通常の倍になるシステムを導入。練習生は、2つのグループに分かれ、「ONE」「RUNWAY」というオリジナルの課題曲と、バラード課題曲として「ONE DAY」を披露している間でのリアルタイム投票となった。タイプの異なる2曲を、仕上げてきたビジュアルと熱のこもったパフォーマンスで披露する姿はすでに貫禄さえも感じさせる素晴らしいもの。その短い時間に、国民プロデューサーのすべてが「全員デビュー」を願いながらも、自分の推しの練習生に投票し、ついにデビューメンバーである11名が決定したのだ。

この日、新たに生まれたグローバルボーイズグループの名前は“INI”(アイエヌアイ)。“I(アイ)僕たちはI(アイ)あなたとNETWWORK(ネットワーク)繋がっていく”という意味が込められている。その名にふさわしい、これから世界中の人たちと繋がっていくであろうメンバーを紹介していこう。

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圧倒的な実力と包容力でグループを牽引する愛されリーダー

木村 柾哉

©️LAPONE ENTERTAINMENT

圧倒的な強さで見事1位を獲得したのは、有名アーティストのバックダンサーとしても活躍していた木村柾哉。
初回の国民投票でも1位を勝ち取り、『LET ME FLY~その未来へ~』でもセンターとなった。つねに田島将吾と1位を競い合い、オーディション中は練習生から頼られる立場でありながらも、序盤のクラス分けや順位発表では自分の身体を小さく抱え込み、不安な表情を浮かべる姿が印象的だった。圧倒的なダンスの実力を持ちながらも、決しておごることなく、他の練習生の悩みを聞きだし、優しく受け止めたり、自分の練習時間さえも削りダンスを教えたりと、練習生の心を支える欠かせない存在に。今後もグループを牽引していくメンバーとして活躍してくれることだろう。


キュートなビジュアルと圧倒的なハイトーンボイスで魅了

塚 大夢

©️LAPONE ENTERTAINMENT

2位は、前回の投票では17位だったが、大きな逆転を見せた髙塚大夢。
オーディションに参加する前は、大学でアカペラのサークルに所属。ペットショップの店員をしていたことからオンタクト能力評価でオススメのペットを紹介する愛らしい動画が話題となった。初回8位を獲得するも、直前の順位発表では17位までランクダウン。しかし、髙塚のファンダムがこれを受けて精力的な活動をスタート。様々な場所でのティッシュ配りや広告出稿ほか、熱のこもった布教活動を実施。ライバルであるはずの、他の練習生のファンダムもその頑張りを認めるほどの布教活動も手伝って、最終順位は2位までランクアップ。彼の美しく響き渡るハイトーンボイスは、グループの大きな武器となるはずだ。


パフォーマンス、ビジュアルともに一気に目を引く圧倒的存在感

田島 将吾

©️LAPONE ENTERTAINMENT

3位に輝いたのは、1位も射程圏内に入っていた人気の練習生、田島将吾。
かつて有名事務所の人気メンバーとして活躍後、渡韓。2年間の練習生生活を送った後に帰国し、このオーディションに参加。参加が発表された当初から話題の練習生として注目を浴びただけでなく、韓国で習得してきたダンスのスキルを発揮し、名実ともに人気に。圧倒的なダンスを見せながらも、ふわふわとした柔らかい話し方が愛らしく、そのギャップも多くの国民プロデューサーの心を掴んだ。今回のデビューを受けて、SNS上では、前事務所に所属していた頃のファンがものすごい勢いで戻ってきている様子が見て取れるのもおもしろい。


歌いだした瞬間、聴き手が恋する天性の歌声

藤牧 京介

©️LAPONE ENTERTAINMENT

4位はオンタクト能力評価の時からその歌声に注目を集めた藤牧京介。
ポジション評価にて、飯沼アントニー、太田駿静、仲村冬馬とともに歌った『花束のかわりにメロディーを』の動画は、6月13日の時点で460万回再生を突破。序盤は、物語性を感じさせる、憂いのある歌声を持ちながらも、どこか自信が持てなさそうにしていたが、ステージに立つと表情が一変。歌うことでメッセージを届けようとする姿は天性の輝きを感じさせてくれる。かと思えば、未経験だったダンスもハイスピードで習得し、アップテンポのダンスチューンも表情豊かに魅せるまでに圧倒的な速度で成長。今後のさらなる変貌が期待できる。


