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押井守のサブぃカルチャー70年「円谷プロの巻 その2」【2021年3月号 押井守 連載第16回】

今回は円谷プロダクションの話題、その2。大好きな『ウルトラQ』が放送を終え、「ウルトラシリーズ」の次なる作品を楽しみにしていた押井少年の怒りが爆発⁉
取材・構成/渡辺麻紀

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“前夜祭”を見たとき、
設定やデザインが雑でSF愛をまるで感じなかったんですよ!(怒り)

――押井さん、今回はやっと『ウルトラマン』(1966~1967年)の話に行けますよ! 長い道のりでした……。

でも、その長い道のりが大切なんです。今あるものは突然、現れたわけではなく、系譜がありルーツがある。今回の連載はそれを語ることなんだから、長い道のりは必然なんです。

――はい! で、押井さんが大好きな『ウルトラQ』(1966年)が終わって『ウルトラマン』が始まったんですよね?

そうです。「ウルトラ」シリーズの第2弾。なぜ「ウルトラ」かと言えば、そのルーツは東京オリンピックにある。日本の体操チームが大活躍し、流行語にもなったのが「ウルトラC」だった。技術のランクがA、B、Cとあって、そのCを超える演技を「ウルトラC」と呼んでいた。これが正式なのか、日本が勝手に呼んだのかは分からないけど、当時は大流行したんです。
おそらく『ウルトラQ』もここからだろうね。最後にアルファベットを入れたのは、座りもいいし覚えやすいからだと思う。「Q」を選んだのは、ちょっとしたイレギュラー感を出したかったのかもしれない。
『ウルトラQ』という、宝石のようなシリーズが終わり、円谷(プロダクション)は次に何をやるんだろうと考えていたら、前夜祭があった。

――前夜祭って、凄くないですか?

しかも公開録画中継だったんだから、とても力が入っていたんですよ。まず科学特捜隊のメンバーがステージに上がった。小林昭二さんや桜井浩子さんがオレンジ色のコスチュームを着けて登場し、寸劇的なことをやり、それからバーンとウルトラマンが現れた。あの銀色のスーツを着て。
ここで私の夢もバーンと破れちゃった。「これなの? これじゃ元の木阿弥じゃん」って。

――押井さん、「元の木阿弥」というのは? 円谷の怪獣シリーズはここからなのでは?

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