数々の経験を胸に、大きな殻を破ったオールラウンダー

尾崎 匠海

©️LAPONE ENTERTAINMENT

5位は、安定感のあるパフォーマンスと歌を聴かせる尾崎匠海。
過去にもグループ活動やストリートでの活動をしていたものの、すんでの所で夢を掴むことができなかったという苦い経験を持つ尾崎。クオリティの高いパフォーマンス、ヴォーカルの実力がありながらも、どこか突き抜けられないことをトレーナーの仲宗根梨乃に指摘され、過去に誹謗中傷を受けた経験から自分を出せず、殻を破れなかったことを泣きながら話したことも。その後は一皮むけて、より自分らしさを表現できるようになり、パフォーマンスにも顕著に磨きがかかった。安定した人気を持つ彼が、今後さらにどんな輝きを放つのか、楽しみだ。


世界レベルのダンス&明るい性格でグループを盛り上げる

西 洸人

©️LAPONE ENTERTAINMENT

6位は世界に通用するダンススキルを持つ西洸人。
SHINeeのテミンなどのバックダンサーを務めていた西洸人。練習生としてのプロフィール写真が公開された際には、そのモデルの様なルックスと、妖艶な表情が話題となったが、いざオーディションが始まると、底抜けの明るさと、練習生にも好かれる、いい意味での男子高校生のようにノリが良い性格、そして情にもろく仲間を思って涙してしまう姿とのギャップに注目が集まった。上位にいながらも、「自分の実力はデビューにはまだ足りていない」と客観的に判断し、落ちてしまった練習生に対しては涙を見せ、悩んでいる練習生には直接話を聞きに行く姿は、まさに頼れる男。


息を呑むほどの美しさとセクシーさを併せ持つ沖縄出身の18歳

松田 迅

©️LAPONE ENTERTAINMENT

7位は、初回の発表順位から40位もランクアップした松田迅。
オンタクト能力評価での結果は47位でスタート。しかし配信が始まると、番組内での分量が決して多くはないにもかかわらず、その美しさが国民プロデューサーに見つかり始め、徐々にランクアップ。ただ、支持されているのはそのビジュアルだけが理由ではない。嬉しさや楽しさ、喜びを全身で飛び跳ねながら表現し、たとえライバルチームであろうと素晴らしいパフォーマンスには立ち上がって盛り上げ、悔しいとき、悲しいときは顔をくしゃくしゃにして泣き崩れる姿が印象的。ステージを重ねるごとにダンスパフォーマンス&その表情管理のレベルも上がり、最終回では怒涛の追い上げを見せ、デビューを掴んだ。


夢は“中国と日本の架け橋”というグローバルアイドルには欠かせない存在

許 豊凡

©️LAPONE ENTERTAINMENT

8位は、“これが最後”という決意で参加したという許豊凡(シュウフェンファン)。
唯一の中国国籍を持つメンバーとしての参加となったフェンファン。ストイックでマジメな性格ゆえ、自分が出来ないことに対して塞ぎこんでしまうシーンもあったが、徐々にほかの練習生とも絆を深め、順位発表で呼ばれた際にはその場にいた練習生に嬉しそうに囲まれている姿が見受けられた。安定したパフォーマンスと、日本語、中国語、韓国語、英語の4か国語を操る彼は、このグループをさらに高みへと連れて行ってくれる存在になるだろう。デビュー後のコメントで、両親に中国語で何かを話し、中国語がわからない国民プロデューサーはどんなメッセージなのだろうと胸を熱くしたが、日本語訳で「お父さん、お母さん、就職が決まりました!」の意と判明。それが広まると、キャラクターの愛らしさがさらに話題に。就職、おめでとうございます。


ラップだけじゃない、高偏差値&バラエティキャラで伸びしろ大

池 理人

©️LAPONE ENTERTAINMENT

9位は、“イケボ”な低音ラップが心地いい池﨑理人。
オンタクト能力評価からラップには定評があり、その太く低い声に注目が集まったが、ダンスには多くの課題が。なんとなく雰囲気で踊っている姿に、トレーナーの仲宗根梨乃から笑顔で「違反ダンスだな」と名付けられるシーンも。しかし練習を重ねダンスの実力は徐々にレベルアップ。コンセプト評価の『Goosebumps』ではリーダーを任せられ、その重圧から苦悩することもあったが、まわりの練習生の助けもあり池﨑がいたチームは1位を記録。圧倒的なラップスキルと、端正なビジュアル、ビハインドのカメラでは、他の練習生と絡み合い、笑いを誘うチャーミングさもたっぷり。今後グループ内でどのような化学反応を起こすのか、楽しみだ。


国民プロデューサーの母性本能をくすぐったザ・アイドル

佐野 雄大

©️LAPONE ENTERTAINMENT

10位は、ずば抜けた愛されキャラの佐野雄大。
初回の国民投票で3位とかなりの高い順位を獲得するも、ダンスも歌も周りのレベルに追いつかず苦悩する日々。しかし、『LET ME FLY~その未来へ~』の推しカメラ動画は、“見ると元気になる”と話題となり、他の練習生よりも多く、現在の時点で68万回も再生されている。“給食の鍋をこぼされても許してしまいそう”というコメントも並び、佐野の愛され力を表している。たしかに、他のメンバーに比べてパフォーマンスには課題が残るが、今後の伸びしろも最大級。日本のアイドルファンが持つ、“成長を見守りたい”という独特の需要にハマった佐野雄大。この短い期間に大きく成長した彼が、どうレベルアップしていくのか楽しみだ。


青い炎で闘志を燃やす優しき“王子様”キャラ

後藤 威尊

©️LAPONE ENTERTAINMENT

11位は静かなストイックさが印象的な後藤威尊。
大学ではミスターコンテストで優勝もしたことのある、ノーブルでスタイリッシュなビジュアルを持ち、尾崎、佐野とともに“浪速のプリンス”として登場したときはタイムラインが「このチームは全員仕上がっている」とざわついたほど。優しく、品のある雰囲気を持ち合わせながら、『SHADOW(Slip Side)』では妖艶なパフォーマンスとラップを見せ、さらなる可能性を提示。オンタクト能力評価ではきゅうりをかじってASMRを聞かせていたが、デビュー決定後は自らSNSで“みんなの王子様になりたい後藤威尊です”と宣言。今後どんなキャラクターで活躍するのか、さらなる期待が膨らむ。


全員が圧倒的なビジュアルを持ち、すでに個性豊かな才能、魅力に溢れているINI。今後の彼らが、どんな楽曲やパフォーマンスでスターダムを駆け上がっていくのか、成長を見守りながら見届けていくとしよう。

そして、今回デビューを掴めなかった練習生も、まだ夢ははじまったばかり。

前回の『SEASON1』ではOWVや円神-エンジン-などのセカンドグループが続々と誕生。さらに、『SEASON1』に出演後、中国版“プデュ”と言われる『創造営2021』のオーディション番組に参加した井汲大翔に関しては、アジア中から驚くほどの人気を集め、現在、活躍の幅を広げている。そんな彼らのように、この半年間、その才能と実力を見せてきた練習生だからこそ、今頃はきっと、多くの事務所やプロジェクトから声がかかっていることだろう。でも、だからこそしっかりと未来を見極め、自分の夢が一番大切にされる場所で、あらためてデビューを掴んで欲しいと願ってやまない。
そしていま、国民プロデューサーのほとんどがこう思ってることだろう。

「すべての練習生の未来が、幸せでありますように」と。


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